帰国前の困りごと「大量の小銭」にビジネスチャンス:成田空港に380種類の"ガチャ" 大盛況の裏にある3つの仕掛け

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海外旅行に行った経験のある方なら、余った現地貨幣に困ったことがあるのではないでしょうか。

また日本円に戻すにしても、手数料を考えると勿体無いし、そもそも両替するほどの額でもない。

だから仕方なく小銭をお土産として取っておく…といった経験をした方も多いと思います。

そのような小銭の使いみちについて、タカラトミーアーツが新たな提案を仕掛けました。

「あまった小銭をオモチャに!」を合言葉に、成田空港に「ガチャ」を大量に設置しました。

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成田空港に「ガチャ」171台、380種類を設置

タカラトミーアーツが、今年7月29日から成田国際空港 第2旅客ターミナル地下1階に大量のガチャを設置しました。

キャッチフレーズは「あまった小銭をオモチャに!」。両替できなかった硬化を持ち帰るぐらいなら、お土産としてガチャを回してオモチャをゲットしてもらい、日本文化の1つとして「ガチャ」およびカプセルトイを世界に発信する、という取り組みです。

成田空港に「ガチャ」エリアが設けられたことを報告する人のTwitter投稿
▲Twitter投稿:編集部スクリーンショット

Twitter:成田空港に「ガチャ」エリアが設けられたことを報告する人の投稿(https://twitter.com/min_fun/status/806070987192078336)

好評すぎて現在も継続中

このイベント「JAPANESE CAPSULE TOY GACHA」は、9月30日までの期間限定イベントのはずでした。

しかしながら好評につき、継続して展開することになったとのこと。

なお、バリエーションは少々縮小して、7月のスタート時点では190台/380種類だったのが、現在は171台/342種類となっています。

訪日外国人観光客にウケた仕掛け

このイベントの売上は、全国のガチャ1台当たりの平均売上の3倍強を叩き出しています。

その売上を試算はこちらの記事が参考になります。

ということで、ガチャの市場規模からガチャの台数を割って月の平均売り上げを算出してみることにしました。
(ガチャの設置台数のデータが2014年しかなかったため、2014年のデータを用いて計算しました)

  • 2014年カプセル玩具市場の市場規模は319億円
  • 2014年のガチャガチャ設置台数が75万台

この数字から算出すると、ガチャ1台辺りの月の平均売り上げは3544円になります。

データに基づくのであれば、「ガチャ平均売り上げ3544円」「成田空港のガチャは通常の3倍の売り上げのため平均売り上げが10632円」「成田空港のガチャ171台」、

10632×171=1818072円

成田空港のガチャの平均月商は181万という結果になりました。
ガチャだけで181万ってすごいですね。―しんまは今日も損切り「売り上げ181万!?成田空港でガチャビジネスが大反響!」より引用

と、このイベントの売上は推定で月間181万円にのぼるとのこと。では、なぜここまでの大盛況になったのでしょうか。

仕掛け1:訪日外国人観光客が抱えていた課題を解決

まず最初の仕掛けは、なんといっても「両替できない小銭」という、訪日外国人観光客が抱えていた課題を「せっかくだから日本土産のオモチャにしていってね」という形で解決したことです。

しかも、その課題解決が利益に直結しやすいビジネスモデルを形成できたことが、今回のイベントの最大の成功点と言えるでしょう。

仕掛け2:キャッチーなコピーとキャッチーな売り場

しかしながら、どんなに良い課題解決であったとしても、顧客、つまり訪日外国人観光客に響かなければ実際に利用してくれません。そこでこのイベントでは

  • 各国の言葉で「なぜか日本で売れてます。」というキャッチーなコピーを起用

各国の言葉で「なぜか日本で売れてます。」というコピーを表現:タカラトミーアーツより引用

各国の言葉で「なぜか日本で売れてます。」というコピーを表現:タカラトミーアーツより引用
  • 「あまった小銭をオモチャに!」というフレーズで「ガチャ」の性質を簡単に説明

各国の言葉で「あまった小銭をオモチャに!」というフレーズで「ガチャ」を説明:タカラトミーアーツより引用

各国の言葉で「あまった小銭をオモチャに!」というフレーズで「ガチャ」を説明:タカラトミーアーツより引用
  • 大量にガチャを並べるという売り場作りにより、売り場そのものがキャッチーなものに

大量に並ぶガチャと商品サンプルを展示することで売り場もキャッチーに:タカラトミーアーツより引用

大量に並ぶガチャと商品サンプルを展示することで売り場もキャッチーに:タカラトミーアーツより引用

といった、訪日外国人観光客に興味を持ってもらうための数々の工夫を施しています。

仕掛け3:売上データをもとにしたPDCA

またさらに、売上を見ながら訪日外国人観光客にウケが良いものを中心にラインナップを展開しているとのこと。

また、ガチャのやり方がわからず、ガチャを叩いたりする客もいたものの、売り場をわかりやすく修正していくなどの施策も実施。

売上分析による商品ラインナップの改善のみならず、売り場でのボトルネックを発見し、改善していくなど、インバウンドにおける理想的なPDCAサイクルを回していったことが成功の背景にあると考えられます。

まとめ:インバウンドのチャンスはどこにでも転がっている

今回のタカラトミーアーツが仕掛けたイベントは、「余った小銭をどうしよう」という訪日外国人観光客が抱えていた課題を解決したことが、成功の最大の要因だと考えられます。

今後訪日外国人観光客が増え、さらに東京オリンピックが開催されると鳴ると、こういった「地味な見えざる課題」が数多く出てくることでしょう。

インバウンドビジネスを成功させるには、この「地味な見えざる課題」をいかに発見するか、そしてどうやって解決するか、という視点が重要になってきそうです。

<参照資料>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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