【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
コンシューマー(consumer)とは、基本的には英語で「消費者」や「購入者」を指します。
ビジネスの文脈においては、単に商品を買う人だけでなく、商品やサービスの「最終的な使用者」を指したり、より広義には「購入する可能性を秘めたすべての人々」を意味したりと、多角的に用いられます。
さらに、「コンシューマーインサイト」「BtoC(Business to Consumer)」「コンシューマライゼーション」といった派生語や関連用語も数多く存在し、これらを理解することは現代のビジネス戦略において不可欠と言えるでしょう。
この記事では、「コンシューマーとは何か」という基本的な定義から、よく混同されるカスタマーやユーザーとの明確な違い、ビジネスで役立つ関連用語、そしてコンシューマーを深く理解するメリットや最新トレンドまで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
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コンシューマーの関連用語
コンシューマーという言葉が普及するにつれて、さまざまな関連用語や派生語が生まれています。企業やサービスのビジネスモデルを表す”BtoC”や”CtoC”などはその代表例です。
以下では、コンシューマーの関連用語と概要を紹介します。
コンシューマーインサイト
コンシューマーインサイトとは「消費者の本音」を表す用語です。消費者のニーズに応える商品やサービスを提供するうえで、コンシューマーインサイトの理解は非常に重要です。
しかし、消費者自身も意識できないレベルの潜在的な本音も存在するため、コンシューマーインサイトを知ることは難しいといえます。市場分析で得られた消費者の声は必ずしも本音ではない点に注意が必要です。
コンシューマーインサイトを調査するには、SNSを使って商品名やサービス名で検索するなどの方法があります。
コンシューマライゼーション
コンシューマライゼーションとは、企業やその他の法人が一般向けのIT商品やサービスを導入することを指し、「コンシューマー化」と訳されます。
従業員がプライベートで利用しているスマートフォンを業務に利用したり、一般向けに販売されているタブレットやアプリを法人が導入したりするケースなどがあります。前者は”BYOD(Bring Your Own Device)”と呼ばれ、認知度が高まっています。
これまではBtoBとBtoCでターゲットがはっきり分かれていました。しかし、今後コンシューマライゼーションが拡大すれば、BtoBとBtoCの垣根はなくなっていくでしょう。
コンシューマービジネス
コンシューマービジネスとは、一般消費者をターゲットにした商品やサービスの販売事業を指し、BtoCのビジネスモデルはコンシューマービジネスといい換えられます。
類語に「コンシューマーマーケティング」という用語もありますが、これは消費者のニーズに基づいて商品やサービスの展開をすることを指しています。コンシューマービジネスにおいてはコンシューマーマーケティングが重要です。
コンシューマーゲーム
コンシューマーゲームとは、任天堂のSwitchやSONYのプレイステーション5などの家庭用ゲーム機を指します。
コンシューマーゲームと対になるのはゲームセンターに設置されている、大きな筐体の「アーケードゲーム」です。
また、スマートフォンのゲームアプリもコンシューマーゲームのひとつです。本体であるハードとソフトを購入して遊ぶゲームだけでなく、スマートフォンやパソコンにインストールして遊ぶゲームも、一般家庭向けにリリースされているものであればコンシューマーゲームと呼ばれます。
BtoC(Business to Consumer)
BtoCとはBusiness to Consumerの略称です。
事業者間での取引を表すBtoBに対応する用語で、事業者から消費者に商品やサービスを提供する取引のことです。
たとえば、ソフトウェアの開発会社が法人に勤怠管理のシステムを販売するケースはBtoBにあたり、小売店で商品を販売するケースや、飲食店で食事を提供するケースなどがBtoCにあたります。
一般的にBtoCはBtoBよりも1取引あたりの単価が安く、競争率が高くなりやすい傾向にあります。
CtoC(Consumer to Consumer)
CtoCとはConsumer to Consumerの略称です。「個人間取引」と訳され、シェアリングエコノミーとも呼ばれます。シェアリングエコノミーの特徴は、個人が持つ遊休資産を取引に活用する点です。
たとえばAirbnbは個人が所有する自宅や別荘を留守にする間、観光客や出張者に宿泊施設として貸し出すサービスです。
もともとは東京オリンピック開催に伴う宿泊施設不足から民泊に注目が集まり、海外で流行していたAirbnbが日本でも人気となりました。
これはCtoCサービスの代表例で、そのほかにはフリマアプリのメルカリ、カーシェアリングアプリのカレコなどもCtoCサービスです。
