ローカルガイドの常識を変える「Osaka JOINER」 ツアー開始30分前まで申込可能、その驚きの仕組みとは

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Osaka Metro Groupの広告会社である大阪メトロアドエラ。近年では広告事業の枠組みを超え、大阪の経済・交流を広く盛り上げることをミッションに事業を展開しています。

その一環として展開するのが、欧米豪市場をターゲットにローカルガイドツアーを提供する「Osaka JOINER」です。

特徴的なのは、その対応力。事前予約が必要なサービスが多い中、なんとOsaka JOINERは「当日30分前」の申し込みにも対応。さらにはツアーの内容も固定で決まっているわけではなく、その場その場で変わりやすい旅行者の要望に合わせて変更しているといいます。

どのようにして、ここまで柔軟なサービスを実現しているのか──訪日ラボでは、Osaka JOINERを企画・運営する株式会社 大阪メトロアドエラの吉田 瑛仁さん、佐々木 美恵さん、山本 涼香さん、そして同サービスでガイドとして活躍されている大学生の上野さつきさんにお話を伺いました。

【締切迫る】Osaka JOINER運営の大阪メトロアドエラが登壇!mov/訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY

大阪・関西万博をきっかけに、訪日市場が欧米豪をはじめとした多様な国・地域に波及しています。

一方で、地域の受け入れ側には「英語対応が難しい」「コンテンツや訴求方法がわからない」「対応できる人材がいない」といった課題も多く、せっかく外国人観光客が訪れても、地元に経済的な波及効果が十分届いていないのが現状です。

そこで今回「THE INBOUND DAY 2025」にて、ローカルガイドサービス『Osaka JOINER』を提供する大阪メトロアドエラによる、欧米豪インバウンドに刺さる体験コンテンツやガイド像について解説する講演をお届けいたします!

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「大阪らしさ」を欧米豪の旅行者に伝え、楽しんでもらうことで地域活性化を──Osaka JOINER 企画の背景

はじめに「Osaka JOINER」を企画・プロデュースする株式会社 大阪メトロアドエラの吉田 瑛仁さんに、同サービスが生まれた背景を伺いました。

株式会社 大阪メトロアドエラ 吉田氏
▲中央が株式会社 大阪メトロアドエラ インバウンド事業部 部長(兼インバウンドプロデューサー) 吉田さん。Osaka JOINERに所属するガイドのお二人と:左から、Osaka JOINER ガイドリーダー コンデ吉里健二さん、同 林光太朗さん

── Osaka JOINERとは、どのような事業なのでしょうか。

Osaka JOINERは、主に欧米豪からの訪日旅行者と地域を「つなぐ」ローカルツアー・ガイドのサービスです。

コンセプトは「ローカル×直近対応×パーソナライズ」。コンテンツ造成の他、人材育成、集客運営、分析まで一気通貫で実施しています。

欧米豪向けインバウンド事業「Osaka JOINER」
▲欧米豪向けインバウンド事業「Osaka JOINER」

── Osaka JOINERを企画した背景は、どういったところにあるのでしょうか。

大阪の魅力は「人」や「まち」。そうしたソフト面を消費可能な形にした上で、多くの人を大阪に呼び込み、まち全体を元気にしたいと考えたんです。

ローカルガイドツアーにおいては、受入環境整備の不足とガイドの人材不足が大きな課題です。Osaka JOINERは、これまで特定の場所やガイドなど属人的に依存してきた業務の「脱・属人化」を図り、仕組みで解決することを重点において設計しました。

仕組み化することで、さまざまな事業者や人材がインバウンドに参画するハードルを下げられるようにしており、だからこそ大阪の「人」「まち」が活きる構造になっています。欧米豪などのインバウンドの1つの方向性として「イマーシブ(没入体験)」が挙げられますが、まさに「ローカルイマーシブ」を体現する内容にしました。

また、当日の予約でもOKという運用スキームを作っているのも特徴です。ツアーが始まる30分前まで申し込み可能なので、例えば夕方に関西空港に着いた方が、当日の夜に大阪でローカルの食事を楽しんだり、翌日から大阪を存分に楽しむためにOsaka JOINERを申し込んで、大阪のハイライトを巡りながら、ガイドと楽しくコミュニケーションを取って大阪の滞在計画を考えることも可能です。直近の申込ニーズを確実に取り込み、さらなる提案につなげています。

