飲食店の接客という場面に特化した英会話レッスンを展開している株式会社華ひらくは、2020年に向けてますます英語を含めた外国語での接客が重要になる中、浅草と上野において、訪日外国人観光客を対象に、日本の飲食店の接客、サービスに関するアンケートを実施しました。その結果からどのようなことが言えるのでしょうか?
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回答者の75%が「日本のほうが飲食店のサービスの質が高い」と解答
今回のアンケートでは、オーストラリア、アメリカ、ポーランド、イギリス、フランス、インド、カナダ、シンガポールなどの出身者から回答を得ていますが、そのうち75%が「日本のほうが接客の質が高い」と回答しています。
その理由としては「フレンドリーな接客」、「チップが無いのに接客が丁寧」、「料理の提供時間が速い」といった声があがっていました。一方、「自国の飲食店のほうが接客の質が高い」と応えた回答者は「言葉が通じない」という理由が多かったようです。
これは言い方を変えると、75%の訪日外国人は「言葉が通じないという問題はあれど、フレンドリーな接客に対して好印象を持っている」とも言えます。
実際にトリップアドバイザーなど口コミサイトにおいても、訪日外国人に人気の飲食店の口コミは「店主がフレンドリー」、「言葉は通じなくともゲストを喜ばせようという気持ちが伝わってきた」といった回答が多く、言語が通じたほうが良いが、言葉が通じなくとも心からゲストをもてなそうというホスピタリティーがあることこそが重要なのだと言える結果となっています。
回答者の88%が「店員からおすすめを提案されるのが好き」と回答
アンケートで「飲食店の店員からおすすめを提案されるのを好みますか?」と聞いたところ、回答者のうち88%が「店員からおすすめを提案されるのが好き」と回答しました。
その理由としては「観光で訪れた町ではわからないことが多いから」、「美味しいものを教えてもらうのはありがたい」といった好意的な回答が目立ちました。また「どちらとも言えない」といった回答であっても「押し売りのようには感じない」といった声が上がっていました。
これは、日本人が地方を訪れた際に、ご当地のおすすめメニューを教えてもらうと助かるように、日本のこと、食文化をそこまで知らない訪日外国人からすると、その地方の美味しいものを教えてもらえるという意味でも助かるわけです。
ただ、ここで日本の飲食店として注意すべき点は、訪日外国人の食文化は、出身国や地域、宗教などによって千差万別であるという点です。
例えば欧米人の多くは魚卵の生臭さを苦手としていますし、タコを食べる文化が無い国もあります。また、知性が高く高貴な動物であるという認識がある馬を食べる馬刺しなども、欧米人向けにおすすめはしないほうが無難でしょう。また接客する訪日外国人がベジタリアンである、ムスリム、ヒンドゥー教徒などであった場合には食べられるメニューが限定されてきますし、ある程度の事前知識が無いとおすすめも出来ません。
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そういった意味では、訪日外国人から高い評価を受けるには、外国人だからといって通り一遍の接客を行うのではなく、接客の際の最初の挨拶で「食べられないものはあるか?」「ベジタリアンの方はいるか?」「宗教上何か食べられないものはあるか?」といった簡単なヒアリングを行う、もしくは英語メニューの中にこういった質問を入れておいて、「オーダーの際に伝えて下さい」という形にしておくなどの工夫があると良いでしょう。
回答者の約半分が「日本の飲食店の英語力は十分ではない」と回答
アンケートで「日本の飲食店の英語力はどうか?」と尋ねたところ、約半数の訪日外国人が「十分ではない」と回答しました
。その理由としては「5、6年前よりは良くなっているものの、まだジェスチャーでのやりとりがメイン」、「言っていることは理解してくれるが、英語で話しかけられても何を言っているかわからない」、「聞きたいことがあっても何度も言う必要がある、辞書を使ってもらうなど時間がかかる」といった回答がありました。
しかし一方では「英語は片言であっても英語メニューや写真付きメニューがあるため、注文する分には問題ない」、「英語の代わりにメニューや料理の写真、テクノロジーを使ったツールがあれば問題はない」とする回答がありました。
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2017年の訪日外国人観光客数は史上最多となる2,870万人を突破しました。こうした背景から国内のあらゆる業界でインバウンド対策が推進されています。観光庁の「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート調査」によると、2017年に訪日した外国人観光客のうち、34.8%が「訪日旅行中に困ったことはなかった」と回答するなど、日本の企業・自治体などが進めるインバウンド対策は訪日外国人観光客から一定の評価を受けていますが、「多言語表示・コミュニケーション」面に関する訪日...
日本人の英語のスピーキング能力が低いことは以前から指摘されていますが、こうした回答を見る限り、やはりまだまだ飲食店などの接客においては、その英語力は十分ではないのだということが伺えます。
しかし英語メニューや翻訳ツールやアプリなどのテクノロジーを利用して、コミュニケーションの問題を解決する姿勢を評価する声があるように、英語が話せない、聞き取れないこと自体が問題となることは少なく、それを解決するツールの導入、コミュニケーションを取ろうとする姿勢が高く評価されているようです。
実際に単純な英語メニュー以外にも、QRを読み取ることでスマートフォンで英語メニューを表示するアプリ、英語が話せなくてもコミュニケーションを取ることをサポートする指差し会話ツール、スマートフォンですぐに利用出来る翻訳ツールなど、様々な接客補助ツールが登場しています。こうしたツールを積極的に導入することで、こうしたコミュニケーションの不満も少なくなることが予想されます。
訪日外国人の接客に関しては単純に言語の問題と捉えるのではなく、ホスピタリティーを持って接することが重要
今回のアンケート調査では、日本の飲食店の接客の質、英語対応力に関する意見が集まりました。しかしこの中で注目すべきは「英語が出来ないからダメ」ということではなく、英語が出来ずとも笑顔を絶やさないフレンドリーな接客、ゲストに喜んでもらおうとする気持ち、最新の指差しツール、翻訳ツールなどを活用したホスピタリティーこそが重要で、評価されているという事実でしょう。こうした取り組みはすぐに効果が見えにくいものではありますが、地道にスタンスを変えずに続けていくことで、口コミサイトやSNS上での高い評価が積み上がっていくでしょう。
<参考>
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