実は「ナポリタン」はイタリアの都市ナポリとは関連のない日本発祥の料理です。
この記事ではナポリタンという料理へのイタリア人の感想だけでなく、日本発祥のさまざまな食に対して外国人が見せる意外な反応と、食を通じたインバウンド対策についてご紹介いたします。
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「ナポリタン」を食べたイタリア人の反応
家庭やファミリーレストラン、コンビニ弁当でお馴染みのスパゲッティ「ナポリタン」ですが、実はイタリア料理ではありません。
ナポリタンは日本で生まれたスパゲッティです。
ケチャップを使うなんて信じられない
日本ナポリタン学会は、2012年にナポリで開催されたコミック、アニメ、ゲームなどのイベント、コミコンにて、ナポリタンを振る舞う企画を実施しました。
イベント参加者は日本発のスパゲッティに困惑しながらも、日本のナポリタン学会のブースでナポリタンに興味を示していました。
コミコン2日間で合計200食販売し、イタリア人にナポリタンの存在を広めると同時に、率直な感想を得られました。
多くのイタリア人がナポリタンをおいしいと評価したものの、ナポリタンに使われている具材については疑問を隠せないようでした。
なぜなら、ナポリタンで使われている材料の多くがイタリアやナポリと直結しない物が多いからです。
例えばナポリタンのメインの味付けであるケチャップは、アメリカ発の調味料です。
イタリアではトマトソースをパスタやピザに使うため、ナポリタンがケチャップベースであることを不思議に感じていました。
またナポリは港町にもかかわらず、イベントで振る舞われたナポリタンの具材に海鮮が入っておらず、料理名とその土地の特徴の不一致が違和感をもたらしました。
そもそもナポリタンとは…
スパゲッティ ナポリタンは横浜にあるホテルニューグランドの2代目総料理長の入江茂忠氏が考案した料理です。
戦後、日本では米兵が食べていたスパゲッティに塩胡椒とケチャップをかけた食べ物が流行しました。
食糧が乏しかった状況でも簡単に作れるとともに、駐在アメリカ人兵士が食べている食事に興味があった人々の間で広まり次第に広く知られるようになりました。
当時ホテルニューグランドの料理長だった入江氏は、このケチャップスパゲッティをホテルメニューとして取り入れるために、作り方や材料をアレンジしてスパゲッティ ナポリタンを生み出しました。
多くの人が慣れ親しんでいるナポリタンはケチャップベースがほとんどではありますが、ホテルニューグランドのスパゲッティ ナポリタンはトマトソースベースで作られています。
日本発祥なのに海外の料理のようなメニュー6選
ナポリタンの他にも、実は日本発の食べ物が多く存在します。
1. トルコライス
トルコという地名がついていますが、長崎のご当地グルメの一つです。
ピラフ、ナポリタン、豚カツが一つのプレートに乗っている料理で、名前の由来や考案者がはっきりしていません。
トルコでは1食で炭水化物を2種類食べる文化はなく、宗教上の理由で豚肉はタブーとされています。
2. 天津飯
中華料理の一つと思われている天津飯も天津発祥ではありません。浅草の来々軒や大阪の大正軒が発祥など、発祥に関しては諸説あります。
また中華丼も中国にはなく、中華料理屋のご飯に八宝菜をかけたまかないが発祥と言われています。
3. 冷やし中華
冷やし中華は宮城県仙台市の龍亭が発祥という説が有力とされています。
冷やし中華と同じ麺類でラーメンがありますが、日本のラーメンと中国のラーメンは別物として中国人は捉えているようです。
4. エビフライ
お子様ランチから大人のメニューにもあるエビフライですが、こちらも日本発祥のフライ料理です。
他の料理同様に発祥のお店は諸説あります。中国や東南アジアにもエビにパン粉を付けて揚げる料理があります。
5. ドリア
日本の洋食屋やファミリーレストランによくあるドリアは、日本のホテルで料理長を務めていたスイス人が考案した料理です。
また、人気イタリアンレストランチェーン店、サイゼリヤのミラノ風ドリアはミラノにはありません。
6. オムライス
オムライスはオムレツとライスを組み合わせた和製英語であり、日本発祥の料理です。
いかにも海外料理のような名前の料理でも、実は慣れ親しんでいるものの多くが日本で創作されたオリジナルであることが分かります。
外国人の日本食に対する印象
日本人にとって馴染みが深いお弁当文化は今や「BENTO」と表記され、世界共通語として広まりつつあります。
海外ではサンドイッチやフルーツなどの軽食を持ち歩くことはありますが、日本のように炭水化物とおかずをバランス良く「お弁当箱」に入れて持ち運ぶことはほとんどありません。
日本のお弁当の中身をみた外国人の多くが、食事が綺麗に箱詰めされた状態に驚き魅了されています。
お弁当文化の中でもご当地の味を楽しめる駅弁は人気が高く、その場でお弁当を温められる加熱式の駅弁も外国人にとっては驚きシステムです。
もはや日本食、海外の料理ローカライズ
実際に海外の料理で、日本独自のローカライズを施したメニューも、今や日本食としての地位を確立しています。
たとえばカレーやラーメンは、海外の料理を日本風にアレンジした料理ですが、現在では訪日外国人から日本らしい料理として高く評価されています。
