インバウンド市場では断トツの存在感を放つ中国市場ですが、中国人が利用するネットサービスには中国国内向けのサービスが多くなっています。
例えば、世界中で広くシェアを獲得しているGoogleやFacebookといったグローバルなサービスは、中国では規制が敷かれ利用できません。
ところが、中国の政府機関の一つである駐日本中国大使館が、Googleの利用を呼び掛け中国のネット空間で話題を呼んでいます。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
Google禁止の中国に対し、利用を呼び掛けた大使館
駐日本中国大使館は今年はじめ、Weibo上で「ネット予約でよくある問題」という動画コンテンツを公開しました。これはパスポートの申請や日本のビザを申請するときにありがちな問題わかりやすく解説するといったものです。
動画では、まず中国の検索サービスであるBaidu(百度)を用いて「中国領事服務網」「中国駐日本大使館」などと検索し申請サイトを見つけ、そこで必要な申請を行うといった内容を説明しています。
ところが、駐日本中国大使館のWeiboでのこの動画投稿に添えられたテキストでは、Baiduで検索するのではなく「Google、Yahoo!などの検索エンジンを使って」という説明されています。これに対しては当然、多くの中国人が「なぜ中国のBaiduを使わずに、海外のGoogleやYahoo!を推奨するのか」と疑問を抱き、様々な憶測とともにこの発言がネット上に広まっていきました。
隔絶された中国のインターネット空間
なぜGoogle、Yahoo!の利用を大使館が呼びかけることにこんなにも大きな波紋が広がったのでしょうか?それは、中国では基本的に国産のインターネットサービスが利用されており、もっと言えばGoogleのような外資サービスには、中国のインターネット回線を利用していてはアクセスできないのが常識だからです。
ではなぜ、駐日本中国大使館は、中国の検索エンジンであるBaidu(百度)ではなくGoogleやYahoo!の利用を推奨しているのでしょうか。
中国のネットサービスのうちいくつかは、中国国内のネット環境でなければ使えないこともあります。例えば、「bilibili」や「iQIYI」といった動画コンテンツを多く配信するサービスでは、動画の版権を中国国内に限定して買い取っている場合があります。中国国外からのインターネット回線を使ってアクセスすると、そうしたコンテンツは閲覧できません。
bilibili動画(ビリビリ動画)とは
bilibili動画(ビリビリどうが)とは、中国版ニコニコ動画と言われており中国の若者に圧倒的な人気がある動画配信サイトです。この記事では、bilibili動画の人気の理由や日本語化する方法について解説します。目次bilibili動画(ビリビリ動画)とは?bilibili動画(ビリビリ動画)のユーザーはZ世代が圧倒的多数を占めているbilibili動画(ビリビリ動画)の特徴と人気の理由1. 弾幕2. 投げ銭3. ログイン不要で動画を観ることができる4. 映像が途中で止まらないbilibil...
iQIYI(愛奇芸:アイチーイー)ダウンロード方法|使い方・インバウンド事例を紹介
中国最大級動画サイトiQIYI(愛奇芸:アイチーイー)が注目を浴び、日本でもダウンロードする方法が検索されています。その理由としてiQIYIはユーザー数はもちろん、様々なジャンルの動画コンテンツ、またオリジナルの動画作品が視聴できることが挙げられます。この記事では、iQIYI(愛奇芸)の基本情報とコンテンツを日本でダウンロードする方法、そしてインバウンド対策への応用事例について解説します。目次中国最大級の動画サイトiQIYI(愛奇芸/アイチーイー)とは?NetflixはiQIYIとオリジナ...
また、閲覧可能なコンテンツでも読み込みが非常に遅いといった事態も少なくありません。これと同様に、Baiduからの検索と表示に時間がかかるという状況があれば、大使館がBaiduの利用を勧めない理由にも納得ですが、実際にはそのような読み込みの遅さは、当時検証した人物によれば確認されなかったと言います。
広告だらけのBaidu、正しい情報にたどり着くまで一苦労
ではなぜ、大使館はBaiduの利用に触れないのでしょうか?そこには「ジャンク広告」が関係すると見る人もいます。
ユーザーも多く、出稿される広告も多いBaiduには時に、領事館や大使館のサービスであると誤解させ、有料の代理ビザ申請などのサービスに申し込ませるジャンク広告が存在するといいます。
駐日本中国大使館は、こうした誠実さに欠くサービスを申請者が誤って利用しないように、そのような広告が表示されない「Google」や「Yahoo!」を推奨したのではないかと推測する声も見られます。
例えば2019年8月某日、Baiduで「日本旅行攻略」と検索してみたところ、検索結果の画面には、たくさんの広告が並びました。
このように広告が多い場合、ユーザーはオリジナルの情報を求めているのに、それがどれかを見極めるのにまず労力を割かねばなりません。このようにユーザビリティが低いBaiduを、大使館が評価しなかったという理由も可能性としては残るでしょう。
百度の検索サービス劣勢に、海外ではGoogle利用が主
広告が多い影響もありますが、Baidu自体の中国人の利用率が減って来ている部分もあるのではないでしょうか。特に海外に住んでいる中国人の方々はBaiduや同じく中国でシェアを持っている「360」といったサービスを使わずに、GoogleやYahoo!を利用しています。
これらの検索サービスでももちろん中国語を用いた検索ができます。駐日本中国大使館の職員も、日常的にGoogleやYahoo!を利用していた可能性があり、うっかりBaiduとすべきところでGoogleやYahoo!といったサービス名を出してしまったのかもしれません。
まとめ:中国の検索習慣にも変化、Baiduから個別のスマホアプリへ
中国人ネットユーザーにとっての「百度」よりもGoogleの方が優れている可能性はありつつも、そもそも「検索」の場はブラウザではなくアプリになってきています。
例えば日本でも、飲食店を探す時はGoogleだけで検索するのではなく、Instagramのハッシュタグ検索を使うユーザーが増えてきました。中国でも同じく、WeChat、Weibo、TikTok、RED(小紅書)などのアプリ上でユーザーの投稿する情報を検索し、さらにはそのまま商品を購入したりお店を予約したりする流れが広まりつつあります。
中国人向けのインバウンドマーケティングでは、こうした中国での検索行動の変化にキャッチアップしながら個別の施策を進めていくことが非常に大事です。
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!