日本における国際会議の年間開催件数は428件と、世界7位でアジアでは1位です(国際会議協会による2024年速報値)。アジア主要5か国(日本、韓国、中国、豪州、台湾)において開催件数の3割を目指すとした観光立国推進基本計画における目標に対しても、昨年実績で33.4%を占めています。
国際会議やインセンティブ旅行の誘致マーケティングを行う日本政府観光局(JNTO)の巽麻里子MICEプロモーション部長に、日本におけるMICE開催や誘致活動の現在について聞きました。
取材・文/萩本良秀(地方創生パートナーズネットワーク)
海外の会議主催者や国内の学協会に対し、日本での国際会議開催を働きかけるJNTO
── JNTOのMICEプロモーション部が、国内外に対してどのような誘致活動を行っているのか全体像をお聞かせください。
巽氏「JNTOではMICEの頭文字で称される4領域のうち、I=企業などが行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)と、C=国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)を中心に取り組んでいます。一般のインバウンド観光の場合は個人旅行客に対するBtoCのプロモーションが中心になりつつありますが、国際会議についてはBtoBのマーケティング活動が中心になります。
国際会議の誘致は国内主催者による立候補と、国際本部が開催地を決める2つのパターンがあります。前者のケースでは、日本の学協会に立候補に動いていただけるよう国内で開催する意義を知っていただく活動が、団体の国際本部主導型の場合は、国際団体・学協会本部関係者や彼らが主催する国際会議の企画や準備・運営を担う海外コアPCO(Professional Congress Organizer)へのプロモーションが必要になります」

── 訪日外客数全体ではアジア市場が中心ですが、MICEプロモーションのターゲットとなる主要市場も同様なのでしょうか。
巽氏「国際会議については特定の市場に限らず世界中から参加者が集まってきます。国際本部の所在地や会議の参加者は欧米が多く、フランクフルト、ラスベガス、バルセロナといった都市で開催されるMICE見本市に出展する事業では、主催者が集めたバイヤーと商談します」
── 北海道から沖縄まで全国で66名いる「MICEアンバサダー」は、どのような活動をしている方々ですか。
巽氏「国際会議を誘致しましょう!と大学や学術団体に働きかけてもどうやって招致するか、どのような手順が必要なのかに関するノウハウがないことが多いので、国際会議の誘致に積極的な先生方や主催者の方々にアンバサダーになっていただいています。会議の誘致や開催の際にはご支援させていただくとともに、先生方のご経験を次の世代や周囲の人々に伝授していただき、JNTOと主催者が継続的な関係を築いて、日本で国際会議を開催するメリットをより広く知っていただこうと取り組んでいます」
── 今年も6名の方が新規に就任しましたが、MICEアンバサダーにはどのような方がいらっしゃるのでしょうか。

巽氏「実際に国際会議の誘致開催の経験がある方々や、日本学術会議の三石衛会長などアカデミアの分野で影響力のある方々にお願いしています。今年度6名の新規アンバサダーに就任いただきましたが、中には、認定書をお渡しする際に地元で記者会見を開いたり、メディア取材をしていただいたりもしています。
このうち、慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の荒川和晴先生が、山形県鶴岡市で『第16回国際クマムシ学会』を6月に開催した際には、地元の高校生が英語でガイドを行う出羽三山神社エクスカーション(*会議プログラムの一環として会議参加者およびその同伴者のために計画された小旅行)を行うなど、地域の人々とも交流を行うことが伝えられました。海外ではMICEアンバサダーは都市単位で組織化する例が多く、JNTOのように国単位であれば、東京の先生が沖縄で会議を開催するといった、地域をまたいだ活動もご支援や連携ができます」
この続きから読める内容
- 地方都市での誘致も順調、1回の開催で数百人が来訪する経済効果にも注目
- 地域の観光体験プログラムを提供、市民との国際交流の面でも貴重な機会
- 高付加価値旅行者向け体験コンテンツは、インセンティブ旅行にも通用する
- プロフィール:日本政府観光局(JNTO) MICEプロモーション部長 巽麻里子氏
- 著者プロフィール:萩本 良秀
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