ムスリムフレンドリーとは、ハラル認証を受けることが何らかの理由で難しい場合に、できる範囲でイスラム教徒に対する配慮のある製品や施設やサービスを提供することや商品を意味します。
ハラル認証とは各認定機関により定めされた基準に合致していることで取得のできる免許のようなものです。
一方で、ハラル認定には国際的な基準が存在しない、認証を行う団体が国内で乱立しているなどの問題が発生しています。ハラル認証とは別に「ムスリムフレンドリー」「ローカルハラル」といった基準も存在します。
それぞれの違いを正確に把握しなければ、ハラル認定を得たつもりが想定していた客層にまったく訴求できていないという事態にもなります。
今回はハラル認定にまつわるややこしい概念をご紹介します。
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ハラル認証とその問題点:国際的な基準が不在
イスラム圏の訪日外国人観光客を開拓できることから、ハラル認証には以前から注目が集まっていましたが、同時にいくつかの難点があることでも知られています。
まずよく知られているのは、戒律の理解の仕方がそれぞれの宗派、個人によって違うことです。
イスラム教徒と一口に言っても教えを厳格に守ろうとする人から寛容な態度をとる人までさまざまです。
また、ハラルか否かの国際的な基準はないため、「これさえしておけば安心」という方法論を確立することが困難です。
ましてや、イスラム教が浸透しておらず、知識のある人が少ない日本ではなおさら難しいでしょう。ハラル認証を行う団体に頼れればよいのですが、その認定基準もまちまちなのが実際のところです。
そのうえ、近年、乱立していることもあり、信頼できる団体を見つけるのにも骨を折るのではないでしょうか。
ムスリムフレンドリーとローカルハラル
宗教の戒律をどのように守るのかは、周辺知識や経験がなければ理解が難しい部分ではあります。
しかし日本を訪れるイスラム教徒は増えており、イスラム教徒の滞在に適した環境づくりは、食事の提供を含め喫緊の課題です。
ムスリムフレンドリーとローカルハラルという二つの基準について紹介します。
ムスリムフレンドリーとは
ムスリムフレンドリーとは、店舗や施設がイスラム教徒が必要とするものを理解し、できる範囲で適切なサービスを提供することを指します。
具体的にはそれぞれの素材を使わない「ポークフリー」「アルコールフリー」のメニューなどのことを指します。
「ハラル認証」は本来、すべてのイスラム教徒が安心して利用できるように戒律に忠実であるべきだとされています。一方で、ムスリムフレンドリーは部分的にでも戒律に適合するように配慮しているのが特徴です。
利用するかどうかはイスラム教徒であるユーザーの判断に委ねる形になり、サービス内容を誤解がないように情報発信していくことが必要になるでしょう。
ローカルハラルとは
ローカルハラルとは、各国の実情に合わせたハラルのあり方のことです。
たとえば、厳格な基準でハラル認証を行う場合、ムスリムが毎日厨房を管理する必要があります。しかしこれは日本ではかなり実現が難しい方法です。
そこで、可能な範囲でハラルな食品を提供するための管理を行い、イスラム教徒の訪日外国人観光客をもてなそうという考え方が「ローカルハラル」です。
店舗が取り組みやすいことなどから、ローカルハラルは近年日本国内で広まりを見せていますが、様々な立場からの批判が無いわけではありません。
ハラルな食品の提供の仕方はすでに存在するにもかかわらず、「ローカルハラル」という新たな概念を作り出したら事態をややこしくなるだけなのではないかとの批判も存在します。
東南アジアからの訪日イスラム教徒が増加中
日本のインバウンド市場では、経済発展が著しく、地理的にも近距離であることから、東南アジアからの訪日外国人観光客が増加しています。
東南アジアの観光客にはイスラム教徒も少なくありません。ODAなどにより途上国支援を行う日本は、イスラム圏の国々からポジティブなイメージを持たれています。
しかし残念ながら、イスラムの教えを理解し配慮を行う飲食店などが少なく、旅行しにくいのも事実です。イスラム教の戒律では、厳しい食事の制限が定められています。飲食店が彼らに利用してもらうには、ハラル認証が必要だと言われています。
インバウンド市場が盛り上がった2019年においても、イスラム教徒の受け入れに注力する事業者はまだ多くありませんでした。
今後も事業者に先んじてイスラム教徒が利用しやすい環境づくりを行えば、大きなビジネスチャンスをつかめる可能性もあります。
ムスリムフレンドリーやハラル認証など、イスラム教への対応理解がインバウンド業界のキーワードに
日本での対応が難しいハラルには、「ローカルハラル」「ムスリムフレンドリー」などの類似概念が存在します。いずれもイスラム教国でない日本で、できる限りハラル対応を行おうとするものであり、厳格に戒律を守ろうとするムスリムにはあまり好まれないことも考えられます。
宗教的、国際的なトラブルに発展させないためにも、それぞれの発想をよく理解しておくことが重要です。
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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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