大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭の開幕を4月に控える中、「西のゴールデンルート」の共同記者発表が2月5日、神戸にて開催されました。
「西のゴールデンルート」とは、東京・富士山・京都・大阪を巡る「ゴールデンルート」に対し、関西より西のエリアへのインバウンド誘客を目的とした新しい取り組みです。これを推進するべく、西日本・九州の自治体や民間事業者などで構成された「西のゴールデンルートアライアンス」が昨年5月に設立されました。
本記事では、共同記者発表で発表された「西のゴールデンルート」の周遊モデルルートをはじめ、具体的な内容や取り組みについてお伝えします。
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「西のゴールデンルート」の具体的な取り組みとは?
はじめに、開催地である神戸市長の久元氏と、アライアンス会長である福岡市長の高島氏が挨拶を行い、写真撮影の後、事務局より「西のゴールデンルート」の取り組みについて説明がありました。

欧米豪旅行客の動向
まずは現状の再認識として、欧米豪旅行客の動向を共有。2023年の欧米豪外国人の宿泊者のうち79.3%が東京〜大阪に集中し、大阪以西のエリアは5.8%に留まり、欧米豪旅行客のうち羽田・成田空港からの入国が9割以上、関空からの入国はわずか7%であると現状を説明しました。
一方で、通常のゴールデンルート内の周遊が多いものの、東京・大阪から直接広島・兵庫・福岡などを訪問する動きもあることがわかっているようです。欧米豪旅行客の移動手段の主流は、鉄道・新幹線ですが、フェリー情報に関するニーズも高まっているといいます。航空や船舶での移動手段にも、伸びしろがある可能性を示しました。
さらに、自然や風景、日本庭園、有名な史跡や歴史的建造物、繁華街の街歩きなどが、欧米豪旅行客の体験意向ニーズが高いと解説されました。
西のゴールデンルートを周遊するモデルルートの作成
続いて、西日本・九州を満喫できる11のモデルルートを発表。訪日リピーター向けの「ロングルート」を3ルート、訪日初心者向けの「ショートルート」を8ルート設定しました。
以下のモデルルートを活用し、西日本・九州への誘客促進を図る方針です。
〈ロングルート〉2週間程度
- 新幹線を軸に巡る関西〜九州横断ルート
- 九州〜四国〜関西まで海を渡る瀬戸内海横断ルート
- 山陰から巡る関西〜山陰〜九州横断ルート
〈ショートルート〉3〜4日程度
- フェリーで進む新たな日本情緒ある景観ルート
- 海と共存した絶景島旅ルート
- 日本の地で平和を考えるルート
- 脈々と培われた伝統技を味わうルート
- 瀬戸内エリアの自然美を味わうルート
- 城から大名庭園まで武家文化のルーツに触れるルート
- 港町と島文化の変遷を味わうルート
- 酒どころや温泉地で紡がれる食文化に触れるルート
その他、新たにクルーズルートを設け「クルーズで巡る西日本周遊ルート」を開拓する予定であると説明しました。
「西のゴールデンルート」専用Webサイトの立ち上げ
新たに立ち上げた専用Webサイトでは、モデルルートをはじめ、各地の観光スポット情報、140件以上の豊富なアクティビティ情報、周遊パス情報などを英語で掲載。
さらにOTAや交通事業者などと連携し、ホテルや交通、アクティビティの予約ページへの導線も設置している、と特徴を説明しました。
大阪・関西万博、瀬戸内国際芸術祭のほか、各地で開催されるイベントなどを狙い、専用WebサイトやWebメディアを活用したプロモーションを実施予定であることも共有されました。
西へのインバウンド誘客のカギは、Webサイトの情報発信
西のゴールデンルートの取り組みの説明が行われた後、参加した首長、民間事業者がそれぞれコメントを発表。特に大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭をきっかけとした、観光客増加に期待が寄せられました。
中でも西日本旅客鉄道株式会社の岡田氏は、「万博にお越しになる海外のお客様に、西日本各地への周遊をプラスした『プラスワントリップ』の旅行を提案し、かつ万博を契機に西日本の活性化につなげたい」との意欲を示しました。
アライアンスの会長である高島氏は「今日を機会に、みなさんと協力してやっていきたいことがある」と述べ、こう続けました。
「まずは、Webサイトについて。西エリアの魅力が詰まっている、さらに、予約もできるこの Web サイトをしっかりとアピールしていく。次に、西のゴールデンルートのロゴの活用。自治体や旅行会社、旅行商品にロゴを使用してもらうことで認知を上げていき、西のゴールデンルートとは何か、西への興味をもっと持ってもらうことで価値を高めていきたい」

事務局の説明内でも、欧米豪旅行客の約7割はWebから情報収集していることから、Webを活用したプロモーションが有効であると述べられています。
最後に、高島氏は「日本の魅力を平準化していき、みんなで観光のポテンシャルを開花させていきたい」と締めくくりました。
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