少し前から訪日旅行のトレンドがモノ消費からコト消費に移行しているなかで、日本での文化体験やアクティビティ、観劇などへのニーズが高まってきています。しかし一方で、訪日外国人がコト消費を行うにあたって必要となる整備がそれに追いついていないという現状があります。
そんな現状をいち早くとらえ、コト消費整備に大きく貢献してきたのが、外国人向けチケット販売事業『TicketsToday(チケッツトゥデイ)』を運営するロングランプランニング株式会社代表取締役の榑松大剛氏です。同社は演劇・ミュージカル等の日本人向けチケット販売事業・Confetti(カンフェティ)を中心に据えていますが、Confettiの事業を行っているなかで外国人のニーズに気づき、新たに外国人向けのチケット販売を始めました。
今回はTicketsTodayを運営する榑松大剛氏にお話を伺いました。そのなかで、TicketsTodayを出店するとそれだけで集客にもつながるなど、魅力的な付加価値も見えてきました。また、TicketsTodayは地方創生への良い影響も注目されています。この記事では、TicketsTodayのサービス概要・コト消費整備や地方創生への貢献度・集客力について紹介していきます。
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外国人の不満を解消するべく展開/WIN-WIN-WINの構造に。
-まず、TicketsTodayのサービス概要を教えてください。
ロングランプランニング株式会社 代表取締役 榑松大剛氏(以下、榑松氏):
TicketsTodayは約3年半前に始めた事業なのですが、訪日外国人向けにリアルな店舗でチケットを販売しようというものです。コンセプトは、「日本文化に触れたい旅ナカの外国人がまず立ち寄る場所」です。
TicketsTodayは、演劇やミュージカルなどさまざまなコンテンツのチケットを公演当日に旅ナカの外国人観光客に向けて販売するサービスです。当日にチケットを探したが売り切れていて行けなかった、情報がなくどういう公演があるのかわからない、といった外国人観光客の不満を解消すべくサービスを展開しています。
最近は食に関連するチケットも販売しています。予約だけして無断キャンセルする外国人観光客が後を絶たない、という飲食店があれば、そのチケットをTicketsTodayで販売します。そしてその場で外国人観光客に代金を支払ってもらえば、キャンセルされる可能性がぐんと減るというメリットがあります。
現在は全国に17店舗構えていますが、来年3月までに25店舗に増やす予定です。つい2日前にも(※取材日は11月29日)、大阪のあべのハルカスに出店しました。出店といっても、TicketsTodayはすべて出店先に業務委託していまして、場所を用意したり職員を派遣したりということはありません。仕組みとコンテンツをお渡しして、出店先の職員の方に外国人の案内からチケットの発券までやっていただいています。
お店の形態は3つありまして、①店舗改造型②什器(じゅうき)設置型③機械設置型です。このうち最も低コストなのが③の機械設置型で、名刺サイズのカードとタブレットを設置します。銀座店・新宿観光案内所店などがこれにあたります。
-TicketsTodayの事業を始めたきっかけはなんですか?
