EDLPとは?HILO(ハイアンドロー)との違い、メリット・デメリット、成功へのプロセスを解説

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【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】

本連載では、国内外問わず通用するマーケティング施策を取り上げ、インバウンド対策にも役立つヒントをお届けします。

EDLP(Everyday Low Price)とは、「毎日低価格」を意味するマーケティング戦略の一種です。特売やセールに頼らず、常に安定した低価格で商品を提供することで、顧客に「いつでも安心して安く買える」という価値を提供します。

この戦略は、徹底したローコストオペレーションを基盤に、顧客に安心感と計画的な購買を促し、長期的な顧客ロイヤルティと企業の安定的な収益確保を目指します。本記事では、EDLPの基本的な概要から、企業と顧客双方にとってのメリット・デメリット、そしてEDLPを成功に導くための具体的なプロセスと成功事例を詳しく解説します。

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EDLP(Everyday Low Price)とは?

EDLPは、毎日低価格で顧客に商品を提供することを目指したマーケティング戦略です。その概要、メリットを2つの観点から解説します。

低価格販売で消費者を獲得、利益の確保へ

EDLPとは、Everyday Low Price「毎日低価格」の頭文字をとったマーケティング戦略の一種です。この戦略は、特定の期間価格を下げることで集客と売上率増加を目指す従来の戦略とは異なり、常に一定価格で商品提供をすることで長期的観点からLTV(顧客生涯価値)の増加を目指す戦略です。

LTVとは、ある顧客が取引を開始してから終了するまで、自社に対しどれだけ利益をもたらしたか、つまり収益の総額を算出するための指標です。

EDLP戦略を展開することで、いつ訪れても低価格で購入できるという安心感が顧客の獲得と利益の確保へとつなげます。

HILO(ハイアンドロー)とは?特売のみのローコストで集客率に期待

EDLPと対極に位置する戦略に、「High-Low Price」、略してHILO(ハイアンドロー)と呼ばれるマーケティング戦略があります。

このHILOは、特定の期間に価格を大幅に変動させることで、特売品や期間限定の付加価値を設定し、集客を図る戦略です。目玉商品をフックに顧客を呼び込み、そのついで買いで他の商品の購入を促進することを目指します。

HILOのメリットは、特売による即効性の高い集客力と、一時的な売上増加が期待できる点にあります。

しかし、デメリットとして、顧客が特売のタイミングを強く意識するようになり、定価での購入を控える傾向が生まれます。これにより、特売期間外の売上が低迷し、結果として全体の売上貢献に期待しにくい側面があります。

また、頻繁な価格変更はオペレーションコストの増加や、顧客の「特売慣れ」を引き起こし、ブランドイメージを損なう可能性も考えられます。

EDLPを実施するメリット

EDLPを展開することで大きく2つのメリットがあります。

顧客の信頼獲得とリピーターの増加

DLP戦略は、消費者に「いつでも同じ価格で、安心して購入できる」という大きな安心感を与えます。特売日やセールのタイミングを気にせず、自分の都合の良い時に計画的に買い物ができるため、心理的なストレスが軽減されます。

この価格の安定性は、消費者の店舗への信頼感を醸成し、「あの店に行けば、いつもお得に買える」という認識を深めます。結果として、顧客ロイヤルティが向上し、長期的なリピーターの獲得につながるでしょう。

オペレーションコストの削減と在庫管理の効率化

EDLP戦略では、特売やセールを頻繁に行う必要がないため、チラシの作成や価格変更に伴う作業が減少します。​これにより、広告費や人件費などのオペレーションコストを削減できます。

​また、価格が一定であるため、売上予測が立てやすくなり、適正在庫の維持が可能となります。​結果として、在庫管理の効率化が図れ、無駄な在庫や欠品のリスクを減らすことが期待できます。

EDLPを実施するデメリット

EDLPを実施することは、メリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

新規顧客の獲得が難しい

EDLP戦略では、常に低価格で商品を提供するため、特売やセールといった目玉イベントが少なくなります。​その結果、価格変動を期待して来店する新規顧客の獲得が難しくなる傾向があります。

​特に、セール情報を重視する消費者にとっては、EDLPの価格設定が魅力的に映らない場合があります。そのため、他のマーケティング手法やプロモーション活動を強化する必要があります。​

利益率の低下と価格競争の激化

EDLP戦略では、常に低価格を維持する必要があるため、利益率が低下する可能性があります。​また、競合他社も同様の価格戦略を採用することで、価格競争が激化し、さらに利益率が圧迫される可能性がありますが。

