全国12万件の地域観光情報をGoogleマップ/検索で発信、その仕組みは?サービス運営の日本観光振興協会に取材

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全国47都道府県から約12万件の地域観光情報を集める「全国観光情報データベース」。日本最大級の観光データを保有する同サービスを運営するのが、公益社団法人日本観光振興協会です。2025年5月からは、データベースの情報をGoogle マップGoogle 検索上に表示する取り組みも始まっています。

そこで今回訪日ラボでは、データベースの特徴やGoogleへの情報表示の仕組み、そして同サービスが果たす役割について、日本観光振興協会 理事(事業推進グループ(調査部・観光DX共創部担当)) 田中剛一氏、事業推進グループ 観光DX共創部 片山茉優氏のお二人にお話を伺いました。

左から、日本観光振興協会 理事(事業推進グループ(調査部・観光DX共創部担当)) 田中剛一氏、同協会 事業推進グループ 観光DX共創部 片山茉優氏
▲左から、日本観光振興協会 理事(事業推進グループ(調査部・観光DX共創部担当)) 田中剛一氏、同協会 事業推進グループ 観光DX共創部 片山茉優氏

関連記事:日本観光振興協会、Google検索・マップへ観光情報を提供開始

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「全国観光情報データベース」とは?

全国観光情報データベースは、国内観光の振興を図るため、日本観光振興協会によって運営されるデータベースです。各都道府県や市区町村などから地域観光情報を収集し整備しており、その総数は約12万件にものぼります。

これらの情報は、同協会が運営する一般旅行者向けの旅行情報サイト「JAPAN 47 GO(ジャパン・ヨンナナ・ゴー)」にも反映され、自治体等から集めた信頼性の高い情報のみを掲載していることが特徴となっています。

また、地域観光情報に加え、連携する各企業から決済データや人流データなどを集めて可視化することで、簡単にデータ分析することを可能にしたのが、「日本観光振興デジタルプラットフォーム(通称:デジプラ)」自治体DMO・観光協会を中心に、さまざまな企業・団体の観光DX・戦略立案・データ活用を支援するデータプラットフォームとなっています。

片山氏「観光関連の情報やデータはさまざまなところに散らばってしまっているので、それらを一つにまとめ、データベース化および可視化を行っています。地域観光情報については自治体の皆様に管理画面をお渡しして直接更新いただいており、データの正確性や信頼性、さらには地域のイベントなどの最新情報が掲載されていることが強みです」

田中氏「協会の信頼性やネットワークを活かしながら、官民との連携を進め、地域のために資することをやっていくのが私たちの役割だと考えています。その中で全国観光情報データベースは、全国の都道府県や市区町村の協力のもとで整備した日本最大級のデータベースであり、効果的に情報発信をしています。この度Googleサービスと連携したことで、国内外への発信力が強化されました」

Google上に地域観光情報を提供、その背景は?

先述した通り日本観光振興協会は、2025年5月から全国観光情報データベースに掲載されている地域観光情報をGoogleに提供。Google 検索およびGoogle マップにて観光情報を検索した際、検索キーワードに応じて画像などの情報が適宜表示される仕組みになっています。

連携される情報は写真のほか、Google ビジネス プロフィール上の住所、営業時間、サービスの説明文などについて、全国観光情報データベースの情報をもとに登録・更新することができます。

また、多言語対応については、Google側に表示される情報の中で、自動翻訳に対応しているものであれば同様に翻訳される仕様のため、国内客だけでなくインバウンド客向けの対策としても有効にはたらきます。

田中氏「今は観光情報もスマートフォンを利用して探す時代になりましたが、12万件というのは日本最大級で、これだけの観光情報を持っているところはほかにありません。Google側にも日本の観光情報を検索する際のユーザー体験(UX)を強化したいという思いがあったということで、今回の取り組みが実現しました。

また、自治体や地域側の課題感としても、旅行者がGoogle 検索やGoogle マップを使っているというのはなんとなく認識している方が増えてきたものの、そうしたサービスとどう連携・活用していいかわからないという声をよく聞きます。私たち協会がGoogleへ情報を提供することにより、地域の皆様が持つ情報をGoogleのユーザーにみてもらえるようになり、発信力が強化されたというのは非常に大きいと思います」

