日本のシンボルとも言える富士山は2013年に世界遺産に登録されて以降、訪日外国人の登山客が増加しています。
2018年の山梨県における観光客も、約半数が富士山エリアに集中している状況です。今後さらなる観光客の増加が見込まれる富士山ですが、2019年7月10日の山開きに合わせて、インバウンドの利便性向上に向けた受け入れ体制の準備が静岡側で行われました。
トイレやキャッシュレス決済といったインフラ面の整備をはじめ、2019年の富士山におけるインバウンド対策について見ていきましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
5合目トイレを大幅改修、男女ともに洋式化
富士宮口五合目の民間レストハウスのトイレ改修が終了し、男女ともに洋式化するとともに、床や壁、配管なども修繕されました。市の観光課などによると、富士宮口五合目の民間レストハウスのトイレは1981年に設置されています。
その後年間約20万人の観光客が訪れる中で老朽化が進んでいき、悪臭をはじめ衛生面の課題が表面化していました。訪日外国人観光客の増加も顕著となり、改修を望む声が多かったことから、今年トイレの改修工事に踏み切ることとなりました。
市も公共性が高いと判断した結果、2019年度当初予算に費用を盛り込み、事業費は約1,130万円のうち市の補助金は500万円とし、5月中旬から6月末にかけて工事を実施しています。国も訪日外国人観光客の受け入れ環境整備を目的に約330万円を補助し、残りを事業者が負担するかたちとなりました。
富士山の表口のおもてなしの準備が整い、インバウンド客の利便性ならびに満足度の向上が期待できるでしょう。
山小屋にKDDIなどスマホ決済の新サービス導入へ
KDDIと御殿場市、小山町が連携して実施する「富士山スマートサービス」が7月10日から9月10日まで導入されます。本サービスでは、静岡側の富士山登山道の気象状況発信やキャッシュレス決済の導入による、国内外の登山客の利便性向上が見込まれます。
昨年の開山期間中もKDDIなどが、登山道の気温や湿度を伝える「ミエルフジトザン」というサイトを運用しており、今年は新たに風速や降雨状況も追加されました。静岡側3ルートの5合目と8合目、山頂の天候をリアルタイムで確認できるほか、3時間ごと6時間後の予測も見られるようになっています。
同サイトでは、御殿場口新五合目の駐車場の混雑状況も今年から配信を開始するなど、より登山計画が立てやすくなりました。訪日外国人の登山客への対応も強化しており、御殿場口の山小屋「赤岩八合館」と「砂走館」にて、スマホ決済が可能な「au PAY」などのキャッシュレスサービスの導入を開始しています。
さらに御殿場市内を走るタクシー6台に英語・中国語・韓国語を始め10ヶ国語対応の翻訳機能を搭載したタブレットを設置したことから、富士山の周辺観光地への周遊観光促進も期待できるでしょう。
山開きに合わせて「富士山頂郵便局」を開局
富士山にはもう一つ、インバウンドと関係の深いスポットがあります。7月10日から8月18日までの40日間、季節局として開局する「富士山頂郵便局」です。
営業時間は6時から14時とし、要望に応じて富士山や局舎をかたどった記念印の押印や、オリジナル商品の「オリジナルフレーム切手」「登山証明書&富士山登頂記録セット」なども販売します。外国宛の普通郵便も取り扱っているため、インバウンドの登山客にも人気のスポットです。記念の地から家族や友人に手紙を出す喜びは、国籍問わず旅行者が味わいたいと考えるものです。
2017年に浅間大社奥宮の全面改修工事を終えて、5年ぶりに大社内に戻って以降、インバウンドブームに伴い、富士山頂郵便局でも訪日外国人の登山客の利用が増加しています。山頂周辺は、登頂を果たした登山客の撮影スポットとして例年賑わいを見せており、今年もさらなるインバウンド客の利用が見込まれるでしょう。
まとめ:受け入れ態勢の強化が富士山のインバウンド誘客を加速
2019年もインバウンドのさらなる受け入れ態勢の整備がされた富士山ですが、中国の百度検索サービスによる2018年の訪日中国人の検索動向ランキングでは、2016年から2年連続トップだった富士山がランク圏外となりました。
一方で、富士五湖の1つである河口湖が3位にランクインするなど、富士山周辺の観光への注目は高まっていると言えるでしょう。
今後も、富士山におけるインバウンドの受け入れ態勢の強化をPRすることで、中国人をはじめインバウンド集客にさらなる勢いがつくことが期待されます。
<参照>
・静岡新聞:富士山富士宮口5合目トイレ 改修工事完了
・日本経済新聞:富士山の山小屋でスマホ決済、KDDI
・静岡新聞:富士山頂郵便局、限定切手が人気 登頂の証し、送る?飾る?
・山梨県:山梨県観光入込客統計調査結果
・PR TIMES:中国人は日本の何が好き??Baidu Japan、2018年訪日中国人の検索動向ランキング発表
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!