ハロウィンの文化が日本に定着して久しいですが、2010年頃からはハロウィンの時期になると大勢の仮装した若者が渋谷に集まるようになり、「渋谷ハロウィン」として毎年の恒例イベントになりました。
毎年10月31日になると渋谷スクランブル交差点の辺りは大盛況となりますが、一方で大勢の人が集まる中で発生する犯罪やトラブルが社会問題として注目されています。特に2018年の渋谷ハロウィンでは軽トラックがひっくり返されたり、痴漢や盗撮の疑いで計5人が逮捕されるなど、ハロウィン期間中の治安維持が大きく問われる結果に終わりました。
日本に興味を持つ外国人は、毎年お祭り騒ぎの渋谷ハロウィンをどのように見ているのでしょうか。
肯定的な意見も否定的な意見もそれぞれ見受けられますが、今回は特に英語圏・中国語圏のネットユーザーから得られた意見を中心に彼らの考え方を紹介します。
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【海外の反応】2018年のハロウィン
2018年のハロウィンイベントは、渋谷を中心に池袋や川崎などいくつかの街で開催されました。特に盛り上がった渋谷のハロウィンイベントには大勢の外国人も参加し、自由な衣装で楽しんでいたようです。一方でトラブルを起こした外国人も見受けられ、周囲の参加者に向けて殴りかかるなどの事案も発生しました。
台湾の反応:「日本人はコスプレ好き」しかしゴミには絶句
台湾最大の電子掲示板(BBS)である「批踢踢實業坊(PTT)」では、渋谷ハロウィンに関するスレッドがいくつか立てられていました。
2018年の渋谷ハロウィンについては、「日本人は本当にコスプレが好きな民族だと思う、コスプレをしたまま街に繰り出すなんて」などの好意的な意見もありました。
一方で、ハロウィン終了後にゴミが散らかった様子を見て「日本人は普段ストレスが溜まりすぎているから、こういう時に発散するんだろう」「日本でもこんなことがあるなんて」「実はゴミを捨てているのは中国人なのでは?」などの意見が見受けられました。
特に「日本は清潔」という印象を持っている台湾人からすると街中にゴミが落ちている渋谷の惨状は衝撃的なものだったようで、多くのネットユーザーはこの現状に対し驚きをもって受け止めていました。
英語圏の反応:「治安が悪すぎる」「なぜ日本でこんなことが」
世界最大の電子掲示板(BBS)である「reddit」でも、渋谷ハロウィンに関するスレッドが立てられていました。
台湾とは異なりハロウィンの日本文化的側面はあまり触れられておらず、「行かなくて良かった」「この惨状では来年は厳戒な警備の下で開催するしかないだろう」という意見が多く見受けられました。
同時に、「渋谷全体がゴミまみれになった訳ではない、センター街やスクランブル交差点などの中心地以外は普段どおりの渋谷だった」という参加者からの意見もありました。
【海外の反応】路上飲酒禁止条例で「罰則がないのはおかしい」
前回の大混乱を受けて、渋谷区は今年から期間限定の路上飲酒禁止条例を施行しました。
路上飲酒が禁止されるのは10月24日〜30日の金、土、日曜日、10月31日、11月1日、12月31日、1月1日の最大6日間です。しかし、この条例には罰則が設けられておらず、あくまでも市民のマナーに訴えかける形になっています。
このことについても海外でも多くの議論がありました。その一部を紹介します。
渋谷区の路上での飲酒規制制定へ。インバウンドへの影響は?
東京渋谷区ではこのほど、ハロウィンや年越しカウントダウンなど期間限定で路上飲酒の禁止を盛り込んだ条例を制定する方向で検討が進むことなどがわかりました。6月の区議会で飲酒禁止を盛り込んだ条例の成立を目指すとのこと。2018年のハロウィンでは、渋谷のスクランブル交差点で酒に酔った参加者が暴徒化、逮捕者が出たるなどしました。2019年も「令和」カウントダウンが話題になるなど、イベントごとに人が集まるようになった渋谷・スクランブル交差点。今回の条例を踏まえてどうなっていくのでしょうか。目次渋谷区、...
