地方誘致のスター県「高知」 実は全国5位のインバウンド消費:訪日外国人流動データを分析してわかったその人気の理由とは?

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各都道府県のインバウンドにおいて、訪日外国人による1人あたり消費単価が高い都道府県はどこかご存知ですか?実は、北海道、東京都、埼玉県、沖縄県とインバウンド主要観光地と周辺県に続いて5位にランクインするのが高知県なのです(観光庁訪日外国人消費動向調査 平成28年度」による)。

訪日外国人は高知で何をしているの?何を買ってるの?」そう思われた方もいるかも知れません。足回りが良いとはいえない四国太平洋側の県に、訪日外国人観光客が惹きつけられ、高い消費単価を払う理由を探りました。

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高知県の観光データからわかるインバウンド傾向「訪日欧米人・個人旅行者が好む県」

高知県を観光基本データから読み解くと以上のことがわかります。

2016年 高知インバウンドデータ 訪日ラボ編集

2016年 高知インバウンドデータ 訪日ラボ編集
  • 訪日外国人の一人当たり消費額が47,089円と全国5位の高さである
  • 案内表示の英語対応が50-75%と地方としては高い
  • 高知港・須崎港・高知空港・JR・バスと移動手段が陸・海・空すべてそろっている
  • 訪日アジア人はもちろん、米国人・フランス人など訪日欧米人も多い世界中から人が訪れる観光地である
  • 平均宿泊日数7.7泊と高い(統計には長期滞在の留学生も含まれる)

高知県のインバウンド需要

訪日外国人訪問率や訪問数、インバウンド宿泊人泊数など全国的にみてもかなりインバウンド需要が小さいことが伺える高知県。

高知県は最近、そのQOL(生活充足度)の高さが注目されています。日本人の有名ブロガー・イケダハヤト氏が「まだ東京で消耗しているの?」と高知移住したこともネット界隈では有名な話ですが、インバウンドのポテンシャルも、とても高いといえるでしょう。

高知の高いインバウンド消費単価・陸路の移動データだけでは説明がつかない

高知県のとびぬけたインバウンドの成果を探るべく、FF-Data(訪日外国人流動データ)を分析してみました。

国交省、訪日外国人観光客の「動き」が可視化できる「FFデータ」発表 国籍、利用機関、周遊ルートなどの分析に対応

国土交通省は平成29年(2017年)1月10日、訪日外国人観光客の国内流動について詳細な分析ができる「FFデータ(Flow of Foreigners-Data/訪日外国人流動データ)」を公開しました。これまでにも秋期1週間に限って作成していた「訪日外国人流動表」を拡充し、四半期、年間での流動量の分析を行うことができるもの。今回は、この「訪日外国人流動データ」がどのように活用できるのかを見ていきましょう。 目次訪日外国人観光客の動向が可視化できる「訪日外国人流動データ」制作できる資料例:流...

FF-Dataを参照すると、高知県を目的地とする陸路最大の移動は訪日台湾人によるバスの四国周遊ルートであることがわかりました。これに対し、訪日香港人はレンタカー借りて周遊するのも好きということがわかりました。訪日中国人は四国内周遊パターンに加え、関西空港からJRで高知に直行直帰するツアーもかなり人気があり、このツアーは夏の観光トップシーズンを避けて、春と秋に見られるパターンであることがわかりました。

FF-Dataから訪日アジア人が四国周遊の一環として高知を訪れているという大きな流れがわかりました。しかし四国周遊ルートだと四国内の他県も旅行しているわけですから、どうして高知が隣接する四国の他県を圧倒し消費単価が高いのか説明がつきません。

2018年 四国には富裕層訪日客が殺到?今年の四国地方のインバウンド市場を読み解く5つの傾向とは?

日本政策投資銀行では、「訪日外国人旅行者の四国に関する意向調査(2017年調査)」を発行しています。これは、アジア・欧米豪の12地域(中国、台湾、香港、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)の海外旅行経験者を対象に、四国地方の訪問意向などをインターネットによるアンケート調査にて調査しまとめたものです。今回は、このレポートをもとに四国地方のインバウンド市場を知るうえで押さえておきたい5つのポイントを解説していきます。インバウンド対策...

