現在全国各地で、2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、宿泊施設の建設が進んでいます。2018年に訪日外国人観光客数が3,000万人を突破し2030年に6,000万人を目指す中で、訪日客のさらなる増加が見込まれる一方、ニッセイ基礎研究所は、宿泊施設に対する需要の地域差の広がりが顕著になるとの予測を調査結果より明らかにしました。都道府県別にみた宿泊施設の稼働率予測から、今後の宿泊施設の課題やインバウンドの地方誘客のあり方を見ていきましょう。
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国内旅行客の宿泊者数減少をインバウンド誘客でカバー

2018年の外国人延べ宿泊者数は前年比11.1%増加の8,857万人泊と、2年連続の2桁増となりました。今後も訪日外国人観光客の宿泊者数は増加が見込まれるでしょう。2017年時点の宿泊者全体の約84%を占めている国内旅行客は、アクティブシニアの増加やバリアフリー化による高齢者の宿泊日数増加の可能性がある一方で、人口の減少や旅行頻度の少ない80歳以上の高齢者の増加も避けられず、宿泊者数の減少が予想されます。
外国人延べ宿泊者数の将来予測として、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人を達成する前提で考えると、2020年に1人当たり3.2泊、2030年には民泊の普及を見込み2.8泊となりました。よって、外国人延べ宿泊者数は2020年に1.28億人泊、2030年には約1.68億人泊になると予測されています。2017年まで全体の15%前後だった訪日外国人宿泊者の割合は、2020年、2030年には23〜30%ほどにまで延びるでしょう。国内旅行客の宿泊者数減少をインバウンド誘客によりカバーしていくことが期待されます。
ホテルの供給過剰や稼働率低下は地域差が顕著に

一方で、京都は2017年の客室数2.7万室に対し2020年までに0.3万室の追加が必要になりますが、実際は1.1万室のホテルが新規オープンする計画となっているため、供給過剰が懸念されます。計画をふまえた稼働率は67.9%と、70%を割り込む水準まで大幅に低下しており、競争の激化が見込まれるでしょう。
奈良や島根も客室不足の懸念がないにも関わらず、過去のペースを上回る客室数の増加が予定されていることから、ホテルオープン計画を加味すると稼働率が50%後半から60%前半と大幅な低下が見込まれます。ホテルと旅館の客室が全国最下位の奈良と42位の島根では、魅力的なホテルの建設や受け入れ態勢の充実による、大幅な宿泊需要の取り込みが求められるでしょう。ホテルの需要と供給問題は、地域によってかなり差が出てくることが予想されます。
旅館は国内旅行客の需要減を訪日客の増加でカバー

一方、北海道と大分は訪日外国人に一定の人気があるにも関わらず、客室数の減少が続いています。現状のままでいくと、稼働率は一段と高まる可能性があり、急増するインバウンド需要を取りこぼす恐れがあるでしょう。コト消費需要が高まるインバウンド市場では、日本独自の宿泊体験を求めて旅館の利用を希望する訪日外国人国内旅行客の増加を予測し、稼働率が低い旅館を有効活用が期待されます。現在は国内旅行客による利用のほうが約2倍も多い旅館ですが、今後は相対的な国内旅行客数の減少に対し、インバウンド誘客によって補っていくことが求められます。
まとめ:宿泊需要の地域差を減らすため、インバウンドの受け入れ態勢整備と地方誘客が課題
訪日外国人観光客が2020年に4,000万人、2030年に6,000万人となることを前提とすれば、人口減少や高齢化に伴う国内旅行客の減少を、インバウンド誘客で補うことが期待できるといった調査結果になりました。東京や大阪のホテルでは一定数の客室追加が必要になりますが、既に新規オープンの計画を加味すると、2030年時点で必要となる客室数に値するため、宿泊施設の不足の心配は少ない試算です。
京都や奈良・島根では、需要を上回るホテル建設が予定されていることや、過去の増加ペースを大幅に上回るホテル建設が計画されていることから、供給過剰の可能性があり、一段と宿泊者を取り込む必要があります。コト消費需要の高まりに応えるためにも、旅館における受け入れ態勢の整備と稼働率が低い旅館の有効活用は、インバウンドの地方誘客や客室不足の解消に効果的と言えるでしょう。
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<参考>
・ニッセイ基礎研究所:都道府県別にみた宿泊施設の稼働率予測〜インバウンド拡大に伴うホテル建設が進み、一部地域では供給過剰も〜
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