英国最大の日本文化イベント「HYPER JAPAN」から見る最新インバウンド事情/情報提供だけでなく「情報収集」のための出展も目立つ【現地レポート】

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2018年7月13日〜15日に、英国最大の日本文化イベント、HYPER JAPANがロンドンで開催されました。昨年冬には5万人の来場者を集め、今回が15回目の開催です。イギリスの最新インバウンド事情に注目し、HYPER JAPANのイベントをレポートします。

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観光や日本食、ゲームなど約200団体が出展

▲会場1階メインスペース

▲会場1階メインスペース

HYPER JAPANは、今年から会場をOlympia London に移し、規模を拡大しました。ロンドンのウエストケンジントンにある見本市会場で、最寄駅のKensington(Olympia)から徒歩1分の好立地です。会場は、主に 日本食、カルチャー、ファッション、ゲームアニメ、観光 の5エリアで構成されています。

▲観光エリア

▲観光エリア

観光エリアにはJNTOをはじめ、JTBヨーロッパや現地ツアーを扱う旅行会社2社、一般財団法人自治体国際化協会が出展しました。

ちょうど夏休みが始まった時期のため、イベント全体を通して、コスプレやゲームを楽しむ若者グループや家族連れが多く見られました。旅行会社職員に来場者の傾向を伺ったところ、日本に特化したイベントだからこそ日本に行ったことがある、またはもう日本への旅行が決まっている人が他の旅行博に比べて目立つ とのことでした。

個人旅行が主流のイギリス人はニッチな情報まで熱心に収集

▲JTBヨーロッパブース

▲JTBヨーロッパブース

観光エリアの出展者によると、リピーターのみならず、日本に多少知識があり長期滞在を予定する来場者もおり、ゴールデンルート+αの観光地についての質問が多いとのことでした。何度も気軽に行けない国だからこそ、買い物より日本ならではの自然景観や伝統文化体験を求める傾向 にあるようです。

訪日イギリス人の特徴として中高年の高所得者層が多いことから、観光ブースを訪れる年齢層も比較的高かった のが印象的です。人生の一大イベントとして、おすすめの現地ツアーや旅行先の情報、アクセス方法など、熱心に情報収集する様子が見受けられました。

本格的に日本への旅行を計画している若者は少なく、漫画アニメゲームをきっかけに日本に興味を持ち、いつか行きたいと話す人が多数を占めていました。

▲一般財団法人自治体国際化協会ブース

▲一般財団法人自治体国際化協会ブース

一般財団法人自治体国際化協会のブースでは、自治体ごとのポスターを一面に飾り、視覚的に来場者の注目を集めていました。特に秋田県が人気だそうで、温泉のポスターに目を止め、秋田犬の可愛らしいパンフレットを手に取る来場者が多く見られました。

▲電通ブース

▲電通ブース

来場者を惹きつけていたのは観光地のPRだけではありません。電通のブースでは、訪日旅行に対するイメージや不安要素などについて、タブレットを用いたアンケート調査を実施しました。アンケートに答えると、フリクションのボールペンがもらえるキャンペーンが好評で、多くの来場者が足を止め、熱心にアンケートに回答していました。出展者も、生の声が聞ける絶好の機会と話し、積極的にコミュニケーションを取っていたのが印象的です。

会場内でインタビューをした日本に4回行ったことのある女性は、次回初めて子どもを連れて日本を旅行するため「ハローキティの新幹線やお城巡りの情報を探しに来た」と話していました。基本的な観光情報だけでなく、リピーターがよりニッチな観光情報を仕入れる場としても活用している ことがうかがえます。

日本食の試食ブースや日本酒イベントコーナーが大人気

▲JAPAN FOOD SHOWの会場

▲JAPAN FOOD SHOWの会場

今回が初開催のJAPAN FOOD SHOWでは、36種類の日本食関連ブースが出展し、無料の試食コーナーを設けてプロモーションを行いました。スタンプラリーを実施し、より多くのブースをまわるよう工夫されています。