榑松氏:
もともと日本人向けのチケット販売では、公演の1週間前になると売れ残ったチケットは興行元に返していました。でも、興行元も返されては困る。一方で、旅ナカの訪日外国人は直近のチケットを持っていない人も多い。ということで、TicketsTodayではチケットを当日まで預かり、訪日外国人向けに販売することにしました。
あとは、ニューヨークに『tkts』という有名なチケット販売ブランドがあるのですが、それと同じ事業を日本でもやりたいというスタッフの声があったのもきっかけです。
-双方のニーズをくみ取った形ですね。では、特徴や強みはどういったところでしょうか。
榑松氏:
TicketsTodayは、「買い手」「売り手」「パートナー」三者全てに利点があるモデルです。まずは「買い手」=チケットを買う人。これは訪日外国人が7割、日本人が3割ほどです。肌感ですが、7割の訪日外国人のうち8割は欧米豪の訪日客です。欧米豪の訪日客には「今日やることは今日決める」という人も多くいて、当日のチケットも根強いニーズがあります。
またTicketsTodayは「売り手」=興行元の企業様の要望をくみ取ることを大事にしていて、あえてQRコードなどではなく紙のチケットで販売しているのも興行元様の意向が大きいです。30分で2000人を入場させなければならないときにスマホのQRコードを提示してもらう方法だと、例えば、スマホの充電がなくなったという人がいたときに流れが止まってしまいます。それが日本人であれば事情を説明してもらい、バッテリーを貸して充電してもらうといった対応ができますが、相手が外国人だとそうもいきません。興行元様としては、せめて外国人は紙のチケットでという意向がとても強いです。現場を見ているとそれにも納得です。
「パートナー」=出店先の商業施設や観光案内所にとっては、TicketsTodayのサービスを用意すると、それを目当てに外国人観光客が集まります。TicketsTodayを置いておくことで集客にもつながるので、出店先の商業施設にとってもメリットになります。
また、観光案内所も最近は自らお金を稼いでいこうという流れになってきていますが、TicketsTodayはチケットが売れれば出店先にもお金が入るという仕組みになっているので、観光案内所側にもメリットがあります。また、今まではできなかった「観光案内所で外国人にコンテンツを紹介し、その場で売る」といったこともTicketsTodayで可能になりました。これは観光案内所からコンテンツへのスムーズな導線づくりに役立っています。
観光庁が視察に!注目ポイントは?
-観光庁にも注目されているということですが、どういった点が注目されているを思いますか?
榑松氏:
1か月前に、観光庁の長官が視察に訪れたのですが、長官はニューヨークの『tkts』を非常によくご存じで、その協力を受けている日本版を楽しみにご訪問頂きました。日本の特長を活かしながら進化したTicketsTodayについて、熱心に耳を傾けて頂き、我々によるコンテンツの発掘にも期待頂きました。またコト消費の整備やナイトタイムエコノミー活性化、地方創生などへの期待も頂いているのだと思います。
最近コト消費がインバウンドのトレンドになってきていますが、外国人観光客がスムーズに文化体験やアクティビティ、観劇などを楽しめていたかというとそうではありませんでした。
コト消費の盛り上がりに対して整備が追いつかず、予約をどこでしたらいいかわからない、当日のチケットが売り切れていて行けなかった、というような外国人の不満が聞かれたのも事実です。TicketsTodayが参入したことで新たなプラットホームができ、外国人観光客がコト消費をしやすい環境を作れたのではないかと考えています。
また、外国人観光客が夜に遊べる場所がないということが以前から問題視されていましたが、それを受けて現在観光庁はナイトタイムエコノミー活性化を積極的に推し進めています。TicketsTodayではナイトエンタメも取り扱っていますので、そういった点が観光庁の方針と一致したのではないでしょうか。
地方創生も、国をあげて取り組んでいる課題と思いますが、TicketsTodayは都内で地方公演のチケットも販売しています。代金はチケットと交換で支払っていただくことになるので、訪日外国人には”ほぼ確実”に地方を訪れてもらうことができます。こういったメリットにも注目頂いているのかもしれません。
今後は地方都市にも積極出店
-TicketsTodayの今後の展開は?
榑松氏:
まずは、ニューヨーク『tkts』との関係をより強固にし、特に欧米豪の方への知名度を一層高めていきたいと考えています。
そして、店舗数はこれからも増やしていきたいと考えています。コンテンツを持った都市や地域の観光案内所・商業施設・ホテルなどへは、すぐにでも出店したいです。もしくはコンテンツのチケット化にご興味があれば、出店と並行してぜひ一緒に作っていきたいと思っています。隠れたコンテンツを表舞台にひきあげるために、チケット化はとても有効な手法と考えています。
また、適切な場所に適切な利益を配分するにも、チケット化はとても有効な手法です。本来、お客様に満足頂けた案内が出来たら相応の報酬を受取るべきなのに、実際はその報酬が誘導先の店舗に全ていってしまい、案内人にいっていない場合が実に多い。そこを明確にできるのもチケットです。TicketsTodayは旅ナカでの有効なリーチ手段ということに自信をもって、今後広めていきたいと思っています。ご賛同頂けるパートナー様を募集しております。
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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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