国土交通省は平成29年(2017年)1月10日、訪日外国人観光客の国内流動について詳細な分析ができる「FFデータ(Flow of Foreigners-Data/訪日外国人流動データ)」を公開しました。これまでにも秋期1週間に限って作成していた「訪日外国人流動表」を拡充し、四半期、年間での流動量の分析を行うことができるもの。
今回は、この「訪日外国人流動データ」がどのように活用できるのかを見ていきましょう。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
訪日外国人観光客の動向が可視化できる「訪日外国人流動データ」
国土交通省はかねてから、秋期1週間 を対象に「訪日外国人流動データ」を行っていましたが、今回発表されたものはより大規模で、より詳細な研究をすることが可能です。違いは以下の通り。
-
これまでの訪日外国人流動表
- 対象期間:秋季1週間
- サンプル数:約15,000人
- 国籍、目的、利用機関などのクロス分析:分析不可
- 周遊に関する分析:分析不可
-
今回の訪日外国人流動表
- 対象期間:年間(四半期別)
- サンプル数:約43,000人
- 国籍、目的、利用機関などのクロス分析:分析可能
- 周遊に関する分析:分析可能
今回の「訪日外国人流動データ」の制作にあたっては、訪日外国人観光客の国内での動きに関連した観光庁の「訪日外国人消費動向調査」、航空局の「国際航空旅客動態調査」、それから、国籍別の出国者数についてまとめている法務省「出入国管理統計月報」データを組み合わせています。
なお、これらは2014年の調査結果を用いています。まさに現在の動向を把握するには向いていないかもしれませんが、それでも大まかな傾向をつかむのには役立つのではないでしょうか。
データはExcelで利用できるxlsファイルで配布されており、特別なソフトが無くても閲覧することが可能です。インバウンド市場にかかわる中小企業の事業者でも、分析するのはそこまで難しくはないのではないでしょうか。
分析できる内容は以下の通りとなっています。
- 都道府県間流動量、都道府県別入込者数
- 交通機関分担率
- 訪日外国人属性(国籍、目的、出国空港)
- 周遊ルート、泊数
制作できる資料例:流動量、周遊ルート、使用されやすい交通機関など
また、国土交通省は「訪日外国人流動データ」の関連資料「FF-Data(訪日外国人流動データ)の概要と利用例」で、各種分析例を紹介しています。
都道府県間年間流動量ランキング
都道府県間の訪日外国人の年間流動量を調べれば、「都道府県間年間流動量ランキング」を制作することができます。1位から5位までを順に並べた結果は、以下のようになっています。
- 1位:千葉県‐東京都(722.1万人)
- 2位:京都府‐大阪府(283.2万人)
- 3位:東京都‐神奈川県(147.2万人)
- 4位:大阪府‐兵庫県(87.7万人)
- 5位:千葉県‐神奈川県(78.3万人)
東京、大阪、京都といった都市圏を移動する訪日外国人が多い傾向が、はっきりと見て取れます。1位の「千葉県‐東京都」、2位の「京都府‐大阪府」で年間400万人以上の差がついており、訪日外国人が国内の一部に集中していることが分かります。
周遊ルート及び宿泊地の分析
また、都道府県間の移動、宿泊地をデータ化し、訪日外国人の主要なルートを可視化することも。例は九州の場合ですが、事業と関係のある地域をまとめれば、訪日外国人の導線を捉えることができそうです。
運輸局ブロック別 交通機関分担率
国交省「FF-Data(訪日外国人流動データ)の概要と利用例」より
地域別のバス、鉄道、タクシー・ハイヤー、レンタカーといった交通機関の分担率を分析すれば、交通機関分担率の地方による違いをグラフ化することが可能。レンタカーが約3割を占めている沖縄県以外の地域では、鉄道、バスが過半数以上となっており、公共交通機関の強さが分かる結果になっています。
ただし、バス、鉄道のどちらが主流かは地域によってまちまち。関東、近畿地方では鉄道が6割以上、北海道、北陸信越ではバスが6割以上と明確な差が見られます。
まとめ:自社に必要な情報が引き出せる!
国土交通省が、訪日外国人観光客の流動量、周遊ルート、使用されやすい交通機関などを可視化できる「FFデータ(Flow of Foreigners-Data/訪日外国人流動データ)」を発表しました。これまでに発表してきたデータ以上に対象となる期間が長く、国籍、目的、利用機関のクロス分析といった、より詳細な分析が可能になっています。
関連資料内で取り上げられている分析例は、「都道府県間年間流動量ランキング」「運輸局ブロック別 交通機関分担率」「周遊ルート及び宿泊地の分析」など。Excelで閲覧できるようになっているので、中小規模の事業者でも必要な情報を引き出すことができそうです。
2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!
<本セミナーのポイント>
- 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
- 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
-
質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国、タイの2025年祝日発表 ほか:インバウンド情報まとめ【2024年11月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!