株式会社日本政策投資銀行は6月、「DBJ・JTBF訪日外国人観光客の意向調査(平成30年版)」を発表しました。
九州では2019年4月に福岡空港が民営化されたことを受け、今後さらなるインバウンド誘客が期待されます。
今回は、九州におけるインバウンドの最新事情として、訪日外国人観光客に対する九州の認知度や九州旅行で期待すること、九州旅行の満足度についてのデータをもとに、今後の九州のインバウンド誘客促進のカギについて見ていきましょう。
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九州のインバウンド誘客は東アジア依存が顕著に!?

2018年の九州への訪日外国人入国者数は、初の500万人突破を記録しました。全国に占めるシェアは前年度より低下した一方で、依然として16%超となっています。
近年は、ビザの発給要件の緩和やLCCの就航増加といったインバウンド施策の強化により、アジア圏から気軽にいける海外旅行先として九州が選ばれるようになってきました。
九州における訪日外国人観光客の地域別構成比を見ると、韓国・中国・台湾・香港の東アジアが9割以上を占めている状況は変化していません。全国比で見ても、九州のインバウンドは東アジアへの依存度が高い状況が続いています。
アジア圏からのクルーズ旅行は採算性悪化から寄港回数が減少していることを受け、今後は東アジアだけでなく欧米圏からの誘客やアジアのリピーターの獲得がカギになると言えるでしょう。
九州の認知度は伸びしろアリ!スポーツイベントがインバウンド誘客のチャンス

訪日旅行で人気の観光地として認知度が高いのは、依然として東京・京都・大阪を巡るゴールデンルートや北海道、沖縄が多く挙げられており、九州の認知度は全体として30%台に留まっていることから、今後の認知拡大に期待が高まります。
特にインバウンドの欧米豪における九州の認知度が低い傾向にありますが、2019年秋のラグビーワールドカップ日本大会が福岡・大分・熊本で、ハンドボール女子世界大会が熊本で開催されるます。欧米豪でも人気の高い競技の世界的なスポーツイベントの開催は、九州の認知向上の絶好の機会となるでしょう。

九州旅行へ期待すること「温泉」「自然を生かした体験」が上位に

東アジアにおいては、「温泉アイランド九州」が定着しつつあり、リピーター層の九州訪問需要が他の観光地に比べて高い傾向にあります。
一方東南アジアや欧米豪では、日本観光全般に期待される要素を九州旅行へも期待しており、九州ならではの特徴はいまだ浸透途上であることが明らかになりました。
日本庭園や城、神社仏閣等の伝統文化に加え、田園風景を日本の観光地のイメージとして挙げているため、九州の各地にある観光コンテンツと結びつけてPRすることで、欧米豪からさらなるインバウンド誘客の促進が期待できると言えるでしょう。
九州を訪れたことのあるアジア諸国からの訪日外国人観光客は、九州旅行に期待することとして挙げていた日本料理・自然風景・ご当地グルメ・温泉といった項目で、実際に高い満足度を感じていることが明らかになりました。
さらに、清潔さや衛生面、治安といった面でも満足評価がなされている一方で、多言語対応や電子決済、自国金融機関のキャッシュカードの利用しやすさ、宗教に対する理解や配慮において、満足度は低い結果となりました。九州へのインバウンド誘客を促進するにあたり、「期待」に応えて「満足」を与えるだけでなく、今後は引き続き訪日外国人観光客向けのインフラ向上も急務と言えるでしょう。
まとめ:アジアはリピーターへ、欧米豪はスポーツイベントで魅力を表現
九州におけるインバウンド誘客促進に向けて、インバウンド市場別の傾向を掴み、それぞれの市場にあった対策を講じることが必要になります。アジア圏では、訪日旅行リピーターに対するPRが重要です。温泉や日本食といった九州旅行に期待するコンテンツで満足度が向上している一方で、多言語対応や電子決済などインフラ面の課題解決が急務と言えるでしょう。
一方で欧米豪は、長い滞在期間を生かし、ゴールデンルートから九州まで足を伸ばしたくなるような、自然や伝統文化を生かした観光スポットや体験コンテンツのPRによるインバウンド誘客が効果的と言えるでしょう。
引き続き、アジアのリピーター獲得に力を入れるのはもちろん、2019年はスポーツイベントの開催をきっかけに、欧米豪での九州旅行の認知・誘客拡大が目指されます。
<参照>
・日本政策投資銀行:九州インバウンド観光振興に向けて
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