主に訪日中国人観光客に人気の訪日観光ルート「ゴールデンルート」。最近では訪日中国人観光客のなかでも初訪日割合が減ってきており、2順目には団体旅行ではなく、個人旅行(FIT)での計画を考えている訪日中国人観光客が増えてきています。
ゴールデンルートは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪といった日本観光の王道をくまなく回るルートであり、その工程は基本的に団体旅行で組まれています。団体旅行の減少、そして現在のFIT人気も相まって、次期インバウンド主要地域として注目を浴びているのが北海道です。
今回は、なぜ北海道が訪日外国人観光客に人気なのかについてご紹介していきます。
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実はもともと訪日外国人観光客に知名度&人気のあった北海道
訪日中国人観光客といえば爆買いをして、ゴールデンルートを回っていて、その他の地域には目にもくれない―そんなイメージがあるのではないでしょうか。
日本政策投資銀行が2013年に発表した「アジア8地域・北海道観光に関する訪日外国人の意識調査」によると、そうではないことがわかります。
北海道の知名度&訪問意欲はゴールデンルート並
日本政策投資銀行の調査によれば、北海道に対する認知度と訪問意欲が非常に高く、ゴールデンルートに所属する観光地と同等水準以上と日本でトップレベルです。
このように、地域全体では東京は認知度76.8%、訪問意欲47.0%なのに対し、北海道は認知度65.7%、訪問意欲44.6%を誇っています。
地域別で見た時に特に訪問意欲が高いのが中国、台湾、香港、シンガポールで、これらの地域では、東京を超える北海道への訪問意欲がある模様。
訪日中国人観光客に北海道が人気の理由は2008年公開の大ヒット映画のロケ地が北海道だった
訪日中国人観光客からの北海道人気のルーツをたどると、2008年に公開、2009年には中国映画史上最高となる50億円の興行収入を記録した中国映画にたどり着きます。日本でも有名なビビアン・スーも出演した「狙った恋の落とし方。」(中国名:非誠勿擾(フェイチェンウーラオ))です。
主な北海道でのロケ地は
- 網走市 北浜駅、能取岬
- 厚岸町 国泰寺、厚岸道立自然公園
- 釧路市 炉端~煉瓦、阿寒湖温泉、阿寒国立公園、ホテル~鄙の座・鶴雅、炉端~浜っ子、ANAクラウンプラザ釧路
- 弟子屈町 阿寒横断道路、屈斜路湖
- 斜里町 キリスト兄弟団斜里教会、岩尾別温泉、斜里町立国保病院、国設知床野営場、知床国立公園
- 美幌町 美幌峠―wikipedia「狙った恋の落とし方。」より引用
で、映画後半の主舞台が東北海道であったことから、映画の大ヒットも相まって中国に北海道観光ブームを巻き起こしました。映画の舞台を実際に訪れる「ロケツーリズム」ないし「聖地巡礼」の形式で訪日中国人観光客が北海道に押し寄せることになります。
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映画のヒットで北海道を訪れる訪日中国人観光客が約倍の9.3万人に
この映画のヒットによって、中国に北海道旅行ブームが訪れます。北海道経済部観光局によれば、映画公開の前年2007年度の中国人来道者数(北海道を訪れた訪日中国人観光客)は2.7万人、公開の年2008年度には4.7万人、そして翌年度には、その約倍の9.3万人にまでのびています。
その後、東日本大震災の影響で2011年度および2012年度には客足が遠のくものの、その反動もあってか、2013年度から2014年度までは驚異的な伸びを見せています。
まとめ:あまり知られていない北海道ブーム
北海道は風光明媚な自然、豊富なグルメといった日本人にも人気な観光地としての特徴を持っています。もちろん、映画「狙った恋の落とし方。」のヒットも影響したとは思いますが、北海道の継続的なプロモーションと観光地としてのブランディングが大成するための瞬間的な追い風だったのではないでしょうか。
冒頭の方でご紹介した調査結果にもあるように、赤道に近い東南アジアの地域では、雪が見られるというのもあり北海道は非常に人気を博しています。今後、北海道を起点とした新しいゴールデンルートが形成される可能性も存分にあると思われます。
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