【香港】中華圏初出店のドン・キホーテに勝算しか見えない理由とは?

【香港】中華圏初出店のドン・キホーテに勝算しか見えない理由とは?

全国各地に店舗を構える総合ディスカウントストアのドン・キホーテは、日本人客はもとより、外国人観光客も数多く訪れる人気ショッピングスポットです。近年は海外進出にも力を入れており、ハワイやアメリカをはじめ、アジア圏への出店も順調に進めています。

ドン・キホーテの運営会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、2019年2月の決算説明会において、達成時期は未定としながらも、海外店舗を200店、海外売上高を全体の3割程まで引き上げるという考えを発表しました。

海外出店は失敗のリスクも高い中でも、ドン・キホーテが続々と海外店舗数を拡大できているのは、徹底分析に基づいた独自の海外戦略が功を奏しているからと言えます。


中華圏初「ドン・キホーテ」は香港に出店

2019年7月12日、香港随一の繁華街である尖沙咀に「DON DON DONKI ミラプレイス2」がオープンしました。

アジアではこれまでシンガポールやタイに進出してきましたが、中華圏においては香港が初出店となります。

店舗はショッピングモール「ミラプレイス2」の地下1階の全フロアを占め、食料雑貨・生活用品・惣菜など9つのコーナーで構成されています。

メインターゲットを現地に暮らす香港人とし、物価が高いとされる香港において良心的な価格で普段遣いができる店を目標としています。日本の商品が数多く揃っており、香港向けの売り場づくりなどの工夫も随所に見られます。

「24時間・安さ・充実の品揃え」にプラスして”香港向け”売り場を展開

「DON DON DONKI ミラプレイス2」は、本来のドン・キホーテの魅力要素である「24時間営業・安さ・充実の品揃え」に加え、香港人向けの売り場づくりも徹底しています。

まず、現地に住む香港人をメインターゲットとしているため、普段づかいができるような売り場を意識し、青果・精肉・惣菜などの食品関係がフロア全体の半分を占めています。

サーモンの刺身や和牛などの食材、日本式の弁当など日本らしい商品を豊富に取り揃え、その場で食べられる焼き芋コーナーも好評を得ています。さらに日本の旅行先として人気の高い北海道のコーナーを設け、北海道産商品を揃えるなど、細かな工夫も随所に散りばめられています。

このように日本らしさを主張しながらも、あくまでも香港人が好む食材や人気の高い商品を重点的に揃えており、日本での売り場とはまた違った香港向けの売り場を展開しています。

香港を訪れる中国人観光客も取り込む

香港の中心地・尖沙咀での出店ということで、世界各国から集まる観光客の取り込みも期待できます。

香港政府観光局の発表によると、2018年度に香港を訪れた中国人の日帰り訪問者は約3,113万人となっており、2位の台湾人の115万人と比べても、中国本土からの観光客が特に多いことが分かります。これら中国人をはじめとする外国人観光客のニーズにも応える体制を整えることで、インバウンド客による売上増も見込めます。

日本国内のドン・キホーテも、アジアをはじめとする外国人観光客の利用が非常に多く、インバウンド客による売上が全体の売上に大きく貢献していることは明らかです。これと同じように、香港でもインバウンド客を取り込むことが売上にも影響してくるでしょう。

アジア圏で続々と出店を続けるドン・キホーテ

ドン・キホーテは、もともとアメリカやハワイに進出して海外店舗数を拡大していましたが、近年はアジアでの出店を積極的に進めています。

アジアのドン・キホーテ店舗は、2019年7月時点でシンガポール4店舗・タイ1店舗・香港1店舗を展開しており、2019年中には香港で2号店の出店が予定されています。アジア進出の成功を受け、今後さらにアジア圏に店舗を拡大する計画が進められています。

失敗例から見えてくる海外進出の難しさ

近年はアジアへ積極的に進出する企業も多く、ドン・キホーテやダイソーなどの格安小売店、高島屋などの百貨店、明治屋などの高級スーパー、飲食店と様々な店舗が進出しています。

しかし、日本企業が海外に出店することは容易ではなく、様々な手続きや準備を経ていざオープンを迎えても、期待に反して売上が伸びないために、撤退を余儀なくされるケースも多くあります。

海外展開は大きな商機である一方で、失敗のリスクもつきものです。特に失敗に終わってしまった事例は、原因を詳しく分析することで注意すべきポイントが分かるため、今後の海外戦略に活かすことができるでしょう。

海外撤退の要因は?「メイド・イン・ジャパン」過信と強気の価格設定

アジア進出を果たしながらも撤退という結果に終わってしまった企業はいくつもあります。

賃料の値上げ・ECの普及・競争激化など様々な事情が重なって閉店に追い込まれるケースもあるため、原因はケースバイケースと言えます。

しかし、その中でも失敗要因として見過ごせないのが、「メイド・イン・ジャパン」への過信です。アジアにおいては、日本製品や日本ブランドへの信頼が厚いため、高くても売れると思われがちですが、今やそれだけでは訴求力が弱く、高ければ売れにくいというのが現状です。