訪日外国人を惹きつける仕組み・その①世界へ情報発信するサイト「Visit Kochi Japan」

高知県高知市はフェイスブックに「Visit Kochi Japan」という外国人向け観光情報サイトを英語、そして台湾向けに中国語繁体字の2チャンネルで運営しています。

フェイスブックページ「Visit Kochi Japan」

フェイスブックページ「Visit Kochi Japan」

英語と中国語繁体字で運営される2つのページは、ネイティブのライターを起用し外国人目線を意識して観光記事が書かれています。特に英語版は人気がありフォロワー3万人以上います。1つの記事投稿に世界から50件前後の「いいね!」が送られてきています。

高知県の「Visit Kochi Japan」のインバウンド対策7つのしかけ:開始3か月でFacebookファン数1万人を獲得した理由

先日の訪日ラボ記事でご紹介したとおり、訪日外国人の訪問率0.2%、推定インバウンド消費43位/35億円と、ゴールデンルートから遠いこともありインバウンド対策では苦戦が見られる高知県。しかし、2016年初頭から運用を始めた観光情報WEBサイト&Facebookページ「Visit Kochi Japan」が好調の模様です。今回は、なぜ「Visit Kochi Japan」が訪日外国人観光客のファンを増やしているのか、その理由や戦略に迫りたいと思います。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知って...

訪日外国人を惹きつける仕組み・その②高知の「海の利」を活かしたクルーズ誘致

また、高知県は海に面しているため、地の利ならぬ海の利があります。これを活かして海路からのインバウンド誘致に力を入れています。クルーズ船誘致です。

高知県では平成16年から海外のクルーズ事業者を招待したり、米国の見本市に出展するといった努力も行っています。このため、世界でも最大級の大型クルーズ船が寄港するポイントとなっています。これらの経済効果はすさまじく、ホテル・旅館での宿泊は伴わないものの、市街地の商店街や高知城などの観光地は外国人観光客であふれているといいます。

平成26年には高知新港の整備を終え、16万トンクラスの大型船が入港可能になりました。このため、高知県県港湾振興課の発表する寄港数は27年-28年度でみると、1年で8隻から30隻に急増したのです。新港のキャパシティはこの倍以上の入港が可能であるということです。

まとめ:高知県の勝因・いかに外国人目線で自分たちを見られるか

もともと高知県は日本国内観光地としても評価の高い地域です。思い起こすだけでも、四万十川・仁淀川・にこ淵・沈下橋・カルスト台地・室戸岬・足摺岬と、個性的な景勝地が目白押しです。

しかし、高知県の勝因はこういった日本人に知名度がある観光名所を、自分たちの目線・言葉で語って自己満足することに陥らず、外国人の目線をフィルターとして、常に外国人目線で見られる・評価されることを忘れない仕組みづくりに動いてきたことでしょう。高知県の観光施策は非常にインターナショナルでダイナミックなものとして参考になりそうです。

2016年 四国インバウンドは過去最高の65万人

訪日外国人観光客に人気の旅行先は、以前であればゴールデンルートに偏っていましたが、最近では 地方にもスポットライトが当たり始めています。観光庁が2017年6月30日にリリースした宿泊旅行統計調査によると、2017年4月に地方部に宿泊した訪日外国人観光客数は、一昨年・去年と比べてそれぞれ 10.2%、17.2%と増えており、地方部を滞在先として選ぶ訪日外国人観光客が着実に増えていることがわかります。そのような状況の中、訪日外国人観光客は、何を目当てに地方を訪れているのでしょうか?日本政策投資...

台湾人は四国地方に関心が高く、5人に1人が高知県を知っている:四国地方に訪日客を誘致したい場合に知っておくべきデータまとめ[後編]

近年、訪日外国人観光客の地方訪問が増加しています。では、訪日外国人観光客は、何を目当てに地方を訪れているのでしょうか?日本政策投資銀行では、2016年10月に四国地方に関するインバウンド観光レポート「四国のインバウンド観光動向-DBJ/JTBFアジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年度版)結果等から-」を発表。四国地方を訪れる訪日外国人の実態を紹介しています。本資料をもとに、2回に分けて 四国地方におけるインバウンド観光のポイント をご紹介します。今回は後編です。訪日客の地方誘...

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<参考>

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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。

今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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