福岡県香港事務所では7月11日、「訪日香港人観光客の福岡都市圏以外への誘客の可能性」についてのレポートを発表しました。
福岡県では、上海・香港・バンコク・サンフランシスコに駐在員を派遣し、現地の最新情報を収集するほか、福岡県の魅力をPRしインバウンド誘客促進に向けて取り組んでいます。本レポートをもとに、福岡県でインバウンドの香港市場をターゲットとする背景やインバウンド対策について見ていきましょう。
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3人に1人が訪日するインバウンドの香港市場
官公庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2018年に訪日した香港人は約217万人となり、韓国・中国・台湾に続き第4位となりました。
香港の人口が約734万人であることを考えると、約3人に1人が日本を訪問したと言えます。観光目的の訪日が92.9%となっており、85.6%がリピーターです。
1泊あたりの消費額は24,537円と、1人当たりの旅行支出額が最も高いオーストラリアの18,199円を大きく上回る結果となり、インバウンドの香港市場における消費拡大が見受けられます。
福岡と香港の間には、現在毎日5便の直行便が就航しており、今後も訪日香港人観光客のリピーター取り込みと満足度の向上が、地方へのインバウンド誘客を加速させる鍵になり得ます。
今回の福岡県香港事務所による、繁体字版Facebookの分析結果をもとに、福岡都市圏から他地域へのさらなる誘客促進に向けた、福岡県の取り組みと今後の展望について見ていきます。
福岡のインバウンド誘客促進に向けた、香港事務所の取り組み
福岡県香港事務所のFacebookのフォロワー数は、2019年6月末時点で6.6万人で、うち5.2万人が香港となっています。Facebook上では、花火大会や牡蠣小屋など、タイムリーに旬の福岡の魅力を発信しており、リーチ数は3〜4万に及ぶ勢いです。
当事務所では、フォロワーの性別と年齢層のデータを分析し、インバウンドの香港市場に向けたプロモーションに活用しています。福岡への関心が高いフォロワーの特徴として、25〜44歳の女性が全体の半数を占めている点をふまえ、昨年は20〜30代の女性向けに、女子旅をテーマにしたセミナーを2回開催しました。
日本への関心と情報発信力が高い女性会員を持つ「香港ロリータ協会」と共催し、福岡のグルメやインスタ映えが狙えるレトロな撮影スポット等を紹介しています。セミナーの様子は、参加者自身がSNSやブログで発信したほか、日本でもユニークなインバウンド対策として注目を集めました。
一方で、年齢層で見ると37%を占めている35〜44歳に対して、30〜40代のファミリー世代をターゲットとし、香港エクスプレスの旅番組にて福岡の親子旅がテーマの番組を、2018年11月に制作しました。2019年3月には、旅番組を元にした福岡親子旅セミナーを開催し、当事務所のFacebookの募集を見た約80名の香港人が参加しています。
番組ナビゲーターの香港の有名ラジオDJをセミナーに招き、福岡の親子旅スポットを改めてPRしました。福岡では、データの分析からターゲット層を明確にし、より効果的なプロモーションに取り組んでいます。
福岡都市圏から地方都市への誘客促進
リピーターが多い訪日香港人観光客は、レンタカーやレールパスを活用し、地方都市やニッチな観光地へ自力で訪問するケースも少なくありません。よって、今後は福岡都市圏以外の市町村や地方企業にも、インバウンド誘客のチャンスはますます増えていくと言えるでしょう。
福岡香港事務所では、現地メディアと連携し福岡全域の魅力を発信しており、2019年3月には香港エクスプレス航空と女子旅をテーマにしたファムツアーを開催しました。香港の主要メディア6社が集い、北九州地域を中心とした取材を敢行しました。
さらに香港最大手の旅行雑誌「U MAGAZINE」が福岡特集の取材を実施し、平成筑豊鉄道のことこと列車や田川市伊田商店街のシャッターアート、筑後市の恋木神社など、香港人目線で話題性の高そうな福岡各地の知られざるスポットを紹介しています。
まとめ:香港からのリピーター層の地方誘客に期待
リピーター率が85%を超えるインバウンドの香港市場は、今後地方都市への誘客促進が大いに見込めるターゲットと言えます。福岡香港事務所の取り組みのように、年齢や性別などでより詳細にターゲットを設定し、ピンポイントで的確なプロモーションを実施することで、地域の魅力がより効果的に発信できるでしょう。
訪日香港人観光客のリピーター層の満足度を向上させ、より多くの日本ファンを誘客することで、インバウンドの消費拡大や地方活性化への効果に期待が高まります。
<参照>
・福岡県:訪日香港人観光客の福岡都市圏以外への誘客の可能性について
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