▲ベジタリアン対応のカレーの試食コーナー

▲ベジタリアン対応のカレーの試食コーナー

カツカレーがイギリスでは人気のため、カレーのブースが特に人気でした。食品サンプルを活用し来場者を惹きつける様子や、ベジタリアンに配慮した試食コーナー も見受けられました。

▲いなり寿司試食コーナー

▲いなり寿司試食コーナー

いなり寿司や大福、納豆など、初めての日本食にも興味津々で、積極的に試食する姿が印象的でした。出展者に来場者の反応をうかがうと、「どこで買えるのか」という質問が多く、日本食のレストランやセレクトショップを備える文化・商業施設「JAPAN HOUSE LONDON」の宣伝にも効果的とのことでした。お昼時には、若者や家族連れを中心に非常に混雑し、イギリス人の日本食への関心の高さが垣間見えます。

▲Sake Experience 2018の会場

▲Sake Experience 2018の会場

Sake Experience 2018は、1人20ポンドで、古伊万里酒造場や菊水酒造、大関など、日本全国から集まった7つの酒蔵の19種類の日本酒が試飲できる人気イベントです。日本酒を製造する人たちに、直接銘柄について質問できる貴重な機会となっています。出口付近の日本酒が購入できるショップも来場者に好評でした。

SNSも活用した体験型プロモーション

▲キッコーマンの体験型プロモーションコーナー

▲キッコーマンの体験型プロモーションコーナー

各ブースでは 体験型のプロモーション が来場者を惹きつけていました。キッコーマンが設置した無料ゲームブースでは、だるま落としを体験し、成功したら醤油がもらえるというプロモーションを実施しました。初めて見るだるま落としに興味津々の来場者たちが次々と集まり、大好評の様子でした。

▲S&B食品のSNS投稿キャンペーン

▲S&B食品のSNS投稿キャンペーン

SNSを活用したプロモーションも活発です。JAPAN FOOD SHOWにブースを構えるS&B食品は、ブースの写真を SNSに投稿したらレトルトカレーをプレゼントするキャンペーン を開催しており、製品PRに効果的とのことでした。

▲イオンのSNS投稿キャンペーンブース

▲イオンのSNS投稿キャンペーンブース

イオンのブースでは、イギリスでファッションアイテムとして人気のランドセルが来場者の注目を集め、イオンのPR動画をSNSに投稿するとオリジナルのスマホリングをプレゼントするキャンペーンを実施しました。

ブースでもらったパンフレットの活用方法とは?

▲資料配布スペース

▲資料配布スペース

イギリス人は個人旅行かつ長期滞在が主流のため、さまざまなパンフレットをもらい、多くの情報を比較した上で、慎重に旅行を計画する傾向にあります。そのため、パンフレットは家に帰ってからゆっくり眺めると答える人が多い印象でした。会場では家族連れが多かったこともあり、イベント参加中は目の前のコンテンツを楽しむことに専念する様子が見られました。

まとめ:訪日旅行需要が高まるイギリス市場で、生の声を集める絶好の機会!

HYPER JAPANを通して、観光の基本情報からニッチな情報まで、熱心に収集する来場者の姿が印象的でした。日本文化に特化したイベントだからこそ、日本に何かしらのかたちで興味を持つ人が来場します。そのため他の旅行博に比べると、訪日旅行に興味を持ってもらうには、より恵まれた環境だと言えます。

若者に人気のゲームアニメ、老若男女問わず注目を集める日本食など、さまざまな切り口から日本の魅力を発信し、日本を訪れるきっかけ作りに活かせるのが、HYPER JAPANの魅力です。定番の観光情報だけでなく、ニッチな情報も求められていることから、地域の魅力を発信する場としても効果的です。

次回は「HYPER JAPAN Christmas 2018」と題し、同じくOlympia Londonで2018年11月16日〜18日に開催されます。出展に関する詳細発表は、夏頃を予定していますので、タイミングを逃さないようHYPER JAPANの公式ホームページを随時チェックしましょう。

「HYPER JAPAN 2018」イベント情報

イベント名 HYPER JAPAN
開催国・都市 イギリス・ロンドン
開催日 2018年7月13日~15日
会場 Olympia London
対象 一般消費者、業界関係者
来場者数 5万人(2017年冬実績)

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

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「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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