2018年の年間訪日外国人客数は3,000万人を超え、2020年に4,000万人という政府の目標も現実味を帯びてきています。東京オリンピックに向けて、さらなる訪日外国人の増加が予想されます。
しかしながら、次のステージ、すなわち「来てくれた訪日外国人をどうやってもてなすか、どうやって地方に流すか」から「どうやったら訪日旅行に興味がない外国人にも訪日需要を換気することができるのか」という潜在的訪日客の発掘のステージに進まなければ、ポスト東京オリンピックのインバウンドビジネスに対応するのは難しいでしょう。
そこで訪日ラボでは、訪日外国人向けの調査ではなく、各国で普通に暮らす外国人を「潜在的訪日客」ととらえ、その訪日需要に関する調査を定期的に行います。調査にあたっては、世界80か国4,000万人の調査回答者へのアクセスを有し、海外リサーチに特化したソリューションを提供するSyno Japan株式会社に協力いただきました。早速見ていきましょう。
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「日本旅行をしたい理由・したくない理由」から探る次のインバウンド需要【インドネシア編】調査概要
今回の調査にあたっては、インドネシアを対象にインターネット調査を実施しました。
質問項目は、「あなたにとって、日本は観光目的の旅行先になるか」を訪ね、はい・いいえの回答に従ってそれぞれの理由を選択形式で訪ねています。これによって、インドネシア市場における「訪日需要喚起ポイント」と「何がボトルネックになっているのか」を探ります。
今回の調査では、
- インドネシア市場における「潜在的訪日客」はすでに68%いる。高所得者層ほど訪日意欲が高い傾向。
- インドネシア市場では自然や歴史体験など、いわゆる「コト消費」コンテンツの需要が高い。ディズニーやUSJ等の「テーマパーク」もニーズがある。
- インドネシア市場における訪日需要喚起のボトルネックは「高そう」というイメージ。高所得者層は25%が「よく知らないから」と回答。プロモーションが不十分か。
ということがわかりました。では調査結果を見ていきましょう。
「潜在的訪日客」は7割
- 質問
- 日本は「観光目的の旅行先」になるか、あなたの考え方をお聞かせ下さい。※単一回答
- 回答
- 興味がある・行く・行きたい:68.59%
- 興味があるが、行きたくない:24.88%
- 日本への旅行に興味がない:6.53%
日本が観光目的の旅行先になるかどうかを質問したところ、インドネシア人の68%が「訪日旅行に興味がある・行く・行きたい」と回答しました。同様の調査をアメリカ・台湾<台湾記事リンク>に対しても行いましたが、「訪日旅行に興味がある・行く・行きたい」と回答した割合はアメリカでは38%、台湾<台湾記事リンク>では65%でした。インドネシア人の訪日意欲は比較的高いといえます。
高所得者層ほど訪日意欲が高い傾向
同じ項目を年収別に集計してみると、月収1,700万ルピア(約12万円)以上の高所得者層のほうが訪日意欲が高いことがわかりました。
なお、インドネシアは日本と比べ給与水準が低く、公務員の平均年収は30~60百万ルピア(約25 ~ 50万円)、課長クラスの月収は1,280万~2,220万ルピア(約95,000円~165,000円)ほどだということです。このことから、今回は月収1,700万ルピア(約12万円)以上を高所得者としました。
「コト消費」需要が高まっている
- 質問
- 日本への旅行に「興味があり、行きたい」と思う理由は何ですか?当てはまるもの全てお答えください。※複数回答
- 回答(上位5項目を抜粋)
- 自然・景勝地観光:67.45%
- 日本の歴史・伝統文化体験:60.41%
- 繁華街の街歩き:43.72%
- テーマパーク・遊園地(ディズニーやUSJ等):43.72%
- 治安が良い:38.21%
最近のインバウンドは「モノ消費よりもコト消費」という傾向ですが、この傾向はインドネシア市場にも当てはまるようです。
インドネシア市場で特徴的なのは、「テーマパーク・遊園地(ディズニーやUSJ等)」が3位に入っているということです。アメリカ・台湾<台湾記事リンク>への調査では、同項目はアメリカで10位、台湾<台湾記事リンク>で6位でした。東京ディズニーリゾートやUSJは東南アジアからの訪日外国人観光客に人気があるといわれてきましたが、やはりインドネシア市場でもニーズが高いようです。
高所得者層は「モノ消費」も「コト消費」も
一方「買い物」は高所得者層のほうが高い結果となり、「モノ消費」もいまだニーズがあることがわかりました。
「訪日旅行したくない」理由トップは”高そうだから”
- 質問
- 日本への旅行に「興味があるが、行きたくない」「興味がない」と思う理由は何ですか?当てはまるものをお答えください。※単一回答
- 回答(上位5項目を抜粋)
- 高そうだから:41.57%
- 海外旅行に行くつもりがない :25.00%
- 一緒に行ってくれる人がいないから:18.68%
- 行くのが遠いから:15.96%
- よく知らないから(行きたいと思うところがない):15.06%
訪日意欲を問う最初の設問に対して「興味があるが、行きたくない」「日本への旅行に興味がない」などネガティブな回答をした人に対し、その理由を問うと「高そうだから」が一番の理由に上がりました。
「海外旅行に行くつもりがない」「一緒に行ってくれる人がいないから」などは致し方ないものの、「よく知らないから(行きたいと思うところがない)」については、こちらの働きかけやプロモーション次第で改善できると考えられます。
高所得者層「高そうだから」トップ、「よく知らない」も一定数
注意しなければならないのは高所得者層2位の「よく知らないから(行きたいと思うところがない)」です。訪日旅行の認知度が低いせいでとりこぼしてしまっている層があると考えられます。
まとめ:
今回行ったインドネシアへの調査では、高所得者層ほど訪日意欲が高いということ、また訪日旅行には「高そう」というイメージがあることがわかりました。
物価が異なる分、平均的な収入のインドネシア人にとって訪日旅行が「高い」のは事実です。免税カウンターを整備する・割安な旅行プランを提案するなど、費用をできるだけおさえて旅行してもらえるように工夫をすることが必要です。
2020年の東京オリンピックに向けてあと1,000万人訪日客を増やすためには、今までに訪日旅行をしたことがある人にアプローチするだけでは不十分です。これからはこういった「潜在的訪日客」にもしっかりと目を向けることが重要です。
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<参照>
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査
- JAC Recruitment:The Salary Analysis in Asia by JAC Recruitment Group
- iconicJob:【2017年-2018年】インドネシアの給与動向調査結果について
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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