「罰則がないのはおかしい」効果を疑問視する声が多数
世界最大の電子掲示板(BBS)である「reddit」では、「罰則がないのはおかしい」「路上飲酒が六本木に移るだけで、結局は効果がないのでは」という懐疑的な意見が多くを占めていました。
また、ニュースサイト「Japan Today」のコメント欄でも「(罰則がないことを受けて)日本の法律はジョークなのか?」「コンビニやスーパーのアルコール類も撤去しないと意味がないと思う」のように、やはり条例の効果が疑問視されていました。マナーに訴えかけるという方針ではなく、罰金などを設けるべきだと考えている外国人が多いようです。
一部では効果に期待する声も
一方、redditでは「路上飲酒する外国人が多すぎる、これは効果のある施策だと思う」のように条例の効果を期待する意見もありました。
また、Japan Todayでも「東京だから大丈夫だろう」「現地を取り締まる警察に期待する」などの声がありました。一部の人々は今回の条例がもたらす効果に期待しているようですが、一方で大多数のネットユーザーは効果を疑問視しているようです。
ハロウィンに向けたインバウンド対策は?
このように数々の問題を引き起こし、外国人の日本に対するイメージにも影響を及ぼしているハロウィンですが、その一方でハロウィンを楽しむために来日する外国人も存在します。
そのため、どのような対策をすれば彼らが楽しく安全にハロウィンに参加できるか、合わせて日本の文化を楽しんで母国に帰ってもらえるか、訪日外国人と関わる業界全体で考えていくことが重要です。外国人対応という観点から見たときに対策できる項目について、簡潔に紹介します。
ハロウィン目当ての訪日外国人にアピールできる対策を
小売店ではハロウィン関連の商品を売り出したり、サービス業では店内の飾付けをハロウィン仕様にする、スタッフが仮装をして応対するなどの季節感を出すことで、「ハロウィン需要」で来日した外国人にも楽しんでもらえるでしょう。これは「おもてなし」の一環に繋がるとも言えます。
多言語表記やゴミ箱などの設備を充実させることも重要
そして最も重要なのは、多言語表記を充実させることによる訪日外国人への正しい情報提供です。付近の警察署、コンビニ、トイレなどの場所を簡潔に記した地図を各施設で配布したり、ハロウィンイベントが開催される場合はその場所や当日の交通規制などをパンフレットにして多言語で掲示・配布するなど、いくつかの対策が考えられます。
また、国によっては道ばたにゴミを捨てることに抵抗のない外国人も存在しますが、日本でそのようなことをしないように注意喚起したり、店頭にゴミ箱を設置してゴミのポイ捨てを防ぐなどの対策も重要です。
トイレやWi-Fiの貸し出しも訪日外国人の利便性を高めるという観点から見ると悪くない選択でしょう。店舗の施設を利用した訪日外国人がそのまま店内で買い物をしたりサービスを利用するといった状況も考えられるため、こうした対策は積極的に検討するべきとも言えます。
ハロウィンに備えたインバウンド対策で、訪日外国人の利便性と安全を確保
今年も例年通りハロウィンイベントが開催される予定です。渋谷ハロウィンについては飲酒禁止条例の施行や警備の増強もあり昨年ほどの大騒動にはならないと予想されますが、当日起こるであろうトラブルを懸念する声は既に多く見受けられます。
訪日外国人が安全にハロウィン期間を過ごせるように、またハロウィンに参加する場合はトラブルに巻き込まれることのないように、今年は例年以上にインバウンド業界による事前の準備や対応が重要となるでしょう。
<参照>
批踢踢實業坊:https://www.ptt.cc/bbs/Japan_Travel/M.1540807979.A.CB9.html
批踢踢實業坊:https://www.ptt.cc/bbs/Gossiping/M.1540706069.A.CCA.html
Japan Today:https://japantoday.com/category/national/shibuya-bans-public-drinking-for-halloween-in-some-areas
Reddit:https://www.reddit.com/r/japan/comments/9ryrjq/shibuya_halloween_last_night_some_people_turned/
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