コスト削減や効率的なオペレーションが求められますが、それにも限界があります。

EDLPを成功させる3つのプロセス

EDLPを成功させ売上増加につながる手法をコスト削減、店舗改善、マーケティングの3つの観点から解説します。

1. ローコストオペレーションを実施する

EDLPを展開するには、ローコストオペレーションを実現させることが必要です。そのためには、毎日低価格であり続ける経営体制をとらなければなりません。

まずは、可能な限り経営体制を見直します。自店舗での視点だけでなく他社目線を取り入れることで自店では気づきにくい視点を取り入れ、見直しを効果的にできます。

この経営改革により、販促方法の変更によるコスト削減、作業工程の標準化、それに伴うシステム導入検討などから自社の理念にあった作業効率化を図りローコストオペレーションを実現させましょう。

2. 顧客の購入単価をアップさせる

EDLPを展開し売上増加のためには、商品ラインナップを豊富にし購買点数を促進させ、顧客の購入単価を上げることが必要になります。それには、主力商品に注目をさせ、その商品と一緒に購入したいと考えるような売り場づくりをすることです。

たとえば、主力商品が肉類であった場合、関連商品となるトッピング類を陳列することで購買点数を増やします。

3. ターゲットに最適なマーケティングを実施する

スマートフォンの普及により、かつて主力の宣伝手段であった新聞折り込み広告を顧客も減少しています。その代替案に、インターネットを利用したマーケティング方法が台頭しています。成功に導くには、店舗がある所在地の顧客層にあった最適なマーケティング方法が求められます。

具体的には、店舗専用アプリを利用することでチラシの閲覧ができたり、購入履歴からセール情報やポイント情報を提供し次の来店を促し売上増加を目指すといった方法が挙げられます。

EDLPを導入している企業の事例3選

EDLPに成功している企業の事例を3例挙げることで、EDLP導入のイメージをより具体的に解説します。

1. 業務スーパー/広告費削減や一貫生産でローコストを実現

業務スーパーは、EDLPをコンセプトにしている代表的なスーパマーケットです。

業務スーパーでは、曜日ごとに特売日を設けて定着させることで、広告費削減に取り組み、顧客がいつでも安心してベストプライスで購入できることを売りにしています

この曜日ごとの特売日を設ける施策は、紙媒体の広告だけでなくウェブチラシまでも削減できる効果もあります。

他にも、自社工場でのオリジナル商品を製造から手掛ける一貫生産体制をとり、世界各国からの商品をまとめて購入することで仕入調整を図っています。

設備費の観点では、店舗の売り場に段ボール陳列を取り入れとにかく安価で食料品などを購入したいという顧客をターゲットに顧客満足の追求を徹底しています。

2. 100円ショップ/大量仕入れと人件費・広告費のカット

以前から定着しているEDLPの例に、100円ショップがあります。ダイソーやセリアなど均一の商品価格で商品提供をしているのでいつ来店しても商品を安く購入することができます。

安価な商品と、時流に沿った安定品質の商品の提供サイクルは、100円ショップの場合、大量仕入れと大量販売、人件費削減、広告費はほとんどかかっていない点に支えられています。

3. ウォルマート/業務の効率化

最後の具体例は、EDLPの原点であるウォルマートです。

ウォルマートは、米国アーカンソー州で操業した世界最大のスーパーマーケットチェーンで、EDLPを生み出したとされています。

ウォルマートでは、「Every Day Low Price」と「Every Day Low Cost」をビジネスの核としています。ウォルマートがEDLPを可能にした背景に、ITの活用、物流センターの機能、音声ショッピングなどによる業務の効率化に成功したことが挙げられます。

EDLP戦略で価格の一定化を図り、顧客の安心感・売上の向上へ

EDLP戦略は、「毎日低価格」という一貫した価格設定を通じて、顧客に「いつでも安心して安く買える」という揺るぎない安心感を提供するマーケティング戦略です。この安心感を継続的に提供し、顧客ロイヤルティを築くためには、徹底したローコストオペレーションの実現が不可欠です。

本記事でご紹介したように、業務スーパーの広告費削減や一貫生産、100円ショップの大量仕入れ、ウォルマートのIT活用による効率化など、各事例はそれぞれ異なるアプローチでコスト削減を実現しています。

また、目玉商品だけでなく関連商品の購入を促す工夫や、顧客層に合わせた最適なマーケティング施策も、顧客単価向上と集客増に貢献します。

EDLP戦略を成功させるためには、単に安くするだけでなく、顧客が何を求め、なぜ自店に足を運ぶのかというインサイトを深く理解し、自社の強みを活かした差別化を図ることが重要です。

安易な低価格競争に陥らず、持続可能な収益モデルを確立するための継続的な経営改革が求められます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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