これまで閉店した日本食マーケットや百貨店などの傾向を見ても、品質の良い日本商品の多くは高価であり、いくら日本を全面的に打ち出して魅力的な売り場作りをしても、価格がネックとなり客足が遠のくという状況に陥っていました。

価格競争で競合店へと流れる消費者

当然のことながら、日系企業に限らず、現地には日本商品を揃える小売店などの競合店がいくつも存在します。そして買い物客がそれらの店を天秤にかけた時に、最終的に価格の安い方を選ぶことも少なくありません。

商品がどれだけ高品質でも売れなければ意味がなく、売上が立たず早々に閉業せざるを得なくなってしまいます。

競合店と差別化を図るためには日本らしい魅力を伝えながらも、現地の買い物客が求める商品選定と価格設定が必要となります。

ドン・キホーテに学ぶターゲットに合わせた海外出店戦略

ドン・キホーテのように海外出店を次々と成功させるためには、徹底的な現地調査や分析に基づいて出店計画を立てることが必要不可欠です。失敗事例からも分かるように、「この商品が売れるだろう」「この商品を推したい」と一方的な考え方で売り場を作ったところで、現地の買い物客のニーズと合致しなければ買ってもらうことはできません。

海外出店の際は現地のニーズを正確に把握して、商品を提供することが非常に重要なポイントなります。

高品質はそのままに価格は良心的に

百貨店など海外出店する店舗の多くは、日本製品の価格の高さが目立ちますが、ドン・キホーテの商品は手に入れやすい価格に設定されています。日本で購入するのと同等の価格か、高いとしても1.5倍以内品とし、独自の流通網や輸送ノウハウを駆使するなどして、価格を抑える工夫がなされています。

品質の良い日本の商品を手頃な価格で手に入れられるのは大きな強みであり、消費者が重要視するポイントです。

既存の競合店との差別化

人・モノが集まる中心地に出店する場合は、現地に多数ある競合店との差別化を図るための、独自の店作りや商品ラインナップが必要になります。

ドン・キホーテは、買い物客にインパクトを与える商品陳列、訴求力のある商品カードが並ぶ独特な売り場、日用品・食品・ブランド品など幅広いジャンルをカバーしたユニークな品揃え、そして買い求めやすい価格など、ドン・キホーテにしかない独特な店作りによって、唯一無二の存在感を発揮しています。

似たような商品を揃える店舗が他にもあれば、結局は価格競争によって他店に利用客が流れてしまうことになります。

現地の消費傾向を考慮した出店形式 

ドン・キホーテのアジア店舗は、現地の買い物客の消費動向も考慮した出店形式をとっています。

例えば、バンコクでは店舗単体の出店ではなく、複数の企業と組んで設立した大型商業施設「ドンキモールトンロー」の中核テナントとして出店しています。ドン・キホーテ以外にも、ダイソーやドラッグストアなどの小売店、カフェやレストラン、さらにカラオケやスポーツ施設までも備えています。

これは、現地のタイ人がゆっくりと滞在する目的でショッピングモールを訪れるという傾向に基づいた出店形態です。出来たて料理を食べられるイートインコーナーなど、来店中に飽きさせない様々な工夫もなされています。

その国の消費者がどのような目的で買い物に訪れるのかを分析し 、消費者にとって最適な出店形態をとることも一つの戦略です。 

現地での”インバウンド”対策

観光地に位置する店舗なら、インバウンド集客も見越して、言語対応や決済方法の充実などニーズの高いインバウンド対策を早期から整備しておくことも大切です。

日本国内のドン・キホーテは早くからインバウンド客の取り込みを意識し、言語対応・免税対応など様々なインバウンド対策を講じてきました。外国人観光客が利用しやすい環境を整えることは店舗の大きな強みとなり、インバウンド客が増えることで売上増にも繋がっていきます。

インバウンド中国市場に人気の「ドン・キホーテ」現地展開の影響は?

海外進出において、日本国内で培ってきた店舗づくりや運営ノウハウはもちろん活かすべきですが、さらに重要なことは、現地の消費者動向やニーズを入念に調査・把握し、それに沿う形で商品選定・価格設定・売り場づくりを行うことです。

長く愛される店にするためには、いかに日常的に買い物に来てもらえるかが鍵になります。オープン当初は話題になって人が集まっても、しばらくすると普段使いしやすい競合店に人が流れて、売上が落ちるということは海外進出の失敗例でも明らかになっています。

日本国内を訪れるインバウンド、特に中国からの訪日客に、ドン・キホーテは非常に人気です。同時に、香港は中国人にとって最も人気な旅行先の一つです。

香港を訪れる中国人観光客は2018年には約5,100万人にも達しています。今回の香港展開は、今後の訪日旅行の消費動向に影響を及ぼすことも考えられます。インバウンドの勝ち組ともいえるドン・キホーテの、国内店舗におけるインバウンド施策に変化が表れるのかどうかは注視に値するでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!