観光庁の村田茂樹長官は11月18日、定例会見を実施。同日に発表された日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計などについて報告しました。
さらに長官は、中国による日本への渡航自粛要請やクマの被害対策などについても所感を述べました。
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10月の訪日客数は389.6万人
10月の訪日外国人数は389万6,300人(前年同月比17.6%増)となり、10月として過去最高を記録しました。長官はインバウンドの状況について、引き続き力強い成長軌道に乗っていると説明しました。10月に国慶節・中秋節連休のあった中国については、訪日客数が71万5,700人(前年同月比22.8%増)となり「引き続き好調な状況が続いている」という認識を示しました。
長官は、JNTOが中国の旅行会社に実施したヒアリング内容を紹介し、ゴールデンルートを中心とした旅行商品だけでなく地方向けの旅行商品の需要が拡大したと述べました。また、ものづくりや文化体験など親子で楽しめるコンテンツが人気だったことや、少人数グループやオーダーメイド型の旅行商品が好調であったとの報告を受けたと話しました。
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中国の訪日自粛要請の受け止め「動向を注視する」
中国の外務省は11月14日、文化観光部は16日に、自国民に対する日本への渡航自粛を要請する勧告を発表しました。長官は「現在、外交ルートで様々なやりとりが行われていると承知している」とした上で、中国人旅行者の訪日旅行に与える影響について「予断をもって述べることは差し控えたい」として明言を避け、「引き続き、中国からの訪日旅行者の動向を注視していく」と話しました。
今後の中国向けプロモーションについて変化があるのかを問われると、「諸般の事情を見極めながら、基本的には訪日プロモーション活動をはじめとした必要な取り組みを進めていく」として、中国側の措置を受けた施策の変更は現時点で予定していないと説明しました。
観光立国推進基本計画の改訂に向けた議論について
現在、観光立国推進基本計画の改訂に向けた議論が進められており、10月27日には第53回 交通政策審議会観光分科会が実施されました。都市部を中心とした一部地域への観光客の偏りや、過度の混雑やマナー違反によって住民生活に影響が生じている現状を踏まえ、新たな基本計画の柱の一つとして「インバウンドの受け入れと住民生活の質の確保との両立」が検討されていると報告しました。
また、訪日客や日本人の地方部における延べ宿泊者数を目標として設定する案が概ね了承されたと述べ、引き続き今年度末までの策定に向けて検討を深めたいと語りました。
国際観光旅客税(出国税)の拡充に向けて
11月4日、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が開催されました。同会議では、高市総理より国土交通大臣に対して、国際観光旅客税(出国税)の拡充・観光客の過度な集中の防止と地方分散の推進・マナー違反等のオーバーツーリズム対策の強化・各種民泊の適切な運営確保等に向けて検討を進めるように指示がありました。そのうち出国税の拡充については、税制改正のプロセスにおいて議論されるものとした上で「総理からの指示も踏まえ、施策に必要な財源を確保できるように努めたい」と述べました。
また民泊については、例えば民泊制度運営システムと仲介サイトをデータ連携させることで、仲介サイトから違法な民泊を除いていくなど、関係省庁と連携して対策を検討していきたいと語りました。
クマ被害の観光業への影響について「情報発信が重要」
最近、日本各地でクマによる被害が増加傾向にあり、イギリス政府がWebサイトにてクマへの注意喚起を呼びかけるなど、訪日客にも懸念が広がっています。長官はクマによる被害について「インバウンドを含む観光客や観光事業者にもクマの被害が及んでいると承知している」として、11月14日に政府で取りまとめられたクマ被害対策パッケージにおいても、観光客の安全確保対策を講じることが盛り込まれたと説明しました。
その一環として「情報発信が極めて重要」と強調し、関係省庁や自治体等とも連携しつつ、インバウンドを含む観光客に対してクマの注意喚起や出没情報などを多言語で発信していると述べました。
今後も風評被害による訪日旅行への影響や地域における宿泊者数の動向を注視しつつ、観光客の安全確保に向けた地域の取り組みを支援したいとして、必要な対策を講じていく考えを示しました。
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