国土交通省が、日本各地の観光できるインフラ施設を紹介する「インフラツーリズム ポータルサイト」を公開しました。
インフラツーリズムは近年、高い人気を集めている観光スタイルです。東京都や京都府、大阪府といった観光に強い地域以外にも有名スポットが点在しています。
インフラツーリズムでは、ダムや橋などのインフラ施設がそのまま観光資源として活かせ、地域による特色が色濃く反映されるのが特徴です。今回は事例を交えつつ、インフラツーリズムについて解説します。
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インフラツーリズムとは
インフラツーリズムとは橋、ダムをはじめとしたインフラ施設を見学する観光スタイルです。既存のインフラ施設だけでなく、工事中のものを見せる場合もあります。長い歴史を持つ橋や石垣、水路なども対象です。
かつては施設の管理者が実施する「現場見学」のようなスタイルが多かったのですが、近年は国内でも人気が集まっており、民間の旅行会社による有料のインフラツアーも多数現れています。
インフラツーリズムが盛んになれば、社会の基盤として作られたインフラ施設がそのまま観光資源として利用できるようになります。国内のみならず、日本の技術に関心のある訪日外国人観光客、日本の文化に興味のある訪日外国人観光客からの需要が見込めるのではないでしょうか。
国土交通省では以前から、インフラツーリズムの普及に向けた取り組みを行っており、たとえば、「神田川周遊ミニクルーズ」の社会実験などを行っています。川の上から通常とは異なる視点で、都内中心部に点在する橋や石垣跡などが見られるようです。
また、投資家、政府要人などに訪日してもらい、日本の耐震・免震性能、環境性能に優れた建築物を紹介する企画を立てたことも。この際の目的は、日本の高い技術力を知ってもらい、海外からの投資や案件を呼びこむことでした。このように歴史を学ぶ、技術を学ぶ、取引先を探すといったさまざまなニーズに応えられることもインフラツーリズムの特色です。
インフラツーリズム4選
日本ではすでにインフラツーリズムが盛んに行われており、国土交通省による「インフラツーリズム ポータルサイト」では、日本各地のツアーが紹介されています。
インフラツーリズムの対象となる施設には各地域の気候、地形などの違いが色濃く反映されています。例としていくつか取り上げてみましょう。
ダムは定番スポット
ダムは、日本のインフラツーリズムにおける定番スポット。青森県(津軽ダム)、岩手県(四十四田ダム)、群馬県(八ツ場ダム)、鹿児島県(鶴田ダム)など、日本各地に観光できるダムが存在します。
山中の美しい自然、コンクリートで覆われた巨大な水源という組み合わせにはインパクトがあるのでしょう。ダムに特化した写真集なども刊行されており、ファンの多さが伺えます。
北海道知床:道路にそびえ立つ雪の壁
世界自然遺産に登録されている北海道知床。知床半島を横断する「知床横断道路」は、厳しい寒さ、大量の雪によって冬季は通行止めになります。開通の際には、ロータリー除雪車を使った除雪作業が行われます。
これによって出現するのが、道路脇にそびえ立つ「雪の壁」。道路を開通するために取り除かれた雪が、そのまま観光スポットになっています。
愛知県・名古屋環状2号線の工事現場
名古屋市の外周部を通る名古屋環状2号線の工事現場では、日光川に架かる橋、道路の上を交差する高架橋の工事を同時に見ることができます。
工事現場の中では珍しい存在らしく、土木技術者を目指す日本高校生、海外からの見学や視察が訪れています。
兵庫県・明石海峡大橋
明石海峡大橋は、明石海峡を横断して兵庫県神戸市と淡路市を繋ぐ吊り橋。長さは世界最長となる3,911m。
インフラツーリズムで観光客が訪れた際には、橋の建設に使われた技術や歴史を、建設に関わったスタッフが解説します。また、通常では立ち入ることのできない管理用の通路を歩き、海面上約300mに位置する主塔に登ることも。インフラ技術についての知見を深めながら、明石海峡の絶景が楽しめます。高い人気を獲得しており、観光客は、年間約1万人。
まとめ:インフラがそのまま観光資源に
インフラツーリズムでは、インフラ施設がそのまま観光資源になります。インバウンドビジネスにおいては、他の観光地では味わえない体験を売りにできるだけではなく、日本の高い技術力を海外にアピールする機会にもなります。
すでに国内では人気のスポットが現れており、さらなる発展が期待されます。
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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