観光庁は8月、令和8年度(2026年度)の予算概算要求を公表しました。概算要求の総額は約814億円で、前年度比1.4倍に増加しました。
前年に引き続き、訪日プロモーション施策の要求額が最大となったほか、宿泊業の人手不足対策や、免税制度改正に関する施策などに、前年度比6倍の予算が計上されました。
観光庁、2026年度予算概算要求を公表 前年度比1.4倍に
観光庁は、2026年度の予算概算要求を公表しました。総額は、前年度比1.4倍となる813億5,900万円にのぼりました。内訳を見ると、一般会計が前年度比1.2倍となる106億9,400万円、国際観光旅客税(いわゆる出国税)を活用した施策が前年度比1.43倍となる700億円に増額されました。一方で、東日本大震災からの復興枠は、前年度比0.87倍の6億6,500万円に減額されました。

最大予算額は「戦略的な訪日プロモーション」
最も大きい額となったのは、「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」内の「戦略的な訪日プロモーションの実施」で、58億5,000万円を計上しました。前年度に引き続き、最大の予算額となりました。
※「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」を除く
2024年の訪日外国人旅行者数と消費額は過去最高となったものの、地方への誘客には依然として課題が残っています。「観光立国推進基本計画」で掲げる2025年の目標「一人当たり地方部宿泊数2泊」に対して、2024年は1.4泊にとどまっています。
観光庁は、地方誘客の加速のためには、国・地域ごとのニーズを踏まえながら訪日プロモーションに取り組んでいく必要があるとし、日本政府観光局(JNTO)を中心として、市場・テーマ別での地方部の重点的なプロモーションに取り組みます。
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宿泊業での人材不足対策に3億円
「持続可能な観光地域づくり」においては、「観光地・観光産業における人材不足対策事業」に前年度比6倍である3億円が計上されています。
宿泊業の人手不足解消のため、採用活動などの足下の対策や、設備投資支援などの短期的な対策から、外国人材の活用、経営の高度化といった中長期的な対策まで、あらゆるフェーズにおいて総合的に支援します。
「持続可能な観光地域づくり」では、「地域一体となった持続可能な観光地経営推進事業」や「通訳ガイド制度の充実・強化」、「観光統計の整備」などの予算額も、前年度比で増加となりました。
関連記事:宿泊・観光業の「人手不足」に挑む、観光庁の戦略と展望

免税制度移行に関する施策を推進
「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」の中では、「外国人向け消費税免税制度の『リファンド方式』移行支援事業等」が前年度比6.25倍の1億円に増加しました。
外国人旅行者向けの免税制度は、2026年11月より「リファンド方式」に移行されます。
観光庁は、制度改正に伴う空港などでの混乱を防ぐため、課題を把握し旅行者への効果的な注意喚起の方法を検討したうえで、周知を行うとしています。また、リファンド方式への円滑な移行を推進し、地方部での消費拡大を図るため、面的な取り組みを支援します。
関連記事:【2026年11月から】免税制度の見直し、現場への影響は?

「開催件数世界5位以内」に向け、MICE誘致を促進
「MICE誘致の促進」は、前年度比1.92倍の3億4,400万円に増加しました。
MICEの開催は、地域に大きな経済効果をもたらします。政府は「2030年に国際会議の開催件数を世界5位以内」という目標を掲げており、日本の国際競争力強化への基盤整備に加え、各地域の魅力を海外に発信し、全国各地でMICE開催を推進していく必要があります。
そこで、JNTOによるマーケティング施策の展開や、国際競争力強化のための基盤整備のほか、国際機関・関連諸外国との連携による国際観光シンポジウムの開催などを行います。

出国税は新規性・緊急性が高い施策に活用
国際観光旅客税(出国税)の税収を活用した施策については、前年比1.43倍である700億円が計上されました。
「負担者の納得が得られること」「先進性が高く費用対効果が高い取り組みであること」「重要な政策課題に合致すること」を基本の考え方とし、特に新規性・緊急性の高い施策に充当するとしています。
関連記事:7月訪日客、一部で前年割れも「成長軌道」 7月の津波対応についても言及【観光庁長官会見】

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