── Osaka JOINERは欧米豪をターゲットにされているということですが、なぜアジアではないのでしょうか。

万博IRもありますし宿泊施設の整備も進んでいて、大阪を訪れる欧米豪インバウンドは増加傾向です。欧米豪の旅行者は大阪に対して、ローカルのお酒や食事・観光はもちろんソフト面を含めた独特の魅力を感じていますが、そんな旅行者のニーズと、マーケット側・受け入れ側が提供できる内容に大きなギャップがあることに課題を感じました。欧米豪旅行者はローカルを楽しむことに興味がありますから、旅行者思考でフィットするサービスが作れれば、今浮いている旅行者の需要を獲得できますし、地域に広く経済貢献することができます。

欧米豪の方々の「自分たちで意思決定をしたい」というニーズも汲み取り、完全にパッケージングをするのではなく、旅やコンテンツの中にあえて余白を持たせ、そこで満足度を高める工夫をしています。

── Osaka JOINERを展開する中で、意識していることや大切にしていることはありますか。

まずは旅行者思考の徹底です。日本の市場や慣習だけにとらわれず、常にグローバルで、マーケットインに物事を考えるようにしています。旅行者が実際にサービスを利用したり、高く評価してもらうために、とても重要なことです。

その上で意識しているのは「大阪らしさ」の体現です。事前の行程どおりに案内していくツアー運営ももちろん素晴らしいのですが、大阪らしく旅行者とコミュニケーションをよくとって、ニーズを聞き取りながら、臨機応変に楽しませるマインドと仕組みが大事だと考えています。

また、その「大阪らしさ」を提供するためには、地元のお店やサービスとの連携が不可欠です。

ローカルライクな体験消費をしたい外国人が求めるローカルなお店やサービス側は、必ずしもインバウンド受入に対応しているわけではありません。英語が苦手だったり、ネット予約やキャッシュレス対応不可などさまざまな課題があります。

「解決するリソースはないけれど、インバウンドと自らの事業を絡められないだろうか」と考えているローカルの事業者さん達と連携することで、双方にとってポジティブな効果を発揮しています。

訪日旅行者と地域の人・お店・コトをつなぐ「JOINERモデル」
▲訪日旅行者と地域の人・お店・コトをつなぐ「JOINERモデル」

今後もできる限り多くの事業者や人材を外国人旅行者と繋ぎ、マーケット全体を盛り上げていきたいと考えています。また、大阪に限らず、仕組みの横展開や示唆・ナレッジの積極的なアウトプットを通じて全国へ取り組みを拡大し、マーケットファーストで、貢献できることを増やしていきたいと思っています。

「スタバ行きたい」「大阪城はなんで緑なの?」突然の質問や要望にも応える!Osaka JOINER 未経験ガイドの対応力

では、実際にOsaka JOINERにはどんなガイドが所属しているのか?続いては、Osaka JOINERで未経験からガイドを始めて活躍されている、大学生 上野さつきさんへのインタビューをお届けします。

左から、株式会社大阪メトロアドエラ 営業本部 インバウンド事業部 JOINERベース リーダー 佐々木 美恵さん、Osaka JOINER JOINER(ガイド) 上野さつきさん、株式会社大阪メトロアドエラ インバウンド事業部山本 涼香さん
▲左から、株式会社大阪メトロアドエラ 営業本部 インバウンド事業部 JOINERベース リーダー 佐々木 美恵さん、Osaka JOINER JOINER(ガイド) 上野さつきさん、株式会社大阪メトロアドエラ インバウンド事業部山本 涼香さん

── 上野さんは、どんなきっかけでガイドを始めたのでしょうか。

電車内の広告で知って、去年の12月頭から、半年くらいやってます。大学に通いながらですが、私は結構ツアーしてる方かもしれないですね。週に3回くらい。実は今日も14時にツアーしてきて、このあと19時からツアーなんです。

