1996年に設立され、現在、月間約180万人のユーザー*が閲覧している「ジャパンガイド」は、英語圏からのアクセスが上位を占めている訪日観光客向けの情報ポータルサイトです。今回は「日本庭園」をテーマに、過去1年のジャパンガイドのアクセスデータを参照しながら、各庭園の人気ランキングや、ユーザーから寄せられる質問などを見て行きたいと思います。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)観光の目的にもなる「日本庭園」訪問
ジャパンガイドのユーザーに 訪日においてもっとも楽しみにしていること についてアンケートを実施した際、伝統文化(1位)、その他(2位)、日本食(3位)、漫画・アニメ(4位)、温泉(5位)となり、「その他」の回答の中で「日本庭園」と答えたユーザーが一定数存在 しました。
ジャパンガイドの創設者であるステファン・シャウエッカーも著書『外国人が選んだ日本百景』で触れていますが、欧米の図書館には日本庭園に関する書籍がたくさんあり、インターネットで「Japanese garden」や「Japanese gardening」というキーワードを検索すると非常に多くのウェブサイトがヒットします。また禅の世界観で構成された日本庭園もあるため、禅に興味のある外国人は日本庭園へも関心を持つことが多い のだそうです。
ジャパンガイドでは、そんなユーザーのニーズに答えて、「Garden」というページでおすすめの日本庭園を10箇所紹介しています。ジャパンガイドのユーザーとジャパンガイド編集部の評価をもとにランキングしたところ、以下のような結果となりました。
| 順位 | スポット名 |
|---|---|
| 1 | 兼六園(石川) |
| 2 | 足立美術館(島根) |
| 3 | 桂離宮(京都) |
| 4 | 西芳寺(京都) |
| 5 | 栗林公園(香川) |
| 6 | 龍安寺(京都) |
| 7 | 後楽園(岡山) |
| 8 | 大徳寺(京都) |
| 9 | 三溪園(神奈川) |
| 10 | 平等院(京都) |
ゴールデンルート上にある京都の日本庭園が多くランクインしていますが、上位は石川県の兼六園、島根県の足立美術館 となりました。足立美術館はページへのPV数でみると10位ですが、訪れたユーザーからの評価は非常に高く、5ポイント中4.3。アメリカの日本庭園専門誌『Sukiya Living/ The Journal of Japanese Gardening』 において連続して日本庭園の1位に選ばれており、外国人の間でも知名度が高いようです。月間4000件の書き込みが発生するジャパンガイドのフォーラムでも、以下のように多くの質問が寄せられています。
- 待ち時間が長いと聞いています。混み合う前に入場してポストカードに使えるようなきれいな写真を撮りたいのですが、美術館の中でもっともきれいな写真のとれるスポットを教えてください。
- 足立美術館へ行く予定ですが、見学にどれくらい時間をみておけば良いでしょうか。
- 車で岡山入りして翌日に広島へ向かいます。足立美術館を見た後に周辺でおすすめのスポットはありますか?
- 大阪から島根へ行く途中で足立美術館を訪れる予定です。近辺で他に見るべきスポットはありますか?
- 外国人は入園料が50%オフと聞きましたが本当ですか?
また京都の西芳寺は「苔寺」として外国人の間でも知られており、その予約方法についても多くの質問があがっています。予約はオンラインではなく、はがきですることになっていますが、それにもかかわらず往復でどれくらいの時間をみておけば良いかなど、事前にしっかり下調べをしている様子がうかがえます。
- 予約のはがきには具体的には何を書けばいいのでしょうか?人数や日程で大丈夫でしょうか?私は少し日本語がわかるのではがきを書くことはできますが、失礼のない内容で書きたいと思っています。
- 返信はがきに切手を貼らないといけないそうですが、日本から海外へ送られる場合はどのような切手を貼ればよいのでしょうか。
- 3週間前にはがきを送ったのですがまだ返事がありません。これくらい時間がかかるのは普通でしょうか?
- 4月に苔寺を訪れたいと思っていますが、時期としてはどうでしょうか?時期によっては苔がないと聞いています。
- 妻と息子2人(6ヶ月と3歳)で苔寺を訪れたいと思っているのですが子供は入場可能ですか?
外国人は通常、ガーデニングをする際に苔を植えるようなことはしません。湿度の高い場所に育つ植物のため、あまり自宅の庭にはあってほしくないものと捉える傾向があるようです。しかし実際に苔寺を見てその細やかさに感動するケースが多く、ジャパンガイドのユーザーからの評価も5ポイント中4.2と人気のスポットとなっています。
国によって異なる興味のある日本庭園
また、各庭園ページへのアクセスをみてみると、3位以下についてはスポットによって興味を持っているユーザーの国が異なることが明らかになりました。

京都はアジア圏、欧米圏に関係なく人気のエリアでもあることから、ジャパンガイドの国別ユーザー比率に類似して東南アジアからのアクセスも一定数発生していますが、中でも大徳寺や、足立美術館などは特に欧米圏からのアクセスが目立つ結果となりました。
また、香川県の栗林公園については、フランス(3位)、スウェーデン(4位)と他のスポットと異なる国が上位にランクインしています。栗林公園は回遊式公園で東京ドームの3.5倍の大きさがあり、広大なスケールがひとつの特徴となっています。池を眺めながら抹茶を飲むこともできるため、このような日本的なアクティビティが可能であることも欧米圏から人気を集める理由のひとつとなっているのかもしれません。
兼六園などはアジア圏からも人気の日本庭園ですが、団体旅行客が多く、常に混雑しているため、海外のガイドブックでは早朝や昼食時の時間をねらって訪問するようすすめているケースもあるようです。
まとめ:コンテンツとして人気の高い日本庭園
今回の記事では日本食やアニメ・漫画などと比べると、まだコンテンツとしては取り上げられることの少ない日本庭園をテーマにご紹介してきました。禅や日本らしい伝統的な景観に関心の高い欧米圏を中心に、京都のみならず、他のエリアでも今後も訪日観光客の数が伸びていきそうな様子がうかがえます。日本人が思っている以上に人気のある日本庭園スポットの動向を、みなさんもぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
参照:
- Google Analytics 2017/01/01-2017/12/31ジャパンガイド・データ参照
- 『外国人が選んだ日本百景』 ステファン・シャウエッカー著
*ジャパンガイドのアクセス集計方法
- Google Analytics参照。
- bot、クローラー、および関係者からのアクセスをすべて除外して算出しています。
- 日本語コンテンツへのアクセス数は除外しています。
- Facebook等ソーシャルメディアへのアクセス数は含んでおりません。
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