株式会社刀と株式会社ジャパンエンターテイメントは1月28日、沖縄北部に開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」の記者発表会を実施。開業日やアトラクション、入場料金、さらに開業の背景や今後の事業展開などについて説明しました。
また、発表会には石破茂首相も出席。沖縄北部における新たなテーマパークの誕生に期待を寄せました。
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ついに「ジャングリア沖縄」7月開業へ
「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」は、沖縄北部にオープン予定の大型テーマパークです。開業日は2025年7月25日と発表されました。
施設内のアトラクションや設備としては、巨大な気球からやんばるの大絶景や地平線をのぞむ「HORIZON BALLOON(ホライゾン バルーン)」、屋外のインフィニティスパを備え、空と緑の美しいコントラストを楽しめる「SPA JUNGLIA(スパ ジャングリア)」、ドライバーが運転する大型オフロード車に乗り、“本当の自然の中に住んでいる恐竜に出会える”ライドアトラクション「DINOSAUR SAFARI(ダイナソー サファリ)」など、ワクワクさせられるコンテンツがそろっています。
2025年1月29日からJTBにて先行販売が開始され、2月下旬には海外向けにもOTA各社で展開を開始する予定です。
刀CEO・森岡毅氏の思いは
森岡毅氏率いる株式会社刀の企業理念は、「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に」。そんな彼らが創業から15年、一貫して追いかけてきたのが「ジャングリア」の事業なのだといいます。
森岡氏によれば、ディズニーなどの都市部にあるテーマパークは「週末に行く」場所ですが、ジャングリアは明確に「旅行」の文脈の中で選ばれるという点で差別化されます。ジャングリアは、関東でも体験できるような“鉄とコンクリートと機械でできた”ものではなく、沖縄だからこそ体験できる「興奮」「贅沢」「解放感」の3つを凝縮したコンセプト「Power Vacance!!」を体現するものとなっています。
日本で最も県民所得が低いと言われ続けてきた沖縄経済を、観光で稼ぐことによって変えるとともに、未来の子どもたちに“食いぶち”を残したいという森岡氏。今回のジャングリアが成功した暁には、国内の別の地域や海外への展開を見すえていることも明らかにしました。
観光課題の解決を沖縄から
ジャングリアを運営するジャパンエンターテイメント代表取締役CEO 加藤健史氏は、沖縄の観光に「ブランド力が弱い」「交通渋滞」「観光人材不足」「地域にお金が落ちない」など多くの課題が山積していると指摘。ジャングリアにより沖縄のブランド価値を高め、「素通り観光」になりがちだった北部地域で「プラス一泊する需要」を喚起し、消費額を向上させるとしています。
同様の課題を抱える地域は多数あり、ジャングリアの事例は日本の観光課題解決の先進事例になることが期待されます。
関西大学 宮本教授の試算では、ジャングリア開業による経済波及効果は1年目で約3,153億8,400万円、開業から15年で約6兆8,080億円に達するとされ、巨大な経済効果を生む施設になることが予見されています。宮本教授はこの結果を受け、「インバウンド需要を開拓し、ひいては観光産業の振興を通じて日本経済に大きな貢献をすることに繋がっていくことも考えられる」とコメントしました。
※参照:関西大学 プレスリリース
訪日客の価格が異なる「2区分価格制」その背景は
入場料金は、国内向けの1dayチケット価格で税込6,930円(大人)に対し、訪日客を想定した一般料金が税込8,800円と設定された「2区分価格制」となっています。
国内客と訪日客で価格設定が異なる(“インバウンド価格”や“二重価格”とも呼ばれる)プライシングは、日本の観光業界では最近になって検討されるようになった、比較的新しい試みです。
森岡氏は、これに対してはさまざまな意見があるかもしれないとした上で、今回のテーマパークが「日本に住んでいる方のおかげで」実現したことによる「感謝の表れ」だと説明。また、1dayで1万円以下という価格については「割安に感じるかもしれないが、しばらくこれでやらせていただく」とし、訪日客からもっと料金を取るべきという趣旨の意見も出る中で、「初期のお客様には価格に見合った価値で提供したい」と話しました。
インバウンドの誘客や受け入れ対応は
運営上でインバウンドを受け入れる際の対応について、加藤氏は「外国人を受け入れるというのは開発の段階で決まっていた。言語の領域を超えてどんな方でも、たくさんの方に楽しんでいただけるよう目指している」としたほか、多言語看板の設置やアプリの開発、さらに中長期的には海外からの高度観光人材の採用も進めるとしました。
インバウンド客をどうやって呼び込むかについて問われると、森岡氏は「もちろん、海外旅行はどこに行くかを決める意思決定までが長いので、すでにさまざまな施策を始めている」と発言。
さらに「世界70か国の消費者を相手に長年ビジネスをしてきた。世界の消費者の頭の中・構造は全く同じだが、文化が違うので“本能への刺し方”は違う。特に『南国リゾート』に求める消費者の脳の構造を理解して、どこよりもハイクオリティに体験価値をつくる」「これはニッチなニーズではなく、世界でもっとも大きな観光需要である『南国リゾート需要』に、日本人がパイを取るためのビジネスモデルが出来上がると考えている」としました。
また、「ジャングリアがあるから沖縄の価値が上がる。沖縄の魅力度が上がることによってどれだけ沖縄への誘客を増やすのかという戦いだと理解している。単体の集客数の成功ではなく、地域への波及効果を狙っている」と、一施設としての誘客という視座ではなく、県や地域としての誘客を見すえているという立場を明確にしました。
石破首相「観光業はきわめて重要」インバウンドにも言及
発表会には石破首相も出席。首相は、戦後80年を迎えた今「沖縄県民に幸せを実感していただくことは国家の使命」だと述べ、これまでも政府・与党として沖縄北部の発展に向けて尽力してきており、その実現に向けて「ジャングリアの開業は大きな意義を持つ」としました。また、コロナが明けてインバウンドが昔の勢いを取り戻してきた中で、これから先の日本における「観光業の発展」は、国家の経済を発展させGDPを向上させていくにあたり「きわめて重要」だと強調しました。
さらに「言葉が適切かはわからないが、沖縄の経済を“ザル経済” *と表現する方もいる」として、沖縄におけるいろいろな事業、雇用を沖縄の人々の所得につなげることが、「“ザル経済”の克服」になるとの考えを述べました。
* ザル経済…観光収入などが地域経済に浸透せず、域外に流出していくことをザルに例えたもの
観光業の課題については、那覇市などの沖縄南部に旅行者が集中し、北部エリアに観光の恩恵が行き届いていない点、さらに交通の円滑化、高度観光人材の育成、観光産業の高付加価値化などを挙げました。また、4月に控える大阪・関西万博には、万博の前後で観光地に行ってもらうことが、地方創生の観点からもきわめて大事だと述べています。
最後に「もう一度日本国、かつての賑わい、かつての活力を取り戻してまいりたい」として、新しい日本の姿が、ジャングリアそして沖縄から発信されることを祈念する、と結びました。
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