14時のツアーでは、4時間ほど大阪のツアーをしてきました。お客様は合計7名で、アメリカ人のグループとドバイ人のグループを一緒に案内しました。

── 今日ツアーに参加された方とは、どんな話をしましたか。

「日本の何が好き?」「なんで日本にしたの?」など日本関連の話をしました。日本や大阪の話を伝えられたらと思って。いつもお客さんとはたくさん話します。

なんで日本に旅行に来たのか聞いたら、「人生でやることリスト」に入れていたそうです。

── お客様からの要望はどんなものが多いんでしょうか。

今日、要望多かったです(笑)「スタバ行きたい」とか、「マックはどこ?」とか、「(ツアーが終わったあとに)食事するから、おすすめのレストランを教えて」とか。

── そんな急な要望にも対応するんですね、すごい…。ガイド中の質問はどんなものが来るんですか。

「なんでここにこれがあるんだ」とか、神社に行ったときに「なんでここにお地蔵さんがいるの?」、あとは「大阪城はなんで緑なの?」みたいな面白い質問が来ることもあります。

そういうときは知ってる範囲で答えたり、「なんでだろうね」って一緒に考えたりとか。「知らない」っていう返事はあまり良くないので、さっと調べて答えたりしています。

── そういった案内をする際の知識は、かなりの量が必要だと思うんですが、日々どのように吸収しているんでしょうか。

Osaka JOINERのトレーニング動画や研修資料でも勉強しますし、日々JOINERチームでもいろんな共有があります。自分で気になったこともHPなどで勉強していて、基本的なことは全部言えるようにしています。

たとえばさっきの「大阪城が緑」の理由は、銅でできてるかららしいです。銅でつくられた瓦が酸化して、緑になったんだそうです。日本人でも知らないことが多くて、勉強になります。

── 最後に、ガイドとして大事にしていることを教えてください。

地元の話や、今みたいな小ネタがあれば積極的に伝えるようにしています。トレンドとか。地元の話は旅行者も興味深く聞いてくれることが多いです。あとはしっかり話を聞いて要望にきちんと答えることや、フレンドリーに接することを心がけています。

Osaka JOINERが注力する「ガイドの採用・育成」事情

まだ大学生でありながら、1日2件のツアーもなんなくやり遂げる上野さん。日々必要な知識を勉強し、ツアーではさまざまな要望や質問にも臨機応変に対応しています。

彼女のように未経験ではありつつもポテンシャルのあるガイドを採用した後、どのようにして一人前のガイドに育てているのでしょうか。続いては、ガイドのマネジメント等を担当する株式会社 大阪メトロアドエラの佐々木さん、山本さんへのインタビューをお届けします。

── 佐々木さん、山本さんはどういった業務を担当されているのでしょうか。

私たちはガイドとお客様をつなぐ拠点となるタビナカインバウンド拠点「JOINERベース」の管理、ガイドのマネジメント、BtoB関連の業務を管轄させていただいてます。

ベースでは2〜3名のガイドが常時スタンバイできるようにシフトを組んでおり、直近ニーズに対応します。どのガイドも30分前から対応できるよう、研修を行なっています。

未経験の方がほとんどなので、研修をしっかり行いつつ、属人化しないように全員が一人前のガイドになれるようにサポートしています。

全体は40〜50名いまして、基本的には日本人がメインですが、留学生もいるし、社会人の方も結構多いです。会社員として働いてるけど土日だけ・夜だけ働く方とか。

「訪日観光客の方に大阪の良さを知ってもらいたい」という思いで、この仕事に賛同してくださってる多種多様な方々が集まっています。

Osaka JOINERには多種多様なバックグラウンドを持つガイドが集まっている
▲Osaka JOINERには多種多様なバックグラウンドを持つガイドが集まっている

── ガイドの採用基準としてはどういったものがあるのでしょうか。

知識面の基準はあまりないですね。それぞれ得意な分野も違います。通訳案内士の方もいるし、歴史オタクもいるし、コミュニケーションが得意で誰とでもすぐに仲良くなっちゃう人もいる。全員が個性的なメンバーです。

しっかり見ている部分で言えば、人間性やコミュニケーションスキル。想いは大切ですが、それが独りよがりになってはいけません。目の前のゲストや地域の事業者のみなさまのことを考え、コミュニケーションを大切に、寄り添いながらガイドできるポテンシャルがあるかどうか。100%全部を知っているというのはどんなガイドさんでも無理なので、わからないことがあってもうまくコントロールできたり、あるいはお客さんと一緒に答えを探していくなど、臨機応変な対応が大事なんです。

