観光庁、外務省、一般社団法人日本旅行業協会(以下、JATA)は3月24日、アウトバウンド(日本人の海外旅行)の促進に関する共同記者会見を実施しました。
同日、偽造・変造対策を大幅に強化した新たなパスポート「2025年旅券」の発行が開始されます。これに合わせ、3者共同で「もっと!海外へ宣言」を発出しました。

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「もっと!海外へ宣言」発出の経緯
コロナ禍の影響が残っていた2023年5月、「今こそ海外!宣言」が観光庁、JATAの2者により発出されました。海外旅行の機運醸成は少しずつ進んでおり、2022年年間の出国日本人者数が277万人であったところ、2023年には962万人、2024年には1,301万人と順調に回復してきましたが、コロナ禍前2019年水準の2,008万人には未だ届いていません。
そこで今回、新パスポート「2025年旅券」の申請受付開始に伴い、新たに外務省を交えた3者で「もっと!海外へ宣言」が発出されることとなりました。
以下がその主な内容です。
- 新しいパスポートの普及
- 海外旅行促進キャンペーン
- 若者の国際交流の促進
- 現地の安全に関する情報提供
- 関係者と連携したプロモーション
インバウンドが好調に推移する一方で、アウトバウンドの回復は依然として遅れています。しかし、航空路線の維持などの観点から、今後のインバウンドの拡大にはアウトバウンドの活性化も不可欠です。観光庁の秡川 直也長官は、「(アウトバウンドは)インバウンドと両輪で進めるのが大事」と、双方の重要性を強調しました。
また、新パスポートの開始だけでなく、来月4月に大阪・関西万博が開催されることもあって、「海外への興味関心を高めていただく絶好の機会」だと述べました。
新たなパスポートの申請開始
続いて外務省の岩本 桂一領事局長から、同日より申請受付が開始された「2025年旅券」について説明がありました。
偽造・変造への対策として氏名・顔写真のページにプラスチックカバーを採用したほか、作成を国立印刷局のみとするなど、セキュリティが大幅に強化されています。
また、全都道府県でのオンライン申請が可能、かつ戸籍謄本の提出が不要となり、手続きの簡素化も実現しました。
ただし印刷局を限定していることから、従来より申請から発行までに日数がかかる点には注意が必要です。
旅行業界が連携してアウトバウンドを促進する「もっと!海外へ」キャンペーン始動
続いて、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)の髙橋 広行会長が、旅行業界が実施する「もっと!海外へ」プロジェクトの取り組みを紹介しました。
本プロジェクトでは、JATA会員各社や空港会社など、計42の旅行関連事業者が連携し、パスポート取得の支援やお得な旅行情報の提供、安心・安全に関わる情報の発信などを特設サイトで展開していくとしています。
その第一弾として開始されたのが「新パスポート取得サポートキャンペーン」。パスポートを新規取得した人を対象に、旅行商品の割引やポイント付与などの特典が用意されるもので、特に「大学生限定」「29歳以下限定」といった若い世代に向けたものも含め、セグメント分けしたPRも積極的に展開していくとのことです。
さらに「もっと!海外へ」というメッセージの発信役として、アーティスト・俳優の岩田剛典氏をアンバサダーに起用。プロモーションビデオの撮影やSNS発信を通じて、若年層を中心に海外旅行の魅力を訴求していくとしています。
アウトバウンドの回復が進まない要因、それによる悪影響は
アウトバウンドの回復が進まない要因について問われた秡川長官は、日本人の海外旅行が思うように伸びていない背景として、円安や海外の物価高など経済的なハードルがあると指摘。その上で「経済的な要因はコントロールしづらいが、機運を変えることはできる」と述べました。今後の目標値については、具体的な目標はないものの、「まずはコロナ前に戻していく」「2,000万というのが一つのキリのいい数字」と述べました。
また、パスポート保有率が17%程度にとどまっている実態に関して、岩本領事局長は「コロナの影響はいろんな意味で大きかった。まさにこれから海外旅行の機運が高まっていけば、パスポートを取る人は増えていく」として、パスポートを取得しやすくなるよう工夫する取り組みを引き続き進めるとしました。
さらにアウトバウンドの停滞は、航空会社や旅行業界への経済的影響に加え、長い目で見て日本人の国際的な感覚が失われることにつながる懸念もあります。秡川長官は「若い人たちが海外に行って、見て感じること、そういう機会を持っていただく若者が少ないというのは、国全体として国際感覚が低下しているということになる。大きなマイナスだと思う」と話し、岩本局長も「(外交という側面から)インバウンドは日本のことを理解していただくもの。さらにアウトバウンドで、日本人が海外の状況を肌で感じるというのは重要。ご自身が仕事をする上でも視野が広がるし、日本全体の国際競争力を高める意義がある」と述べました。
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