片山氏「よく知られた有名なイベントだけでなく、小さなイベントなどマイナーな情報も載っています。近年では訪日旅行者の旅行形態が団体旅行から個人旅行にシフトし、旅行者のニーズが多様化してきている中で、たとえば地域のお祭りに参加したい、といった細かなニーズにも応えていけるのではないかと思います」

なお、観光情報の提供には、自治体向けに提供される「JAPAN 47 GO」の管理画面「Kuroco(クロコ)」上でGoogle ビジネス プロフィールの認証をした上で、コンテンツごとに情報提供への同意が必要です。それらの設定後、Googleの審査基準を満たすことで、ユーザーの検索語句に応じて検索結果上に表示されるようになります。

日本観光振興協会主催「観光DX支援セミナー」を取材

今回は日本観光振興協会のお二人へのインタビューに加え、8月22日に行われた「観光DX支援セミナー」を取材しました。

セミナーでは「デジプラ」に関する案内のほか、プラットフォームに紐づく民間企業によるデータの紹介、そして地域観光情報をGoogleへ情報提供するにあたって地域側がやるべき設定などについて解説がありました。

冒頭あいさつでは、日本観光振興協会 常務理事の檜垣克己氏が登壇。「『デジプラ』は、約30のマーケティングデータを保有する、日本最大級のBIツール。自動更新されるため、常に最新の状態で閲覧することができる。また、そのマーケティングデータの一つである全国12万件の観光情報を保有する『全国観光情報データベース』。これも日本最大級だ。経済産業省と内閣官房が提供する『RESAS』とも連携し、国内の人流データ分析が可能となった」と言及。

また、Googleへの情報提供については、「今年からはGoogle ビジネス プロフィールの管理用に代理店登録* を行い、観光情報をGoogleに提供することで、世界に広く情報発信を行う。観光情報データが多くのユーザーの目に触れるようになることで、地域への訪問機会を創出していく。これにより国内だけではなく、世界各国への発信力が強化される」と述べました。

* Google ビジネス プロフィール ヘルプ:ビジネス プロフィール用に代理店登録する

日本観光振興協会 常務理事 檜垣克己氏
▲日本観光振興協会 常務理事 檜垣克己氏

また、同協会 観光DX共創部からは、Googleへの情報提供に関する操作説明がありました。

以下にその内容を抜粋して解説します。

日本観光振興協会 事業推進グループ 観光DX共創部 片山茉優氏
▲日本観光振興協会 事業推進グループ 観光DX共創部 片山茉優氏

まず、Google ビジネス プロフィールのオーナー認証を取得していない場合は「Kuroco(※「JAPAN 47 GO」の管理画面)」上でビジネス プロフィールの作成・認証が行えます。Kuroco上で認証を行うと、日本観光振興協会に代理アカウントが付与され、Googleへの情報提供ができる状態となります(Googleアカウント全体の権限が移行されることはありません)。コンテンツごとの同意設定を行うことで、情報提供を開始します。

オーナー認証を取得済みの場合は、Kuroco上で「Google ビジネス プロフィール表示希望」で「同意」を選択、「Google ビジネス プロフィール認証済み」を「認証済み」にして更新すると、メールアドレスに代理アカウントのリクエストが届きます。「返信」「管理者として追加」を選択して送信すると、セットアップが完了します。この場合もコンテンツごとの同意設定を行ってください。

なお、Googleへの情報提供を希望しない場合は、そのように設定することも可能です。「Google ビジネス プロフィール表示希望」は「選択なし」、「Google ビジネス プロフィール認証済み」は「認証済み」もしくは「選択なし」とし、「更新」して管理画面の編集を終了します。

「全国観光情報データベース」を活用して国内外への観光情報発信へ

今回は、日本観光振興協会へ「全国観光情報データベース」からGoogleへの情報提供を行う取り組みについて取材しました。

Google マップGoogle 検索は観光地や飲食店小売店宿泊施設、イベントなどさまざまな情報を調べるのに活用されており、その対策は国内旅行者だけでなくインバウンド旅行者向けにも有用です。

これまでGoogleにおける観光地の検索対策をできていなかったため新たに実施したい、あるいはさらに強化していきたいという自治体の方は、日本観光振興協会のHPよりお問い合わせください。

お問い合わせ先:

公益社団法人日本観光振興協会 事業推進グループ 観光DX共創部

https://lp.nihon-kankou-dx.info/


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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