観光庁は平成28年(2016年)10月30日、訪日外国人客数が年間2000万人を突破したことを発表しました。従来、インバウンド需要拡大の目標とされていた数値で、達成されたのは今回が初。今年は熊本地震や爆買いバブルの終焉などネガティブな話題が散見されましたが、無事に1つの節目を迎えたかたちになります。
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さて、インバウンド市場は今後どうなっていくのでしょうか。年間2000万人超えという記録を実現した2016年の動向を振り返りつつ、今後の展望について確認してみましょう。
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熊本地震、爆買い終焉……ネガティブなニュースが多かった2016年
まずは2016年の振り返りから。JNTOが発表している訪日外国人客数の統計から、インバウンド市場の変化を見てみましょう。
訪日外国人客数の伸びは順調
2016年の月別推計値は現在、1~9月まで発表されています。いずれの月も訪日外国人客数は前年同月比で10~30%台の伸びを見せており、インバウンド市場が大きく飛躍した様子が伺えます。
- 1月:約185.2万人(52%増)
- 2月:約189.1万人(36.4%増)
- 3月:約201万人(31.7%増)
- 4月:約208.2万人(18%増)
- 5月:約189.4万人(15.3%増)
- 6月:約198.6万人(23.9%増)
- 7月:約229.7万人(19.7%増)
- 8月:約204.9万人(12.8%増)
- 9月:約191.8万人(19%増)
ほぼすべての月で過去最高の訪日外国人客数を記録した2015年を大幅に上回っており、右肩上がりの成長をしていることが分かります。
爆買いの終焉はあまり大きな影響をもたらさなかったもよう
このようなインバウンド市場の活況の要因として挙げられているのは、主に以下の通り。
- 円安による割安感の定着(1、2月のみ)
- 継続的に行われている訪日旅行プロモーション
- 航空路線の拡大、クルーズ船の寄港増加
- ビザの大幅な緩和
インバウンドビジネス活況の理由としてしばしば取り上げられるのは、円安、爆買いといったお金の話。「爆買いバブルが起こっているのは円安だから」「円高になればインバウンド需要は減少する」という指摘は少なくありません。しかし、円高になっても訪日外国人客数は堅調な伸びを見せており、実際には一面的な見方でしかなかったようです。それ以上にプロモーションや交通機関の拡充による成果が目立っています。
熊本地震も部分的な影響に留まる
今年、懸念されていたのは4月に発生した熊本地震による訪日外国人客数の減少。こちらはどうなっていたのでしょうか。
たしかに、同月は全国的に訪日外国人客数が伸び悩みました。しかし、桜の開花による需要増大が見られ、伸び率がやや低下した程度で、インバウンド市場全体に大打撃を与えたというわけではありません。旅行商品のキャンセルや航空、鉄道路線の運休、減便が発生した訪日韓国人観光客でさえ10%台の伸び率を記録しています。早くも6、7月頃には各種路線が再開され、そこまで尾を引きませんでした。
熊本地震は九州地方単独で見れば大きな影響があったと思われますが、インバウンド市場全体で見るとそこまで大きな事件にはなりませんでした。復興が進めば、熊本県や大分県の観光業も活気を取り戻すのではないでしょうか。
今後の展望:「明日の日本を支える観光ビジョン」で明かされた取り組みが今後も進展
近いうちに年間訪日外国人客数2000万人を記録することは、以前から予測されており、現在の目標は2020年までに4000万人。あと数年で現在の倍の人数と考えるとかなり高い目標ですが、伸び率の高さを考慮すれば不可能な数値ではありません。
この目標を掲げたうえで、平成28年度3月に発表された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、インバウンド市場を盛り上げる政府による具体的な施策が明らかにされています。国立公園のブランド化や世界水準のDMOの形成、通訳案内士をはじめとした古くなった制度の抜本的な見直しなど、すでに取り組みが進められています。2020年を目処にしているものが多く、現在の取り組みが引き続き行われていくものと思われます。
まとめ:次の目標は2020年までに4000万人!
観光庁は2016年11月初旬、年間訪日外国人客数2000万人を突破したことを発表しました。2000万人は従来目標とされていた数値であり、成長を続けているインバウンド市場は1つの節目を迎えた格好になります。今年は約2ヶ月間残っているので、この数値は2500万に迫るところまで伸びていくのではないでしょうか。
2016年は熊本地震や円高、中国の規制による爆買いバブルの終焉などネガティブなニュースが多く見られましたが、これらはインバウンドビジネス全体にはそこまで大きな影響をもたらさなかたことが印象的です。今後、政府は2020年までに4000万人突破を目指して施策を進めていく見込みです。
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