コンシューマーを理解するメリット
コンシューマー理解は、商品開発やマーケティング戦略の立案、顧客ロイヤルティの向上、市場の変化への対応など、企業活動のさまざまな側面で重要な役割を果たします。
ここでは、コンシューマーを理解する主なメリットを紹介します。
顧客ニーズに合った商品・サービスの開発
コンシューマーを深く理解することで、顧客のニーズや期待に応える商品やサービスの開発が可能になります。たとえば、消費者が求める機能やデザイン、価格帯を把握することで、より満足度の高い製品を提供できます。
これにより、顧客満足度の向上やリピート購入の促進が期待できます。また、顧客の声を反映した商品開発は、企業のブランドイメージ向上にもつながります。
効果的なマーケティング戦略の立案
コンシューマーの行動や心理を理解することで、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。たとえば、消費者の購買プロセスや意思決定の要因を把握することで、適切なタイミングでの広告配信やプロモーションが可能になります。
また、消費者の価値観やライフスタイルに合わせたメッセージを発信することで、ブランドへの共感を高め、購買意欲を刺激することができます。
顧客ロイヤルティの向上
コンシューマーを深く理解し、その期待に応えることで、顧客ロイヤルティを高めることができます。自分のニーズをしっかりと理解し、適切に対応してくれる企業に対して、顧客は信頼感や愛着を持ちやすくなります。
その結果、長期的な関係を築くことができ、リピーターの増加や口コミによる新たな顧客獲得にもつながるでしょう。
市場の変化への迅速な対応
コンシューマーのニーズや行動を常に把握しておくことで、市場の変化に迅速に対応することができます。たとえば、新たなトレンドや消費者の価値観の変化をいち早く察知し、商品やサービスの改善、マーケティング戦略の見直しを行うことで、競合他社よりも優位に立つことが可能です。これにより、ビジネスの持続的な成長が期待できます。
コンシューマーのトレンド
最後に、近年の消費トレンドをご紹介します。
1. AIによる購買支援の進化
近年、AI技術の進化により、消費者の購買行動が大きく変化しています。たとえば、AIが個々の嗜好や購買履歴を分析し、最適な商品を提案する「パーソナライズドショッピング」が一般化しています。
これにより、消費者は自分に合った商品を効率的に見つけることができ、購買体験の質が向上しています。
また、AIによるレコメンド機能は、オンラインショッピングだけでなく、実店舗でも導入が進んでおり、消費者の購買意欲を高める要因となっています。企業は、AIを活用したマーケティング戦略を構築することで、顧客満足度の向上と売上の増加を図ることができます。
2. 体験重視の消費行動
物質的な所有よりも、体験や経験を重視する消費者が増えています。旅行やイベント、ワークショップなど、心に残る体験への支出が拡大しており、企業は商品やサービスに「体験価値」を付加することが求められています。
たとえば、店舗での体験型イベントや、商品を通じたストーリーテリングなどが効果的です。このような施策は、消費者とのエモーショナルなつながりを強化し、ブランドロイヤルティの向上につながります。
3. 環境意識の高まりとエシカル消費
環境問題への関心が高まる中、サステナブルな商品やサービスを選ぶ「エシカル消費」が広がっています。リサイクル素材の使用や、環境に配慮した製造プロセスを採用する企業が支持される傾向にあります。
また、商品の背景や企業の取り組みを透明に伝えることが、消費者の信頼獲得につながります。企業は、環境への配慮をビジネス戦略に組み込むことで、持続可能な成長を実現できるでしょう。
4. ソーシャルメディアの影響力の拡大
SNSの普及により、消費者の購買行動におけるソーシャルメディアの影響力が増しています。インフルエンサーの投稿や、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が購買の意思決定に大きな影響を与えています。
企業は、SNSを活用したマーケティング戦略を強化し、消費者とのコミュニケーションを深めることが重要です。また、SNS上での評判管理や、リアルタイムな対応も求められています。
コンシューマーを正しく理解する
本記事では、コンシューマーの複数の定義、関連用語、ビジネスにおけるメリット、そして最新トレンドに至るまで多角的に解説してきました。
コンシューマーの意味を文脈に応じて的確に捉え、関係者間で共通認識を持つことは、ビジネスを円滑に進める上で不可欠です。さらに、「コンシューマーインサイト」の的確な把握や「コンシューマライゼーション」といった変化への対応は、顧客の真のニーズに応える商品開発や効果的なマーケティング戦略の実現、そして持続的な企業成長の鍵となります。
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