こんにちは、クロスシー編集部です。
中国最大の連休である10月の国慶節も終わり、この期間の中国人の消費動向、旅行動向などが報道されました。昨年から伝えられている中国人の「コト消費」(体験重視の消費傾向)は本年の国慶節期間にも顕著に表れました。
本編では、日常生活での「コト消費」である「エンタメ領域」に関わる2大インターネットサービスについて紹介します。
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エンタメ領域への関心の高まり、チケットサービスの2大勢力はやはり「テンセント」と「アリババ」
まずは中国人のエンタメ領域への関心の高まりを見てみましょう。
国慶節期間は「コト消費」傾向の高まりの中、スカイダイビング、ヘリコプター体験、気球搭乗、現地料理の教室、スキューバダイビング、オフロードドライブなどの予約が倍増したそうです。体を動かす体験だけでなく、「芸術鑑賞」「演劇鑑賞」への需要も高まっています。
今年、中国の新語には「文芸範」(文学・文芸オタク)という語が現れており、文化を味わいたいという人々がまさに顕在化してくるタイミングのようです。昨年2017年のチケット販売額は524億元(約8,908億円)、映画鑑賞人数は述べ16.22億人(昨年比18.39%増)となっており、こういったチケットサービスの広告プラットフォームとしての価値が高まっています。
エンタメチケットサービス二大窓口
中国にも日本同様、こういったエンタメ(劇場、映画、スポーツ観戦)のチケット予約、発券サービスを行う2大インターネットサービスが普及しています。多くのインターネットサービス同様、中国のIT系大企業である「テンセント」系列のサービスと「アリババ」系のサービスです。
ちなみに映画チケットの場合、上映作品や劇場の設備にもよりますが大体30元〜50元ほどで1作品を鑑賞することができます。紹介する2つのアプリでも金額に多少ばらつきがあり、必ずしもどちらのサービスがお得ということはありません。
【テンセント系】猫眼電影
前回紹介したように、WeChatのアプリ内部には、中国国内のさまざまな領域の主要なインターネットサービスが集結しています。劇場・スポーツ観戦のチケット予約の「猫眼電影」もこういったWeChat内部からアクセスできるサービスです。
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昨年2017年には、猫眼電影は同様のサービスを展開する格瓦拉(ゲバラ)を買収し、現在も同様のブランド名でサービスを継続しています。
テンセントのほか先日上場した『メイトゥアン(美団)』が株主であるため、ユーザーはWeChat、美団、大衆点評からこのサービスにアクセスができます。
こうしてネットユーザーの大きな玄関をいくつもおさえている「猫眼電影」の月間アクティブユーザーはアプリだけで6億人。2017年の年間累計購入者数は1.75億人、発行チケット数は5.99億枚、アプリ内の口コミは1,322万件を超え、市場占有率は65%、全国7,854か所の映画館をカバーします。また、チケットの受け取りは劇場の専用発券機で行います。
【アリババ系】淘票票(タオピャオピャオ)
「猫眼電影」と競合するのが、アリババ系のエンタメチケットサービスの「淘票票」です。こちらは「Alipay」の内部にメニューが存在します。
淘票票は一日で最大300万件のチケットを販売、全国5,000か所の映画館をカバーします。同社の発表によれば、今年の春節期間には1週間で1.4億人が映画館に足を運び、このうち43.6%が淘票票を利用していたそうです。
オンラインチケットサービスのプラットフォームを利用したプロモーション事例 〜スマホゲーム、自動車〜
ここまで紹介した2大プラットフォームは、今中国で増加する「文化的消費」を望む人々との接触ポイントになります。例えばテンセント系の「猫眼電影」では「映画鑑賞」はじめエンターテイメントに予算を割けるユーザーをターゲットに、さまざまなタイプの広告を展開することが可能です。
中国で昨年大ヒットとなったスマホゲーム「王者栄耀」も「猫眼電影」を利用したブランドの一つです。映画を鑑賞するユーザーにゲームとの高い親和性があるというインサイトに基づき、「猫眼電影」と「大衆点評」「美団」の映画ページに広告バナーを出稿、また座席選択の画面で選択可能な座席の表示にゲームキャラクターのアイコンを用いるという形式の広告も出稿しています。
スマホゲーム同様、映画ファンと親和性が高いのが「自動車」です。高級車ブランド「インフィニティ」が映画「ワイルドスピード」とのコラボレーション広告を展開した事例では、521万2,719人の参加、11万500人の試乗につながっています。
まとめ 〜エンタメ、映画観賞者のインサイトに基づいた広告出稿で日本ファンへのリーチを〜
昨年のチケット購入者の居住地別構成比率では、一級都市や二級都市と呼ばれる大都市の比率が下がり、経済規模がそれよりも小規模である三級都市、四級都市の比率が拡大しています。
映画に限らずエンタメの市場は今後成長していく分野です。今回紹介したようなチケットサービスを「文化的な消費」に意欲的なレイヤーとのコミュニケーションチャンネルとしない手はありません。その中には必ず日本に関心の高い層が存在します。インサイトを探りながら文化や商品といったさまざまなジャンルの「日本」の魅力を訴求することで、新たなファンを創出し、ひいてはインバウンド市場を盛り上げていくでしょう。
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