近年のインバウンドは 地方分散 の時代に突入しています。日本政府が掲げる「観光立国推進基本計画」では、2020年までに 地方での訪日外国人宿泊者数を7,000万人泊にする 目標を立てるなど、インバウンドの地方誘致に積極的な姿勢をみせています。
しかしながら、多くの地方部では、観光資源の発掘や観光商品としての提案に四苦八苦しているケースが多いのではないでしょうか。そのような課題を抱える地方にとって参考になる 熊本県熊本市でのインバウンドFIT(外国人個人旅行者)向けの取り組み についてご紹介しましょう。
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「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in くまもと」とは
中小企業基盤整備機構九州本部(以下、中小機構九州)は、インバウンド需要を取り込みたい事業者向けに、「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ」を展開しています。初回開催は熊本県天草エリアで、第2回となる今回は熊本県の複数のエリア(熊本、人吉、阿蘇)に展開し、2019年1月24日に開催されました。
中小機構九州では、観光が地域振興にとって重要な要素の一つであるとしており、観光産業を中心とした面的な支援のモデルづくりにチャンレンジをしています。その一環として今回のワークショップは「in くまもと」と題して、広域DMCである「くまもとDMC」の共催、4つの自治体の後援を得て、熊本市内で開催されました。
訪日ラボも基調講演として登壇。本講演では、訪日外国人の国籍別割合から季節変動、各国のSNS利用比較などのデータに基づき、現状のインバウンドを取り巻く環境について解説しました。そのほかにも、訪日ラボを運営する上で収集した 各種事例やインバウンド対応のトレンド、また2020年に向けたインバウンド対策の動向予測 などを展開しました。
「焼酎を世界に発信」キーポントはSNSでの口コミ
企業事例では、Glocal BAR Vibesを営む山下 紀幸氏がトリップアドバイザー上で熊本県No. 1の口コミ数が集まる人気店になれた秘訣について話しました。
「SNSでいかに写真を発信してもらうことが重要である」と述べていました。訪日外国人が焼酎を飲み、その体験をSNS上で発信すると、発信者の周りの人たちも「焼酎」というワードが拡散され、認知拡大につながると山下氏は考えています。山下氏はその他にも様々なアイディアを考え、実行し、焼酎を世界へ発信しています。
「日本の文化や歴史に触れて良い思い出を自国に持ち帰ってもらいたい」と山下氏は話していました。現在山下氏はこれまでの経験を活かし熊本の活性化に役立ちたいという思いで飲食店のコンサルティングも実施しており、その話に参加企業も熱心に耳を傾けていました。
グループワークでインバウンド対応力チェック、地元熊本の魅力を再認識
ワークショップの時間では、「インバウンド対応力チェックシート」を使ってインバウンド対応力について各社の診断を行いました。グローバルキャリア 代表 日高裕見子氏がワールドカフェ形式を用いてグループワークを進行する形で、熊本の魅力を一人一人が考えて、地元や自身の課題を洗い出し、熊本には様々な観光の魅力を秘めていることを再認識してもらいます。最終的には参加者にインバウンド対応の目標を宣言してもらう取組みを実施しました。
現状の課題を把握し、すぐにできることから実践し、優先順位をつけます。地域の異なる参加者が、グループワークで情報共有することで、議論や改善の検討を深める構造になっています。
まとめ:まずは「地元熊本を知る。自社がどのような状況にあるか」を把握することから始めよう
今回ご紹介した「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in くまもと」における「インバウンド対応力チェックシート」は非常に参考になる取り組みなのではないでしょうか。
訪日ラボでお伝えしている事例や、訪日コムのインバウンド対策カテゴリーなどを参考に 「インバウンド対策todoリスト」を作成し「自社のインバウンド対応はどこができていてどこができていないのか」を把握し、「何からなら着手できそうか」を検討することであれば、どんな事業であっても取り組むことができるでしょう。また、それを地域で共有するための場(グループワーク)は有用であると感じました。
まずは、データやチェックリストを用いて、インバウンド対策において「自社がどのような状況にあるか」を把握することから始めることが、インバウンド対策の第一歩と言えます。
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