心構えとしては、ツアーを自分も楽しめる人。仕事としてやってるという意識もそれはそれでいいんですが、ガイドすることそのものが楽しく、自分たちの経験になるといった気持ちがあれば、お客様とも良い関係が築けますよね。

語学面では、インタビューテストを実施しています。ただ、コミュニケーションスキルを重視しているので、多少流暢でなくても、それを上回るコミュニケーション能力があれば採用させていただいてます。

── ガイドの研修ではどのような内容を、どんな方法で伝えているのでしょうか。

育成は座学+動画で行っています。ガイドそれぞれが持ってる知識も違いますし、食べ歩きのツアーもあれば、大阪の観光スポットをめぐるツアー、京都・奈良まで行くツアーなど、やることもツアーによって全然違います。もともと知っている知識だけでは対応しきれなくなっていくので、「このタイミングでこれをする」といったことを伝え、仕組みの中で活躍してもらうのが重要です。知識だけでなく、楽しく話す、エンターテイメントの要素も大事にしています。

さらに、先輩のガイドと一緒にロールプレイングも行います。動画や紙のマニュアルだけでは伝わりきらないことを、補ったり練習したりしています。

知識面ももちろんですが、Osaka JOINERのガイドとしての「マインドセット」にも重きを置いて研修しています。たとえばゲストはこういうことを求めているとか、複数のグループが混ざって一つのツアーに参加されることも多いので、仲良くなるためのアイスブレイクを入れるなど配慮して行動するとか。

難しいツアーとかがあったりすると「うまく行かなかったな」ってなる子もいるので、そういうときはガイド同士で悩みを吐き出したり、なんでそうなったのかを聞き出して「こういうふうに動いたら満足度上がるかもね」とアドバイスをしたりとか。気づきや悩みをシェアしたりしています。

「この人とツアーして良かったな」と思っていただけるガイドを目指して、一定のクオリティは担保しつつ、自分の色もどんどん出していこうというのを大事にしています。

── これまで実施されたツアーで、印象的なエピソードは?

そうですね、本当に毎日が印象的で…(笑)ガイドからは毎日、ツアーで起こったことを聞いています。ガイドとお客様との距離が近いので、本当にフランクに会話させていただいてます。実は5つ星ホテルに泊まられてるようなお客様も多くて「君の国のエンペラーと友達だよ」とか、「大統領のアドバイザーなんだよ」とか。普通に生活してたら出会わない方と出会えるのも楽しいですよね。

そういう方々は、うちのガイドのカジュアルさが逆にいいみたいです。お金を持ってる方は何度も日本に来たことがある方も多く、大阪城道頓堀は飽きたという人も多いんですよね。うちでは本当にディープなところ、地元民しかいないところに連れていったりするので、「こういうのをやりたかった」「日本人が生活しているところを見てみたかった」と言ってくださいます。ローカルなトークも好評ですね。日本で今これが流行っているよ~とか。

大阪って、ディープな立ち呑み屋があったりするじゃないですか。そういうところに行くとお店の常連さんもフレンドリーに話しかけてくれるものだから、お客様が「このままここにいたい」と言い出して、置いて帰ることもあります(笑)

そういった一期一会の出会いをお手伝いできるのは、とても嬉しいことですね。大阪の印象もさらに良くなって、それぞれの国に帰ってからもたくさんお話しいただけるといいなと思っています。

【さらに詳しい話が聞きたい方必見!】Osaka JOINER運営の吉田氏、佐々木氏が登壇!mov/訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」

本記事では、大阪メトロアドエラによる「Osaka JOINER」の取り組みの内容をお届けしました。

今回ご紹介した内容をさらに深掘り、全国で応用可能なポイントをご紹介する講演が、mov/訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」にて実現します。

実際のガイド像や育成メソッド、コンテンツの最新事例などに触れる、JOINERベース運営責任者からの最前線レポートに注目!開催が8/5に迫っておりますので、この機会にぜひお申し込みください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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