2020年までに1億人のインバウンド誘致を目指すフランス:観光超大国が掲げるインバウンド観光におけるこれからとは①

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訪日外国人観光客史上最多となる2,400万人 を突破した2016年。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて 日本のインバウンド観光市場は盛り上がりを見せています。

日本は海外から人気の観光地としてブランドを確立しつつありますが、 世界で最も外国からの観光客が多いフランスのインバウンド観光事情は、どうなっているのでしょうか? そして、 世界最大の観光立国であるフランスは、これからさらなる外国人観光客を呼び込むために何をしていくのでしょうか? フランス外務省のプレスリリースと各種データベースをもとにひもといていきます。

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フランスのインバウンド観光市場はどうなっているのか?

8,300万人:2016年 フランスを訪れた外国人観光客の数

フランス外務省によると、 2016年にフランスを訪れた外国人観光客の数は、おおよそ8,300万人でした。 前年と比較すると 70万人増と微増 の結果となりましたが、2015年11月のテロ発生から観光客が激減した点を考慮すると、インバウンド観光市場においては持ち直しているようです。

国籍別での分析:ヨーロッパ圏ではイギリスよりドイツ、アジア圏では中国

2016年にフランスを訪れた外国人観光客のうち、 ドイツからの観光客がもっとも多い割合 を占めており、次点がイギリスとなっています。経済危機の影響でフランス旅行を敬遠していた アイルランドやポルトガル、ギリシャからの外国人観光客もフランスに戻ってきました。 ブラジル人とロシア人の観光客が著しく増加した点にも着目するべきでしょう。

また、 2016年にフランスを観光地として選んだ中国人の数は150万人 となっており、ヨーロッパのみならずアジア諸国からのも外国人観光客の増加したことが、2016年のフランスにおけるインバウンド観光好調の要因の一つになっているようです。

5兆2,000億円:2016年にフランスのインバウンド観光によって生み出された額

2016年、フランスでインバウンド観光によって生み出された金額は、400億€でした(日本円で約5兆2,000万円)。 この額をフランス政府は 2020年までに500億€(日本円で約6兆5,000万円)まで引き上げます。 観光客の滞在日数をいかに長くするかにフォーカスし、さまざまな施策を練っていくとのこと。

観光業による収益は、フランス全体のGDPのおおよそ8%を占める 額です。また、約200万人が観光に直接・間接的にかかわる仕事をしています。

2017年もフランスのインバウンド観光は成長傾向:パリでは前年比+7%、郊外では+2%観光客が増加

2017年も2016年に引き続きフランスのインバウンド観光は順調な模様です。フランス外務省の発表によると、2017年1月~5月の間に首都であるパリを訪れた外国人観光客の数は、前年度+8% となりました。また、地方部では前年度+2% のとなっており、海外の領土を除くと フランスを訪れた外国人観光客は、前年度+7% となりました。

1億人:フランス政府が2020年までに目指す外国人観光客の数

フランスを訪れる外国人観光客の数は、日本のインバウンド観光市場のように急激に増加はしていませんが、2010年から2016年まで 毎年微増ながら着実に増え続けています(2011年を除く)。 このペースを維持していくことで、フランス政府は 2020年までに外国人観光客の数を1億人 まで増やしていく目標を掲げました。

日本のインバウンド観光市場と比較すると?

ここまでフランスのインバウンド観光市場の概要に関してお伝えしてきました。日本とフランスのインバウンド観光市場を比較した場合、どのようなことが見えてくるのでしょうか?

日本のインバウンドとの比較①:都市部→地方への流れはフランスのインバウンド観光市場では見られない

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2016年9月に 三大都市圏に訪れた訪日外国人観光客数は、前年度+1.4%、地方部では+7.8% となっており、地方部を観光地 として選ぶ訪日外国人観光客が増えていることがわかります。

一方でフランスでは、2017年1月~5月の間に 首都であるパリを訪れた外国人観光客の数は前年度+8%、地方部では前年度+2% となっており、都市部を観光地 として選ぶ外国人観光客がフランスでは多い傾向にあることがわかります。日本とフランスで外国人観光客の人気訪問先に関連性は見られず、モノ消費からコト消費への流れから地方部を訪れた外国人観光客が増えている日本の事例は、世界では比較的珍しいものなのかもしれません。

日本のインバウンドとの比較②:じっくりと着実に伸びているフランスは、2020年以降の日本のインバウンド観光が目指すべき姿?

2010年から2017年までの年別外国人観光客数:日本とフランスの比較

2010年から2017年までの年別外国人観光客数:日本とフランスの比較

上記のグラフのように、日本におけるインバウンド観光市場の特徴として挙げられるのが、ここ数年で異常なペースで、外国人観光客数が増えている ということです。一方で、フランスでは毎年急激な外国人観光客数の伸びは見られませんが、 じっくりと着実に外国人観光客数を伸ばしています。

訪日外国人観光客数は、2020年まで今のようなペースで伸びていくことが予想されていますが、日本のインバウンド観光市場における1つの区切りである 2020年以後、日本が目指すべきインバウンド観光市場のあり方というものは、フランスのように「じっくりと着実に」 というものなのではないでしょうか。

数字のみでみると、 2016年の訪日外国人観光客数は2,400万人、一方フランスでは8,300万人と3倍以上の差 があります。また、2020年までに目標とする外国人観光客の数としても日本の場合は4,000万人、一方フランスでは1億人と、ここでもやはり2倍以上の差 がある結果になりました。

まとめ:日本で盛り上がるインバウンド観光市場もフランスにはまだまだ及ばず… ただ成長度には見込みあり

今回は、フランス外務省のプレスリリースと海外の各種データベースをもとにフランスのインバウンド観光市場の概要をご紹介したのち、日本のインバウンド観光市場と比較してみました。

重要なポイントは以下の2点です。

  • 都市部→地方への流れは、日本のインバウンド観光市場特有のものである
  • じっくりと着実に外国人観光客数が伸びているフランスは、2020年以降の日本のインバウンド観光が目指すべき姿である

近年、日本のインバウンド市場は、国内でも大きなポテンシャルを持つ市場としてとらえられつつありますが、世界一の観光大国であるフランスと比べると、数字の面ではまだまだ見劣りする ことが把握できました。2020年までに1億人の外国人観光客を呼び込もうとしているフランスは、国としてこれからどのようなインバウンド対策に取り組んでいくのでしょうか? 後編でご紹介します。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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