日本百貨店協会が発表した、93店鋪の百貨店を対象にした免税店売上高の調査によれば、2017年3月の百貨店でのインバウンド消費は前年同月比24.6%増となり、前年を大きく上回りました。特に化粧品やハイエンドブランドなどの免税売上が好調。中華圏を中心とした春節(旧正月)休暇が1月にずれ込んだことで2月の免税売上は9.6%増の微増だったもののプラス成長を維持。3月も売上増になったことで、4ヶ月連続のプラスとなりました。
インバウンド消費復活か!?1月にずれ込んだ春節が後押し 1月百貨店免税売上高、2ヶ月連続で前年を上回る
日本百貨店協会が発表した、93店鋪の百貨店を対象にした免税店売上高の調査によれば、2017年1月の百貨店でのインバウンド消費は前年同月比24.8%増となり、前年を大きく上回りました。特に化粧品や食料品などの消耗品の免税売上が好調。中華圏を中心とした春節(旧正月)休暇が、昨年は2月スタートであったのが1月にずれ込んだことも後押しした模様です。目次2017年1月の百貨店のインバウンド免税売上動向2017年1月にインバウンドで人気のあった商品/免税手続きした出身国籍順位2017年1月までの百貨店...
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2017年3月の百貨店のインバウンド免税売上動向
実額/実数 |
前年同月比 |
免税総売上高 |
約196億6千万円 |
24.6%増 |
一般物品売上高 |
約111億5千万円 |
3.8%増 |
消耗品売上高(化粧品、食料品等) |
約85億1千万円 |
69.2%増 |
購買客数 |
約29.6万人 |
29.0%増 |
一人あたりの購買単価 |
約66,000円 |
3.4%減 |
2017年3月の百貨店の免税売上は、総額で196.6億円(前年同月比24.6%増)となりました。昨年12月が192.4億円で前年同月比8.3%増、2017年1月が217億円で25.1%増、2月は201.7億円で9.9%増でしたので、4 ヶ月連続で前年同期超え を果たしています。
1月の前年同期比25.1%増の背景にあるのは中華圏の春節(旧正月)休暇は、昨年2016年が2月始まりだったのに対し、今年は1月末にスタートしたこと。これにより買い物需要の高い訪日中国人観光客を中心にインバウンド需要が高まったことが後押しした”だけ”と思われました。しかしながら、蓋を開けてみれば2月はこのあおりを受けかろうじて1桁での成長、3月には1月と同水準のプラス成長を果たしていることから、着実にインバウンドにおける買い物需要が復活しつつあることが伺えます。
円安の影響などもあり「爆買い」でインバウンドが盛り上がった2015年夏。当時の百貨店での免税売上は7月で185.2億円、8月で171.6億円、9月で138.6億円となっています。当時とは訪日外客数の差があるため、1人あたりの免税売上に差はあるものの、この数値を見れば 今期3月の196.6億円となっており、「爆買い」当初よりも免税売上は現在のほうが高い数値である ことがわかります。
訪日客消費額が前年比マイナス…ってホントに?現地通貨ベースでは消費額上昇、原因は「コト消費」ではなく為替にあり!!
観光庁は先日10月19日、訪日外国人消費動向調査の平成28年7-9月期の結果において、訪日外国人旅行消費額が前年同期比2.9%減少で9,717億円だったことを発表しました。前年同期比での減少は平成23年10-12月期以来4年9ヶ月ぶりです。観光庁によれば、訪日外国人観光客の1人あたり旅行支出は155,133円で前年同期比17.1%減少。しかしながら、訪日外国人観光客数は前年同期17.1%増加で626万人になっており、総額の減少幅は2.9%にとどまりました。訪日外国人観光客1人あたりの旅行支...
2017年3月にインバウンドで人気のあった商品/免税手続きした出身国籍順位
インバウンド人気商品 |
免税手続きした国籍 |
1位 |
化粧品 |
中国 |
2位 |
ハイエンドブランド |
香港 |
3位 |
婦人服飾雑貨 |
台湾 |
4位 |
食品 |
韓国 |
5位 |
美術・宝飾 |
タイ |
前掲の票の通り、2017年1月の百貨店免税売上においては、 化粧品や食料品などの消耗品売上が前年同月比69.2%増の好調で、人気商品ランキング1位は化粧品 となりました。全体的に女性向け商品類が好調だった模様です。
また、免税手続きをした訪日外国人観光客の国籍別順位では、1位が訪日中国人観光客、2位が訪日香港人観光客、次点訪日台湾人観光客と、中華圏訪日外国人観光客が独占しています。
中華圏訪日外国人観光客の外客数は1月の春節(旧正月)休暇によるインバウンド需要のピークが過ぎたこと、さらに欧州向けツアーの価格下落によるアウトバウンドの流出があったことから、軒並み前年と同水準となっています。
そのような中、訪日韓国人観光客は前年同月比 30.6%増の約48.8万人という大躍進をしています。訪日中国人観光客(約50.9万人)とほぼ同数でしたが、韓国市場の全体的な傾向として短期間での訪日旅行・低支出という特徴があるため、免税手続き国籍ランクでは4位となっています。
2017年3月のインバウンド市場は?:韓国市場が前年比30%増で絶好調、一方中国不振、欧米圏もイースターズレで不調
2017年3月のインバウンド市場は、訪日外客数が220.6万人で前年同月比 9.8%増となり、3月として過去最高となりました。しかしながら、昨年3月スタートだったイースター休暇が今年は 4 月となったことで、欧米豪などの市場の伸びが足止め。先月に引き続きインバウンド市場全体としては1桁台の伸びにとどまりました。それでは、2017年3月の各国のインバウンド市場の状況と、前月2月にビジットジャパンによって行われた各国インバウンド市場向けプロモーションを見ていきましょう<2017年2月のインバウ...
2017年3月までの百貨店免税売上高推移
それでは2015年から2017年3月までの百貨店の免税売上高の推移を見てみましょう。2016年12月以降4ヶ月連続で前年同期超えを果たしており、2月は春節(旧正月)需要のズレによる影響が見られるものの、3月は1月と同水準の伸びを見せています。
免税消費額に密接に関係する円相場と、費目別(一般物品、消耗品、総額)の前年比増減の推移がこちらです。円相場はドル円の推移を示しているので、マイナス成長=円高傾向、つまりインバウンド消費において不利な状況を意味します。
伸び率の推移を見てみると、2月3月は前年とほぼ同水準の円相場傾向であることが見られます。2月は一般物品の免税売上が前年割れしているものの、3月では一般物品・消耗品共に前年プラス成長をしています。
特に、 化粧品や食料品などの消耗品類は過去12ヶ月を通して好調で、3月はその伸びがより顕著 になっています。化粧品を中心に日本製の消耗品のインバウンドでの人気の高さと、それを維持している(むしろ向上させている)ということが伺えます。
まとめ:4ヶ月連続のインバウンド消費前年増 その総額は「爆買い」バブル期以上に成長していた
百貨店の免税売上は、2016年は円高の影響で不調だったものの、2016年12月以降4ヶ月連続で前年同月超えを達成しました。化粧品や食料品など消耗品類が顕著に伸びており、免税売上の増大を牽引していることが確認できます。
免税売上の総額は、「爆買いは収束した」と言われ久しいですが、実は免税売上総額ベースでは「爆買い」最盛期よりも現在のほうが高い数値を示しています。もちろん、訪日外客数の増加が下支えした結果ともいえますが、買い物でのインバウンド消費に復調の兆しが見えています。
<参照>
- 日本百貨店協会:外国人観光客売上・来店動向
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