海外旅行をあまりしない、もしくは海外に居住経験が無い日本人にはあまりピンとこないかもしれませんが、日本のフルーツの品質は世界でも随一と言われています。糖度が高い、商品の状態が極めて良い、粒が揃っているなど、訪日外国人観光客にとっても日本のフルーツの品質の高さと美味しさは高い人気となっています。
そうしたインバウンドにおけるフルーツ需要を促進するために、農林水産省は「おみやげ農畜産物検疫受検円滑化支援事業」を展開しています。
この事業は、
- 訪日外国人観光客が
- 直売所などで購入したフルーツなどの農畜産物を
- 旅行中持ち歩かなくても、動植物検疫を経た上で、空港等で円滑に受け取ることができる
といった体制を構築するもので、フルーツなどの農畜産物をお土産として持ち帰りやすくすることでインバウンド消費を拡大することを目的としてます。
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日本のフルーツの海外持ち出しのルール
日本のフルーツを海外へおみやげとして持ち出す場合、「おみやげとして自由に持ち出しできる」「輸出検査に合格すると持ち出しできる」「おみやげとして持ち出しできない」という3つに大きくわけられます。
-
比較的自由に持ち出しが出来る国
- 韓国、香港、シンガポール、アラブ首長国連邦、マレーシア、欧州連合(EU)、スイス、ロシア、カナダ、インドネシア、タイ
-
フルーツを手荷物として持ち出す事が禁じられている国
- 中国、台湾、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド
購入したフルーツを手荷物で持ち出す場合の植物輸出検査
植物輸出検査とは、日本から輸出される植物がこれら輸出相手国の植物検疫の条件に適合しているかどうかについて行うものです。
その目的は、輸出されようとしている植物に病害虫が付着していないかのチェックをしたり、消毒などの措置をしたり、または検査不合格とすることで、輸出先に病害虫が侵入しないようにすることにあります。
訪日外国人観光客が、手荷物として日本のフルーツなどの農産物を持ち出す場合は、この植物輸出検査に合格しなければなりません。
フルーツなど農畜産物持ち出しに関する今後のインバウンド対応とは
いかに日本のフルーツの鮮度が高いとは言え、個人レベルで検疫カウンターで受付をするというのは、観光客にとってハードルが高いものです。そのため、農林水産省では民間企業に 検疫手続円滑化の仕組みの構築 について委託し、実証実験を行っています。
この中で課題とされているのが
- 外国人旅行者が動植物検疫を経て円滑に持ち帰ることができるような検疫手続・体制の整備
- クルーズ船を利用する外国人旅行者を対象としたモデル販売を通じて、事業者が取り組みやすい検疫手続・体制を構築すること。
となっています。そのための対策としてはそれぞれ、
- 産地における防除体系や生産体制の確立として輸出相手国の検疫条件や残留農薬基準等に合った農畜産物の防除体系や生産体制の構築。
- 関係者との連携による産地に合った円滑な輸出検疫手続きの構築として、円滑な検疫手続きが行われるよう、産地に合った販売・流通の方法を構築する。
としています。
本事業の予算として、平成27年度(2015年)には1,500万だったのが、平成28年(2016年)には3倍の4,500万円、さらに今年度に至っては、更に2倍以上となる1億円が計上されており、農林水産省の本気度が伺えます。
訪日外国人観光客にも高い人気を持つ日本のフルーツを気軽に持ち帰ってもらえるような体制が、少しでも速く確立される事、それによる農林水産業へのインバウンド消費の拡大が望まれます。
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