日本酒ベンチャー「WAKAZE」は、2019年夏にフランス・パリにて酒蔵をオープンすると発表しました。
酒蔵では搾りたての日本酒のテイスティングなど、よりSAKEを身近に感じてもらえるような機会を、現地のフランス人を中心に提供します。
昨年の「Japonismes 2018」の開催を受け、日本文化ならびにSAKEへの関心の高まりが特徴的なフランスにおいて、食の観点から訪日旅行の認知拡大が期待されます。WAKAZEのプロジェクトの狙いや、直近のパリでの日本酒イベントの開催概況をふまえ、日本酒を通じた日本文化発信を目指す、海外での取り組みについて見ていきましょう。
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「日本酒を世界酒に」日本酒の魅力を国内外に発信するWAKAZE
2016年に設立された株式会社WAKAZEは、「日本酒を世界酒に」をビジョンとするベンチャー企業です。
これまでは委託醸造といった形で自社製品の開発・販売をしていました。2018年7月に「その他醸造酒」の製造免許を取得し東京に醸造所をオープン、2019年3月には、会社設立当初から夢だったフランス・パリでの酒蔵開設に向け現地で子会社を設立しています。
「パリ酒蔵設立」プロジェクトとしてクラウドファンディングも成功させ、2019年夏にパリで酒蔵をオープンすることが決定しました。
WAKAZEが海外で酒蔵をオープンする理由として、以下の2点を挙げています。
1つは日本よりも酒の製造免許が習得しやすいこと、2つ目は現地醸造により酒の市場を根本から広げていくことです。
世界の食文化の中心地・フランスで、洋食とのマリアージュを前提に商品開発をしてきたWAKAZEの酒の魅力を発信し、日本酒をワインと同じように世界レベルの酒にすることを目指すべく、新たな海外の酒蔵拠点をパリに決めました。
フランス・パリから日本酒文化の発信へ

WAKAZEがフランスでオープンする新たな酒蔵は、代表自ら探し当てた、機能性とアクセスともに好条件のパリ郊外・VAL-DE-MARNEにある1軒家です。
醸造所だけでなく、搾りたての酒をその場で味わうことができる、テイスティングスペースも設ける予定です。フランス人に酒作りをより身近に感じてもらえるような工夫がされています。
「土地性を活かした酒作り」を重視しているWAKAZEでは、パリの酒蔵でもできるだけ現地で原料を調達するといったこだわりが特徴的です。
米は南仏で栽培されるジャポニカ米、水はミネラル豊富な硬水を使用する予定とのことです。ワイン酵母を使用した日本酒の醸造にも挑戦するとしています。現地で原料の調達・ワイン文化を尊重した醸造方法などから、フランス人にとってよりSAKEへの親近感が湧くような取り組みと言えるでしょう。
ジャポニスム2018で実施された日本酒イベントは大盛況
フランス・パリでは、すでにSAKEに対する認知拡大が顕著となっています。2018年に日仏友好160周年を記念し、8か月にわたり開催された「Japonismes 2018」において、日本酒の魅力を発信するイベント「酒巡りin Paris」が実施されました。昨年9月に1週間限定で、パリ市内のレストランやカフェなど24軒を会場とし、日本全国から集まった日本酒の各銘柄に合わせシェフが考案したメニューとともに、日本酒を提供しています。
さらに、世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」では、メリーチョコレートが「日本酒とチョコレートのマリアージュ」のセミナーを行いました。チョコレートに合う日本酒の紹介やテイスティングを実施し、会場はフランス人を中心に満席となるほど大盛況だったのが印象的です。
11月から2019年2月にかけては、全6回にわたり新潟・佐賀・広島・石川・島根・奈良の日本酒を試飲できるイベントを、パリ市内のバーを中心に開催しています。各地域の日本酒の特徴の説明を聞きながら、気軽に日本酒を楽しめる機会として、多くのフランス人が足を運びました。
以上のように、パリでは日本酒関連イベントが複数開催されたことを受け、この1年間で日本酒文化の認知拡大が進んでいます。WAKAZEがパリに酒蔵をオープンするのは、フランス人を惹きつけるのに絶好のタイミングと言えるでしょう。
「SAKE」から日本に興味→訪日旅行の認知拡大へ
WAKAZEのパリ酒蔵オープンを受け、フランス・パリでは日本酒や日本文化へのさらなる興味関心の高まりが予想されます。
フランスでの日本酒体験を通じ、実際に日本を訪れて日本酒を飲んでみたいといった需要を生み出すことで、インバウンド誘客のきっかけ作りとしての効果が期待できるでしょう。フランスはもちろん世界的にも注目が高まる日本酒をキーワードに、パリで日本酒文化を発信するWAKAZEの取り組みとフランス人たちの反応に、今後も注目が集まります。
<参考>
・PR TIMES:日本酒ベンチャー「WAKAZE」(ワカゼ)が世界で酒を醸す。今夏、仏・パリに酒蔵を立ち上げる。
・Makuake:パリで醸す初回醸造酒をお届け!WAKAZEが今年の夏パリに酒蔵を立ち上げる
・Japonismes 2018:「日本の食と文化を楽しむ」シリーズ
・Japonismes 2018:パリのレストランで日本酒巡り 酒巡り in Paris
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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