訪日外国人観光客による周遊旅行の拡大を目的に、テーマ、ストーリー性を持った形で観光ルートをまとめ、海外へ積極的な発信を行う「広域観光周遊ルート形成促進事業」。日本各地で、それぞれの地域の魅力を活かした個性的なモデルコースが設定されており、想定されるターゲット層、ニーズまで掲げられています。
今回は、欧米からアジアまで幅広い客層の獲得を目指す東北地方の広域観光周遊ルートについて見ていきましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
日本の奥の院・東北探訪ルート
東北地方の広域観光周遊ルートの名称は「日本の奥の院・東北探訪ルート」。主な対象市場は北米や台湾、タイなど。世界遺産や豊かな自然、地域に特有な文化などを観光資源に、さまざまな地域からの集客を目指しています。モデルコースは「四季が織りなす東北の宝コース」「三陸の恵みと復興コース」「日本海の美と伝統コース」の3種類です。
四季が織りなす東北の宝コース
主な観光資源は以下の通り。訪日外国人観光客に人気の高い温泉や桜、日本食に加え、世界的に認知度の高い世界遺産、ミシュラン三つ星レストランなどが楽しめます。対象市場は長期休暇が取得しやすい北米、欧州、旅行シーズンが桜や紅葉の見頃に一致するタイ。「JR JAPAN RAIL PASS」を使用した新規来訪者を想定しており、主なターゲットはパートナーや家族を同行者とする20~30代の男性です。
- 蔵王温泉(山形県山形市):1900年の歴史を持つ温泉
- 山寺(山形県山形市):1100年前に開かれた寺院
- 日本三景・松島(宮城県松島町):海に浮かぶ多島美
- 平泉(岩手県平泉町):約900年前に建てられた中尊寺金色堂を持つ世界遺産
- 猊鼻渓舟下り(岩手県一関市):絶景を楽しみながら舟下り
- 角館(秋田県仙北市):約400年前の町並みを残す
- 白神山地(青森県西目屋村ほか):世界最大級のブナの原生が残る世界遺産
- 羽黒山(山形県鶴岡市):山頂付近の五重の塔は国宝に指定
東京都から福島県に入り、東北地方を8日間かけて一周する観光ルートを想定しています。鉄道で日本海側、太平洋側の地域を巡ります。
三陸の恵みと復興コース
主な観光資源は以下の通り。対象市場は、観光名所巡りや温泉に強い関心をもつ台湾、イスラム教徒の多いマレーシア、インドネシア。漁業が盛んな地域では、豚肉などが食べられなくてもグルメが楽しめると想定しています。主なターゲットは、20~30代の女性団体客。
- 松島(宮城県松島町):日本三景として知られ、遊覧船から絶景が楽しめる
- 南三陸志津川温泉(宮城県南三陸町):志津川湾に面した露天風呂
- 南三陸キラキラ丼(宮城県南三陸町):地元産の新鮮な海産物を堪能
- 気仙沼漁港(宮城県気仙沼市):メカジキの水揚げ量が日本一
- 平泉(岩手県平泉町):保存状態が良い寺院や庭園、遺跡を持つ世界遺産
- 遠野ふるさと村(岩手県遠野市):東北地方の昔ながらの農村風景を再現
- 浄土ヶ浜(岩手県宮古市):三陸海岸を代表する景勝地
- 三陸鉄道北リアス線(岩手県):車窓から東日本大震災から復興した地域を一望
東京都から北上して仙台や気仙沼、平泉、八戸などを巡り、日本海側を往復する5日間の観光ルートを想定。東日本大震災から復興した地域の様子も見られるコース設計になっています。
日本海の美と伝統コース
主な観光資源は以下の通り。対象市場は東北の自然を評価するタイ、日本の四季、伝統文化に関心が高い北米、豪州。主なターゲットはタイの場合、個人で旅行する20~30代、北米、豪州の場合、20~30代男性の個人旅行者。ともにパートナーや家族と同行する新規客を想定しています。
- 奥入瀬渓流(青森県十和田市):景勝地として有名な滝が多数
- 洋館めぐり(青森県弘前市):明治時代の洋風建築が残る
- リゾートしらかみ(青森県・秋田県):車窓から東北地方の海、自然が望める
- 潮瀬崎のゴジラ岩(秋田県男鹿市):「ゴジラ」のように見える岩
- 相馬樓(山形県酒田市):舞娘の踊りを見ながら食事
- 加茂水族館(山形県鶴岡市):世界一のクラゲの展示数
- 村上の鮭文化(新潟県村上市):平安時代から鮭の産地として知られ、特有の文化を持つ
函館、もしくは青森空港から青森県に入り、秋田県、山形県、新潟県を5日間で観光するルートを想定。日本海側特有の自然、伝統文化が楽しめるように設計されています。
まとめ:自然や伝統文化、グルメなど幅広い観光資源を活用
東北地方の広域観光周遊ルートの特徴は日本海側、太平洋側、両方を巡る3種類のモデルコースを用意し、異なる自然や伝統文化を楽しめるようにしていること。個人旅行者、団体旅行者ともに需要を見込んでおり、対象市場も欧米からアジアまで幅広く揃えています。
今後は交通機関の整備や観光資源の拡充、プロモーションなどを行い、さらなる集客を目指します。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!