台湾大手旅行代理店に聞いた、訪日旅行市場のリアル:可樂旅遊・世邦旅遊の2社へ取材【台湾インバウンド解体新書 by カケハシ vol.2】

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連載:台湾インバウンド解体新書 by カケハシ

台湾市場を15年見続けてきた「カケハシ」がお届けする連載「台湾インバウンド解体新書」。

第2回の今回は、台湾最大級の旅行博ITF台北国際旅展」での台湾大手旅行代理店への取材をもとに、旅行需要の状況から、台湾側から見た「日本側の課題」「日本旅行マーケットの今後」まで具体的にお伝えしていきます。

2025年も、日本は台湾人にとって「一番身近で、一番通う海外旅行先」であり続けている。11月7〜10日に台北・南港展覧館で開催された台湾最大級の旅行博ITF台北国際旅展」でも、その熱気ははっきりと感じられた。

第1回:台湾で“バズる”理由とは?現地ドラッグストアに学ぶインバウンド集客のヒント

ITF台北国際旅展の様子
▲初日7日と8日は天気に恵まれ、大行列が見られた

旅行代理店各社が大売り出し(ITF台北国際旅展)
▲旅行代理店各社が大売り出し

本稿では、台湾の大手旅行会社「可樂旅遊(コーラツアー)」マーケティング・広報経理(マネージャー)黃盈甄氏、中堅旅行会社「世邦旅遊(スパンクツアー)」マーケティング 経理・魏苑玲氏の2名へのインタビューをもとに、台湾発の日本旅行マーケットの現状と、日本側が取り組むべき課題・チャンスを整理する。

コーラツアーのマーケティング・広報マネージャー 黃盈甄氏(ITF台北国際旅展)
▲コーラツアーのマーケティング・広報マネージャー 黃盈甄氏
スパンクツアーのマーケティングマネージャー魏苑玲氏(ITF台北国際旅展)
▲スパンクツアーのマーケティングマネージャー魏苑玲氏

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1. 日本旅行の需要は「好調が続いている」

東京から大阪へ、そして地方・四季体験へ

両氏ともに口を揃えているのが、「ここ1〜2年で大きな落ち込みはなく、好調が続いている」という点だ。

  • 台湾人の日本旅行人気はコロナ前から変わらず高く、リピーター比率はさらに上昇
  • 可樂旅遊が出展した各地の旅行展(台中・高雄・ITF)でも、「一番売れるのは日本」という状況は不動

日本旅行の好調は変わらない一方で、行き先には変化がある。

首位は東京から大阪へ

コロナ前は台湾人の日本旅行といえば「まず東京」が定番だったが、現在は大阪が首位に。

USJの存在に加え、関西各地へのアクセスの良さ、そして「関西北陸中国地方」など周遊のしやすさが後押ししている。

地方都市への分散:東北・中国・九州へ

黃氏・魏氏ともに、地方都市への需要の高まりを強調する。

  • 東北:仙台を拠点に、山形・青森などを周遊
    • 例:蔵王の樹氷、青森の冬景色など「台湾にはない四季・雪景色」を体験したいニーズが強い
  • 中国・九州:岡山、熊本、福岡などもじわじわ人気上昇
  • 四国:特に愛媛行き直行便の存在により、今後の伸びしろが大きいエリアとして注目されている。四国に行ったことのない台湾人がまだ多く、リピーターの次の旅行先候補となりやすい

台湾人にとっては「自国にはない四季を感じる旅」がわかりやすい魅力であり、“季節性×地方”のコンテンツは引き続きキラーコンテンツといえる。

TSMC効果で熊本旅行の需要も高まる(ITF台北国際旅展)
▲TSMC効果で熊本旅行の需要も高まる
台湾で四国の旅行需要が高まっている(ITF台北国際旅展)
▲台湾で四国の旅行需要が高まっている

商品トレンド:自由行動+テーマパーク+交通パス

商品面のトレンドとしては、以下のポイントが挙がった。

  • 東京・大阪など都市部ツアーでは、1〜2日の自由行動を組み込んだパッケージが人気
  • 交通系・入場券系は相変わらず堅調
    • JRパスなどの周遊券
    • スカイツリー、USJ、「ハリー・ポッター」関連施設などテーマパーク・観光施設のチケット

「ある程度の安心感はツアーで担保しつつ、現地では自由に遊びたい」

これが、いまの台湾人の日本旅行の主流モードだ。

2. セグメント別ニーズの違い

富裕層は「同じ場所でも“体験の質”に投資」

黃氏によると、富裕層と一般層の違いは体験への投資額」に現れる。

  • 一般ツアー:白川郷合掌造りは「見学」して終わることが多い
  • 富裕層向け:合掌造りの宿に実際に泊まるなど、「その土地でしかできない滞在体験」を求める


つまり、「行き先」は同じでも、“どれだけ深くその土地を味わえるか”が富裕層の商品価値になっている。

白川郷は台湾では合掌村という呼称で親しまれる(ITF台北国際旅展)
▲白川郷は台湾では合掌村という呼称で親しまれる

若年層 vs シニア・ファミリー

魏氏によると、年齢層によるニーズの差は比較的はっきりしている。

  • 若い層:コスパ重視+自由度重視
    • 価格と自由時間のバランスが重要
    • FIT(個人手配)や、自由行動多めのツアーを好む
  • シニア層・ファミリー層:安心重視
    • 団体ツアーへの参加率が高い
    • 交通・食事・言語など「全部お任せ」の安心感を求める


この続きから読める内容

  • 3. 台湾側から見た「日本側の課題」
  • 1. 言語対応とバリアフリー情報
  • 2. 鉄道の大型荷物ルールの「分かりにくさ」
  • 3)ベジタリアン対応の多様性に追いつけていない飲食店
  • 4)タックスフリー制度の“わかりにくさ”
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この記事の筆者

カケハシ(媒迪亞維博有限公司)

カケハシ(媒迪亞維博有限公司)

秋山 光輔(あきやま こうすけ)

台湾法人カケハシ 代表取締役

2011年に台湾インバウンド専門のマーケティング会社「カケハシ」を創業。大手日系企業のSNS運用、インフルエンサー施策、台湾メディアとのタイアップなどを多数手掛ける。台北101隣接エリアにオフィスを構え、現地ニュースを発信する「台北経済新聞」を運営。台湾の生活感覚や消費マインドを熟知し、台湾のテレビ番組にも出演するなど、訪日インバウンドの専門家として紹介された実績を持つ。台湾人の妻を肺癌で亡くし、シングルファザーとして子育てと経営を両立。民間と行政、現場とデータ、感性と論理を横断する存在として注目されている。


杉原 明日香(すぎはら あすか)

日本窓口営業部長/台北経済新聞副編集長

大学生時代の語学留学をきっかけに台湾に深く根を下ろし、現地コミュニティの中で培ったリアルな感覚を強みとする。台湾人のパートナーとの結婚と子育てを通じて、生活面でも台湾文化に根ざした視点を持つ。現在は営業部長として、台湾人旅行者に響くプロモーション設計をリードしている。


呉屋 徳夫(ごや のりお)

台湾向け実務担当マーケター

沖縄出身の台湾華僑。台湾と日本、両方のネイティブな文化を熟知するバイリンガルの強みを活かし、現地ネットワークづくりや台湾向けSNS企画&発信など実務全般をリード。

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