中国ではあらゆるサービスがオンライン化しており、ショッピングもスマホで完結するECが人気です。
ECの2大巨頭はアリババの「タオバオ」「Tmall」そして京東の「JD.com」ですが、その他にも多様化する消費者のニーズにこたえるECプラットフォームが存在します。
こうした細分化されたECサービスのうちの一つが、小紅書(RED/シャオホンシュ)です。
情報収集チャネルとしても活用されているこのECは、スマートフォンのアプリでサービスを展開しています。
そしてその人気は日本でも徐々に知られつつあり、日本で「絶景ブーム」に火付け役となった詩歩(しほ)さんがアカウントを開設することがニュースになっています。
この記事では、中国のECアプリ「小紅書」について解説します。
アプリの人気の理由から、今後のマーケティングの指標が見えてくるはずです。
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ソーシャルECアプリ小紅書(RED)とは?
小紅書(RED/シャオホンシュ)とは、ソーシャルECアプリです。名称は「小さな赤い本」の意味ですが、「小さなお芋」と同じ音でもあり、かわいらしい語感を持っています。
創業5年で企業価値が30億円に達するなどECサイトのユニコーン企業として注目されています。
アプリの起動画面では、まずユーザーにより投稿されたコンテンツが表示されます。
動画も多いですが、写真による投稿もあります。
Instagramの「ストーリーズ」のような機能も今年実装されており、コンテンツ重視のサービスであることがうかがえます。
EC機能は「Store」に集約されており、「おすすめ」「家具」「メイク」「ヘアケア商品など」…と様々なカテゴリ別に表示させることができます。
Instagramのように、他人から「素敵だ」と見られることを重視したコンテンツが多く投稿されています。
一見すると関連性のなさそうな「コンテンツの投稿」と「EC機能」ですが、コンテンツの中で紹介した商品について、小紅書(RED)内で購入できる店舗へリンクを設定できるようになっています。
SNS的に、興味関心でつながったアカウントから情報収集し、そこから購入まで一つのアプリの中で行えるのが小紅書(RED)の大きな特徴です。
この小紅書(RED)は、ファン・ビンビンなどの世界的に有名な女優も利用しています。こうした有名人のアカウントがアプリ内で紹介した商品はすぐに売り切れになり、中国市場における影響力の大きさがうかがえます。
SNS機能で口コミをチェック、レビューは「旅行地」「レストラン」も
小紅書(RED)のSNS的側面は、購入したアイテムの感想や海外旅行の感想など様々な感想を自身の投稿するコンテンツでシェアしたり、または他人の投稿に対しコメントを付けることができる点にあります。
またEC機能もあるので、口コミを確認してそのまま商品の購入もできます。SNS機能とECの間を簡単に行き来できる小紅書は、独自の経済圏を作り上げています。
コンテンツはEC機能で購入できる商品に関するものだけでなく、料理の作り方や、旅行先のおすすめスポット、またおすすめのカフェやレストランなど、あらゆるトピックが投稿されています。
ユーザー数は1億人超え
小紅書はユーザーを拡大し続けています。2018年9月、小紅書の登録ユーザー数は1億人を突破、月間アクティブユーザーは約3500万人にも達しています。
ユーザーは18歳から35歳の女性が中心です。男女比率は1:9と圧倒的に女性が多いことがわかります。
中国市場の特徴として、「口コミ」が大きな影響力を持つことが挙げられます。若い女性が多い小紅書では、若い女性による洋服やコスメ用品の口コミが多く、中国の若い女性の中で高い支持を得ています。
ユーザーの80%が90年代生まれ、富裕層
小紅書全ユーザーの80%を1990年代生まれが占めています。さらに、そのうちの50%が1995年以降生まれとなっています。
若さゆえに柔軟な考え方をする彼らは情報感度も高く、小紅書(RED)は中国の最先端の情報が集まっています。
小紅書はユーザーの定着率も高くなっています。ユーザーは平均して1ヶ月に52回アプリを開き、1回あたりの平均滞在時間は約16分間です。頻繁に長時間利用するユーザーが多いことがわかります。
ユーザーは活発にコンテンツの更新や口コミを残す傾向にあり、小紅書の中には多くの口コミが集積されることになります。こうして本音で書きこまれた口コミから読み取れるトレンドは、必然的に信頼性のあるものになっています。
小紅書(RED)と日本製品の親和性の高さ
小紅書(RED)には日本製や韓国製の商品に対するレビューが多く投稿され、レビューされるのは毎日約3万件とも言われています。
ユーザーはこの豊富なレビューを参考に、訪日旅行の際に購入するアイテムを検討したり、越境ECを通じて実際に商品を購入したりします。
前節で紹介したように、投稿されたコンテンツには関連商品を提示し、ワンクリックで購入できたりする機能も実装しています。ユーザーが購入しやすい、しかしコンテンツの投稿や口コミのシェアも楽しめるようなサービス設計がされています。
ネットの口コミを判断材料にする中国人の特性を活かした戦略
小紅書では中国人の特性をうまく利用した事業戦略が取られています。その戦略とは、コミュニティにおける口コミ戦略です。中国人消費者には商品購入の際に口コミを重視する傾向にあります。ユーザーが実際にリアルで体感・経験した結果、生まれる「口コミ」を一番の判断材料にするのです。
小紅書はその中国人消費者の特性を活かしていることがわかります。小紅書が元来有するコミュニティには、アクティブユーザーによる多くの口コミが蓄積されています。
アクティブユーザーが多いことで口コミの「鮮度」や信頼性が担保されているため、情報感度の高い若い世代が満足できるコミュニティが出来上がっています。
小紅書ユーザーの多くは日本製品を好んで購入する
日本のインバウンド事業者にとって、小紅書は注目すべき存在です。小紅書ユーザーの多くが日本製のブランド品を愛好しています。
それを裏付けるかのように、小紅書は日本でのビジネス商談会を積極的に行なっています。先日も株式会社ENJOY JAPANとの業務提携を発表するなど、小紅書は日本各社とのつながりを強めています。
小紅書における海外製品の売り上げ個数ランキングは日本製品が首位を獲得しています。日本ブランドの信頼性の高さや品質の高さがその理由でしょう。
運営側はより安心安全に、そして早く商品を提供することを目指しています。ユーザーにとってよりよい環境を整えるべく、保税倉庫モデルや海外直送モデル、サプライチェーンの整備などを進めています。
高級志向の富裕層を獲得し、中国のインバウンド市場を拡大
小紅書(RED)は、ECでありながら、親和性の高いユーザーとコンテンツでつながりあうSNSです。
信頼できる相手の口コミを参照し、商品を購入するというのは中国人消費者の一般的な行動です。小紅書(RED)であれば、この口コミのチェックから購入、そしてその後のさらなる口コミ拡散まで、一つのアプリ内で完結します。
小紅書(RED)の利用者は、投稿されているコンテンツからもわかるように、情報感度が高く、他人からファッショナブルに見られたい傾向が強くあります。良いものにはお金をかけても良いという高級志向のユーザーも多く、口コミがシェアされているものにはフランス製の化粧品や日本製のメイクアップ用品なども多く見られます。
言い換えれば、小紅書(RED)は高くても品質の良い日本製品に対して関心の高いユーザーにアプローチできる恰好のプラットフォームです。
小紅書(RED)のユーザーに認知を高めてもらうことができれば、インバウンド市場における売り上げ拡大の可能性も高まるでしょう。小紅書(RED)内の情報は今後もインバウンド関連業界でも注目のトピックとなりそうです。
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