日本のカレーは本場インドとは味も見た目も異なりますが、日本に来たインド人がお土産に日本のカレールーを購入することもあるようです。
中国や韓国のラーメンとも違う日本のラーメンは、種類やお店によっていろいろな味が楽しめると好評です。
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回転寿司はエンタメ
また、日本では庶民派の回転寿司は海外ではエンターテインメント性が高いとされ、海外の回転寿司の店は客単価が高く設定されています。
このように、文化や慣習の違いで同じ食べ物でも価値の感じ方が異なることが分かります。
日本のフルーツ人気が上昇中
中国人富裕層の間では日本のフルーツが注目されており、新鮮なフルーツを使ったデザートが食べられるタカノフルーツパーラー&バーやHARBSの中国人利用客が増えています。
また、高級フルーツを使った和菓子もお土産として人気があり、宗家源吉兆庵は関東の空港で免税販売を始めています。
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コト消費としての日本食
訪日外国人観光客の目的が買い物よりも文化や食体験にシフトしており、各地ではさまざまな体験サービスを実施しています。
株式会社mapleaseは訪日外国人観光客向けに料理教室「Kawaii Cooking」を都内にて開催しています。
こちらでは、伝統的な和食から可愛いデコ料理まで幅広くレッスンを提供しています。
宗教上の理由で使えない食材がある場合は要望に合わせて内容をアレンジするなど、インバウンド対策がされている料理教室です。
福岡県では地域の食材を用いた料理が楽しめる「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ・レール・キッチン・チクゴ)」を運行しています。
福岡県の中心地、天神駅から太宰府駅までの40分のブランチや更に足を伸ばした約2時間25分の大牟田駅までのコースや復路をディナーとしたコースなどが用意されています。
地域活性化施策の一つですが、海外の観光客も利用できるようにウェブサイトは英語対応がされています。
ガストロノミーツーリズムとその事例
ガストロノミーツーリズムとは、「食文化」と「伝統文化」を活用したツーリズムを指します。
訪日外国人観光客の多くが日本食、温泉、自然、歴史・文化体験を目的としていることから、ガストロノミーツーリズムはインバウンド誘致の鍵になると考えられます。
旅行先での食文化に触れる旅
2016年に観光庁が発表した「訪日外国人観光客消費動向調査」によると、外国人観光客が訪日前に期待していたことの上位に「日本食を食べること」「旅館への宿泊、温泉入浴の体験」が挙がっています。
そこで、ANAホールディングスの子会社のANA総合研究所と飲食店検索サイトのぐるなびが共同で「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」を設立しました。
全国の温泉と郷土料理を活用して外国人観光客を誘致することを目的とし、自治体と協力して観光プログラムを作成しています。
文化としての食を訴求
ガストロノミーツーリズムは名産品や特産品など単品の食材ではなく、文化としての食を訴求する点がポイントです。
際立った食材や観光資源がなくても、食文化を通じて地域をブランディングできます。
そのため、観光地として未開の地域や小規模な市町村でも独自のプランを作れ、訪日外国人観光客に地域の良さをより具体的なストーリーで語ることができます。
日本各地の例
新潟県、群馬県、長野県による3県7市町村の地域連動DMO「一般社団法人雪国観光園」はインバウンドのターゲットを明確に設定して外国人観光客の誘致に取り組んでいます。
雪国観光園のメインターゲットは日本文化に興味がある欧米在住の富裕層で、彼らに向けて高級料亭や旅館での上質な食文化体験をウェブサイトや動画を通じて発信しています。
静岡県浜松市は、地域で取れた農水産物を「浜松パワーフード」としてプロモーションを始めました。
品目は限定されておらず、幅広く生産者や事業者へ参加を促しています。
浜松ではパワーフードを買う、食べるだけではなく、伝統漁法や醤油絞り体験、酒蔵見学、フルーツ狩りなどの食に関連した文化体験の提供にも力を入れています。
白川郷や下呂温泉がある飛騨高山では、地酒ツーリズムにも取り組んでいます。
現在では観光資源と地酒ツーリズムを融合させ「見る、飲む、買う」が体験できる観光地へ発展しました。
酒蔵ごとに異なっていた見学や試飲対応をまとめ、英語版の酒蔵の案内を作り外国人観光客の誘致を強化しています。
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食には面白い面、可能性がたくさん
海外発祥の食事が実は日本発祥であったり、日本人にとって当たり前の食文化に思わぬ反応があったり、インバウンドにおいて食の可能性はまだまだあります。
食と文化を組み合わせたガストロノミーツーリズムや既存の食を今までと異なった切り口でブランディングするなど、食を用いた各地のプロモーション方法は今後もインバウンド対策として重要なポイントとなるでしょう。
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