訪日タイ人観光客は親日的といわれ徐々にリピーターが増えてきており、日本の情報にも感度が高いのが特徴です。訪日タイ人観光客に適切なプロモーションをするには、ニーズを的確に把握することが欠かせません。訪日タイ人観光客を迎え入れる企業のインバウンド面での取り組みを確認してみましょう。
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訪日タイ人観光客が日本への観光旅行で期待すること
訪日タイ人観光客は日本食やショッピング、繁華街の街歩きや自然・景勝地観光などに期待するとともに、日本の体験型レジャーへのニーズも高くなっています。スキー・スノボやテーマパーク、日本の歴史や伝統文化体験、自然体験などが人気です。
訪日タイ人観光客の日本観光
訪日タイ人観光客は女性が過半数の55%となっており、年齢層は若めで、40歳代以下の女性だけで約40%を占めます。男性の場合は30台がボリュームゾーンとなっており、16.9%となっています。
家族連れが3割、友人との旅行は1.5割となっており、どちらも訪日外国人観光客全体の平均よりも高い数値となっており、一人旅は少ない傾向です。滞在期間は4〜6日間が約半数の47.6%、7〜13日間が36.5%となっており、ほとんどの訪日タイ人観光客が1〜2週間程度の旅程で訪日しています。
訪日タイ人観光客増加への宿泊施設企業のインバウンド対策
訪日タイ人観光客増加にむけた企業のインバウンド対策の成功事例としては北海道の枝幸町(旧・歌登町)と枝幸町に位置する「うたのぼりグリーンパークホテル」があります。
北海道は札幌を中心として中国人を筆頭としたアジア人に人気の観光スポットですが、枝幸町は北海道の道北に位置し、札幌からは200km(東京―名古屋間に相当)も離れています。
交通アクセスや観光資源の面からいえばけっして有利とはいえない地域です。
企業の顧客志向のインバウンド対策が効を奏する歌登
枝幸町は人口2,000人程度の町です。2009年から訪日タイ人誘致のためのプロモーションを開始。その年には0人だった訪日タイ人観光客が、4年後の2013年には1200人以上の訪日タイ人観光客が訪れる大成功を収めています。
そのインバウンドタイ人誘致の中心にいるのが「うたのぼりグリーンパークホテル」です。
うたのぼりグリーンパークホテルのインバウンド対策とは
うたのぼりグリーンパークホテルのインバウンド対策は、訪日タイ人観光客のニーズを徹底的に取り入れることからはじめました。彼らの要望にこたえ、流しそうめんやマグロ解体ショー、たこ焼き、餅つき、盆踊りなどを、浴衣、作務衣姿の訪日タイ人観光客が楽しんでいます。日本らしい日本のてんこ盛りになっていますが、まさしくユーザーイン(*)の発想でのインバウンド対策を行ったことにより、訪日タイ人観光客からの人気を集めています。
*ユーザーイン:マーケティング用語で、顧客の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行うこと。マーケットインとも言う。対義語はプロダクトアウト。
体験型レジャー企業のインバウンド対策
千葉市の「ドラゴンファーム」はイチゴ狩り農園として訪日タイ人観光客に人気です。けっして派手ではありませんが、毎日のFacebookの更新など訪日タイ人観光客に対するきめ細やかで地道な取り組みが効を奏しているようです。
また、訪日タイ人観光客の人気を受けて、案内板もイラスト付きのタイ語で説明されています。
地図の老舗企業昭文社が旅アプリ「DiGJAPAN!」で企業のインバウンドをアシスト
地図や観光情報の大手企業・昭文社は2015年、旅アプリ「DiGJAPAN!」をタイ国際航空などと提携してプロモーションするキャンペーンを行いました。商品・サービス情報を提供できるので、企業のインバウンド対策に利用されています。
まとめ:大企業でなくてもインバウンド対策はできる
訪日タイ人観光客に働きかける日本企業のインバウンド対策は大企業でなくても充分実践できるものです。そのためには訪日タイ人観光客のニーズを把握したうえで、企業自らのセールスポイントを積極的にアピールしていく姿勢が大切です。現代ではSNS、Webサイトなどを利用すれば、低コストで世界に情報を提供することができます。
<参照>
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査 平成27年の年間値の推計
- JNTO:訪日旅行データハンドブック2016(世界20市場)
- 国土交通省 北海道開発局:タイ人観光客がわが町に大挙!広域周遊観光を支える高速道路
- ザイ・オンライン:なぜ北海道の歌登にタイ人観光客が大挙しているのか?
- SEKATABI:訪日タイ人旅行者が押し寄せる千葉県にある小さな「イチゴ狩り農園」のヒミツ
訪日タイ人観光客インバウンドデータ集
データでわかる訪日タイ人観光客
タイ人は1人あたりGDPが6,000ドル弱で(世界94位)程度で、インバウンドが盛んな国の中ではそこまで経済力があるほうとは言えません。しかしながら、訪日タイ人は、そのあまり高くはない経済力に対してかなり高額の支出をしています。「豊かさ」を表すGDPを例にとって見てみましょう。
訪日タイ人の特徴・国民性・旅行スタイル
2013年のビザ発給要件緩和以降、円安効果とバーツ高効果もあり、近年急激にインバウンド消費において存在感を放つ訪日タイ人観光客。中国や台湾をはじめとした訪日ブームが加速している東南アジアの中でも、成長率が最も著しい国の一つです。タイは熱帯に位置しているため、年間を通じて気温が30℃ぐらいが平均です。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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