観光庁は平成28年(2016年)10月30日、訪日外国人客数が年間2000万人を突破したことを発表しました。従来、インバウンド需要拡大の目標とされていた数値で、達成されたのは今回が初。今年は熊本地震や爆買いバブルの終焉などネガティブな話題が散見されましたが、無事に1つの節目を迎えたかたちになります。
https://twitter.com/Kanko_Jpn/status/792887867554930688
さて、インバウンド市場は今後どうなっていくのでしょうか。年間2000万人超えという記録を実現した2016年の動向を振り返りつつ、今後の展望について確認してみましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
熊本地震、爆買い終焉……ネガティブなニュースが多かった2016年
まずは2016年の振り返りから。JNTOが発表している訪日外国人客数の統計から、インバウンド市場の変化を見てみましょう。
訪日外国人客数の伸びは順調
2016年の月別推計値は現在、1~9月まで発表されています。いずれの月も訪日外国人客数は前年同月比で10~30%台の伸びを見せており、インバウンド市場が大きく飛躍した様子が伺えます。
- 1月:約185.2万人(52%増)
- 2月:約189.1万人(36.4%増)
- 3月:約201万人(31.7%増)
- 4月:約208.2万人(18%増)
- 5月:約189.4万人(15.3%増)
- 6月:約198.6万人(23.9%増)
- 7月:約229.7万人(19.7%増)
- 8月:約204.9万人(12.8%増)
- 9月:約191.8万人(19%増)
ほぼすべての月で過去最高の訪日外国人客数を記録した2015年を大幅に上回っており、右肩上がりの成長をしていることが分かります。
爆買いの終焉はあまり大きな影響をもたらさなかったもよう
このようなインバウンド市場の活況の要因として挙げられているのは、主に以下の通り。
- 円安による割安感の定着(1、2月のみ)
- 継続的に行われている訪日旅行プロモーション
- 航空路線の拡大、クルーズ船の寄港増加
- ビザの大幅な緩和
インバウンドビジネス活況の理由としてしばしば取り上げられるのは、円安、爆買いといったお金の話。「爆買いバブルが起こっているのは円安だから」「円高になればインバウンド需要は減少する」という指摘は少なくありません。しかし、円高になっても訪日外国人客数は堅調な伸びを見せており、実際には一面的な見方でしかなかったようです。それ以上にプロモーションや交通機関の拡充による成果が目立っています。
熊本地震も部分的な影響に留まる
今年、懸念されていたのは4月に発生した熊本地震による訪日外国人客数の減少。こちらはどうなっていたのでしょうか。
たしかに、同月は全国的に訪日外国人客数が伸び悩みました。しかし、桜の開花による需要増大が見られ、伸び率がやや低下した程度で、インバウンド市場全体に大打撃を与えたというわけではありません。旅行商品のキャンセルや航空、鉄道路線の運休、減便が発生した訪日韓国人観光客でさえ10%台の伸び率を記録しています。早くも6、7月頃には各種路線が再開され、そこまで尾を引きませんでした。
熊本地震は九州地方単独で見れば大きな影響があったと思われますが、インバウンド市場全体で見るとそこまで大きな事件にはなりませんでした。復興が進めば、熊本県や大分県の観光業も活気を取り戻すのではないでしょうか。
今後の展望:「明日の日本を支える観光ビジョン」で明かされた取り組みが今後も進展
近いうちに年間訪日外国人客数2000万人を記録することは、以前から予測されており、現在の目標は2020年までに4000万人。あと数年で現在の倍の人数と考えるとかなり高い目標ですが、伸び率の高さを考慮すれば不可能な数値ではありません。
この目標を掲げたうえで、平成28年度3月に発表された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、インバウンド市場を盛り上げる政府による具体的な施策が明らかにされています。国立公園のブランド化や世界水準のDMOの形成、通訳案内士をはじめとした古くなった制度の抜本的な見直しなど、すでに取り組みが進められています。2020年を目処にしているものが多く、現在の取り組みが引き続き行われていくものと思われます。
まとめ:次の目標は2020年までに4000万人!
観光庁は2016年11月初旬、年間訪日外国人客数2000万人を突破したことを発表しました。2000万人は従来目標とされていた数値であり、成長を続けているインバウンド市場は1つの節目を迎えた格好になります。今年は約2ヶ月間残っているので、この数値は2500万に迫るところまで伸びていくのではないでしょうか。
2016年は熊本地震や円高、中国の規制による爆買いバブルの終焉などネガティブなニュースが多く見られましたが、これらはインバウンドビジネス全体にはそこまで大きな影響をもたらさなかたことが印象的です。今後、政府は2020年までに4000万人突破を目指して施策を進めていく見込みです。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!