ホテルを選ぶときには、その滞在が観光旅行かビジネスかなど背景によって、ホテルに求めるものが変わります。
ホテル選びで、「ここだけは譲れないポイント」というサービスや設備などが誰しもあるでしょう。この「譲れないポイント」には国ごとの傾向があり、インバウンド対策を考える上での重要な指標です。
どの国の人が、ホテルのどんなサービスを重視しているのかを知ることは、顧客満足度の増加につながります。
今回は、ホテルで重要視する項目の国ごとの違いについて、エクスペディアの調査から考察します。
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世界規模の総合旅行サイトが各国旅行者の最新傾向を報告
世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパンが、一年以内に飛行機に乗ってでかけホテルに宿泊した、世界23ヵ国の男女18,237名を対象に、ホテルに関する国際比較調査を実施しました。
宿泊施設の選び方には国ごとに大きな違いがあるようです。
日本人は「Wi-Fi」と「無料設備」が大切
調査の結果、日本人がホテルで最も重視するものは、「Wi-Fi」であることがわかりました。日本人の84%が重要視すると回答しています。

日本国内の大手ホテル予約サイトには「Wi-Fiがなくて子どもが不服そうだった」という口コミも見られます。現代は、子どもが使うゲーム機器であってもWi-Fiを使った通信機能が搭載されており、若年層を中心にWi-Fiが宿泊施設の必須条件になりつつあると言えます。
さらに4位に「スパ、Wi-Fi、飲食物などの無料サービス」がランクインしています。豊富なサービスを、コストをかけずに受けられることが日本人にとっては重要なようです。
日本人がホテルを予約するときに最も重視するものは「価格」でした。日本人の実に92%の人が重視しています。3位には「無料Wi-Fi」が入っています。

日本人がホテルに重視するものトップ5においても、3~5位は無料のサービスに関する項目が並んでいます。日本人は価格をかなり重視するということがわかります。
多くの宿泊施設のターゲットは日本人客であることも多く、こうした日本人に合わせたサービスは、実は訪日外国人にとってはあまり歓迎されていないという可能性も考えられます。
宿泊施設の選び方には国ごとに大きな違い
続いて各国がホテル選びの際、重視するものを紹介します。
フランスでは84%の人が「ホテル内のバーやレストラン」を重視しています。美食の国フランスらしいこだわりと言えるでしょう。日本人では「ホテル内のバーやレストラン」を重視するのは56%と半数程度にとどまっています。
世界の都市でミシュランの3つ星を獲得している飲食店は、実は1位が東京、2位がパリ(フランス)、3位が京都とサンフランシスコとなっており、日本は美食の国とも言えそうですが、ホテル内の飲食施設についてはフランス人と日本人とで関心に大きな差があることがわかります。
韓国では「部屋からの眺め」が89%と重視されており、SNS映えするスイーツやカフェを多く生み出す韓国らしい結果と言えます。
イタリアには絵画や彫刻からファッションまで多種多様な芸術の歴史があり、こうした環境に培われた感性が、宿泊施設を選択する際にも影響しているようです。 イタリアでは「部屋のユニークさ」が80%の人々に重視されています。

ブラジル人が宿泊の際最も重視するものは「冷蔵庫」で、95%と高い数字となっています。客室内での時間を大切にする傾向があると考えられるでしょう。
日本人は客室内を重視、施設全体の設備には無関心?
日本人は、ホテルの室内で快適に過ごすための設備には注目していることが分かりました。
一方で、世界の64%の人が重視する「プール」は、日本では23%の人しか重視していないという結果でした。さらに、「ジム」についてはプールよりさらに関心が低いとの結果になりました。

また、世界の65%の人が重視する「屋外スペース・グラウンド」について、日本では32%にとどまり、ホテル予約時に重視しないものの2位になっています。同様に「家族連れに優しい」かどうかも、日本人にとってはあまり重要ではないようです。

対照的なのが台湾です。家族や親戚との繋がりを特に大切にする文化があり、今回の調査からはホテルの環境が家族全員にとって快適かどうかが非常に重要となっていることがわかります。
日本人では38%しか重視していない「家族連れに優しい」かどうかについて、台湾人の場合は88%の人が重視すると回答しています。

同じく中華圏である中国の旅行に関する口コミを確認してみると、「子供の機嫌が悪いので近場の散策に予定変更。ショッピングセンターでラーメンを食べる」といったように、幼児の機嫌に合わせて柔軟にスケジュールを調整する姿が見られます。日本以上に、家族、特に子供の都合を優先する傾向があると言えるでしょう。
まとめ:国ごとのニーズの違いを把握した訴求が必要
今回の調査結果から、同じくホテルに宿泊するときにも国によってニーズが異なることがわかりました。
土地が狭く、特に都心部などにおいて横よりも縦に建物が建つ日本では、全てのサービスや設備を盛り込むのは困難と言えます。どの国に焦点を当てて集客に励むのかをはっきりさせてインバウド対策を行うことが、成果を上げるポイントになります。
2020年には東京オリンピックの開催があり、さまざまな国から非常に多くの観光客が訪れることが予想されます。その中で、どの国のどのような観光客に訴求するかを念頭に置いたインバウンド対策が、滞在中の満足度に影響を与えてくるでしょう。
<参照>
世界23ヶ国 ホテルに関する国際比較調査 日本人はホテル内の施設より「室内の設備」を重視!
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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