なぜ千葉県のインバウンドは夜いなくなる?GPSから判明した課題

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株式会社エヌ・ティ・ティ・アド(以下、NTTアド)は、GPSなどの位置分析から収集したデータをもとに、訪日外国人観光客の昼間の訪問先と当日の宿泊先の統計をとり、当日の宿泊率などの分析結果を発表しました。

分析の結果をふまえ、都道府県ごとの訪日外国人観光客の行動動向と、GPSデータを用いたインバウンド対策の効果について見ていきましょう。


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訪日客の「当日自県宿泊率」が高い地域、二大観光地と大都市圏に集中

▲NTTアド:「空気読本 vol.21」より引用

本調査は、GPS位置情報データをもとに滞在や移動などを地図上にプロットすることで、訪日外国人観光客の行動の見える化を実現しました。インバウンド客が訪問した県における当日の宿泊状況のデータから、訪日外国人観光客の都道府県ごとの宿泊率ランキングを見ていきましょう。

1位の沖縄県が98.7%、2位の北海道が95.2%と、海を隔て日本列島の北と南に位置する2つの人気観光地のみで、自県宿泊率が9割を超えました。

3位以下では、大阪・福岡・東京・愛知と大都市の主要観光地がランクインしているのがわかります。一大観光地であるだけでなく、ビジネス拠点としても盛んなため、日本国内を移動する際のハブとなっていることから、自県宿泊率の高さは容易に想像できると言えるでしょう。

▲NTTアド:「空気読本 vol.21」より引用

一方で、自県宿泊率ランキングの下位を見てみると、成田空港や幕張メッセ、東京ディズニーリゾートを抱え、インバウンド客の滞在数は多いことが予想される千葉県が47.9%と、45位にランクインしていることが明らかになりました。時間ごとの滞在プロットをふまえ、千葉県の自県宿泊率の低迷の原因を次項で見ていきましょう。

千葉県:地域ならではのナイトライフの提案で宿泊率の底上げへ

▲NTTアド:「空気読本 vol.21」より引用

千葉県内の訪日外国人観光客の滞在プロットは、空港がある成田周辺や、ディズニーリゾートがある浦安周辺、ビジネスの拠点でもあり幕張メッセがある幕張周辺に集中しています。夜間になると一気に数が減少し、成田空港周辺や東京ディズニーリゾート周辺への偏りが明らかになりました。

成田空港における時間別の国際線発着便数のグラフを見ると、到着便のピークは14時〜16時の2時間となっており、千葉県の滞在者数のピークも14時〜17時となっています。出発便の夕方のピークである17時〜18時台には、千葉県の訪日外国人滞在数が急激に減少し始めているのが見受けられるでしょう。一方で、東京の滞在数は21時以降から増加していることから、千葉県の宿泊率の低迷は、成田空港からの出国による滞在数の減少と、東京へ移動し宿泊するケースが多いことが原因と言えます。

ナイトタイムエコノミーの充実が千葉県の宿泊率の上昇を促すと考えられますが、東京ディズニーリゾートだけに留まらず、お隣の一大観光地・東京にはない地域ならではのナイトライフの提案が求められるでしょう。

自県宿泊率が最下位の奈良県、宿泊施設の客室数不足も原因か

▲「ホテル旅館客室数(2017年)」:「空気読本 vol.21」より引用

自県宿泊率において、最下位となったのが奈良県です。46位47.3%の山口県から約25ポイントの差をつけられ、奈良県の自県宿泊率は22.5%となりました。奈良県の滞在者の宿泊率で最も高いのが大阪府で54.1%と、自県宿泊者数の2倍が大阪に宿泊しているといった状況です。

奈良県における、30分以上滞在した訪日外国人観光客の1時間毎の滞在プロットを見ていくと、奈良県での滞在は昼間に偏り、16時を過ぎるとプロットが続々と大阪に移っていくことが明らかになりました。

北海道や沖縄と並び日本有数の観光地である奈良県ですが、隣接する大阪に宿泊客を奪われているといった地理的な問題だけでなく、宿泊施設の客室数不足も原因の1つとして考えられるでしょう。

奈良県のホテルと旅館の客室数は、9,197室戸全国で最下位、第3位の大阪府の約10分の1となっています。奈良県では、宿泊客の受け入れキャパシティが十分でないことから、大阪府が受け皿となっていることが予想されます。GPSデータを活用することで、奈良県内の周遊観光や宿泊促進に向けた課題の発見につながるということが、今回の調査で明らかになりました。

まとめ:GPSデータの活用でインバウンドの地方誘客の課題解決へ

NTTアドがGPSなどの位置分析から収集したデータを用いた分析結果から、当日の自県宿泊率の課題について見てきました。各都道府県ごとに、訪日外国人観光客の行動動向をGPSデータから把握することで、自県宿泊率の低迷といった課題の原因を探ることができます。ナイトライフの充実や宿泊施設のキャパシティ拡大といった、今後のインバウンド誘客強化に向けた施策検討にも、効果的な手法と言えるでしょう。


<参照>

・NTTアド:空気読本vol.21

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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