【イギリスEU離脱問題】10月31日まで延長で合意、その背景は?インバウンド業界への影響と今後の展開は?

【イギリスEU離脱問題】10月31日まで延長で合意、その背景は?インバウンド業界への影響と今後の展開は?

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長は、4月11日未明、イギリスの欧州連合離脱(ブレグジット)について、イギリスと欧州連合(EU)が10月31日までの「柔軟な延長」で合意したと発表しました。

EUは10日に臨時首脳会議を開き、メイ英首相が離脱日を今月12日から6月30日に延期したいと要請し、それより前にイギリス議会が離脱協定を批准すれば期日を早める条件も申し出ました。これに対して他の加盟27カ国は短い延期の繰り返しには応じず、10月31日までの延長で合意しました。


イギリスの欧州連合離脱(ブレグジット)とは?

2016年6月23日、イギリスの国民投票においてEU離脱が決定され、世界を驚愕させました。EUから脱退国が出るのは、1993年の発足から初めてのことであり、世界5位・EU2位の経済規模を持つイギリスの離脱がEUに与える影響は非常に大きいと考えられています。今後、EUの離脱ドミノの可能性やユーロ通貨の信頼性の低下などが予想され、リーマン・ショックを超える世界経済危機に直面するのではないかと世界が注目しています。

イギリスの欧州連合離脱の背景は、移民受け入れ問題

国民投票では、残留派優位の事前予想を覆し、離脱が51.9%を獲得してEU離脱が決定されました。その離脱派の主張は、主に以下の点です。

  • 移民受け入れが社会保障の負担である
  • 移民受け入れを続ければ、国民的・文化的アイデンティティの喪失にもつながる
  • 離脱により、毎週3.5億ポンド(約530億円)のEU拠出金を自国の財源に補填できる
  • 規制や法律の多くがEUによって決められており、離脱によって主権を取り戻せます

これらの離脱派の主張を抑えるため、残留派もEUと交渉して有利な条件を引き出すなどの努力をしましたが、その後も離脱派の勢いは止まらずEU離脱が実現しました。

景気動向への不安から円高に!日本国内のインバウンドへの影響は

イギリスのEU離脱によるインバウンドビジネスへの影響としてまず挙げられるのは、円高です。日本円は信頼が高く、今回のような緊急事態に陥ると買われる傾向があり、必ずといっていいほど円高になります。そうすると訪日外国人観光客が日本旅行しにくくなるだけでなく、景気動向への不安から日本人観光客にも出費を控えるようになります。

実際に、国民投票時に、イギリスポンドの価値が大幅に低下しました。国民投票前、1ポンドは1.40ユーロの価値があったが、投票後は1ポンド1.10ユーロまで下落しました。史上初のEU離脱ということもあり、今後もさまざまな問題が現れることが考えられ、対ドルでも長期的下落の傾向が見られています。


イギリス国内のインバウンド(EU域内各国→イギリス)への影響は

イギリスのEU離脱により、今まで支払わなかったEU域内各国へのビザ料金を支払わねばならなくなる可能性があります。このため、EU域内各国からイギリスへの旅行客が減少すると考えられています。

また、イギリス国内のホテル業界では、スタッフに関する難題に直面しています。英国での接客業従事者には、ブレグジットの直接的影響を懸念して英国を離れることを検討している人が決して少なくないと言われ、観光業界に携わる人材の流出が問題になりそうです。

さらに、航空業界では、TUI、ト-マス・クック、IAGグループ、イージージェットといった欧州全域で業務を展開している航空企業への影響が大きいと言われています。これらの企業は、欧州共同空域(ECAA)へのアクセスを失い、欧州域内の航空業務、飛行権に対する広範な影響を被る可能性が大きいと言われます。これによりEU域内各国との航空便の本数にも影響が出てきそうです。このように、個人旅行だけでなくビジネス面でも、EU域内各国からの人の流入は減少しそうです。

まとめ:今回の合意により、(5月に行われる)欧州議会選挙参加がターニングポイントに!今後のインバウンドへの影響は?

この合意を受け、ユンケル欧州委員長は、「(5月に行われる)欧州議会選挙にはイギリスも参加するだろう。」と発言したことに対して、メイ首相は、もしイギリス議会が5月第3週までに離脱協定を批准すれば、イギリスは欧州議会選挙に参加する必要はないと述べました。この発言から欧州議会選挙への参加が1つのターニングポイントとなりそうです。

複数の関係者も、イギリスが欧州議会選挙に参加するかしないかが鍵になると言っています。アイルランドのレオ・バラッカー首相はツイッターに、「会議は終わった。 1. 10月31日までの柔軟な延長、2. 6月の通常の首脳会談で状況を検討する 3. イギリスは欧州議会選挙に参加するか、6月1日に合意なき離脱をするかのどちらか」と投稿しました。

BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員は、「5月23日の欧州議会選挙に参加しなければ、イギリスは6月1日に崖っぷちのブレグジットとなる可能性がある」と指摘しています。

今回の合意なき離脱回避を受け、為替市場の反応は好感で、対ドルで1.31台を回復しました。この為替市場の動きから、今回の合意によるインバウンドへの影響は無さそうです。しかし、今後のイギリス議会の動きによって合意なき離脱に踏み切る可能性も捨てきれない。今後のイギリス議会の動きに注目したい。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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