ニューヨーカーが「本当に食べたい」のは和食のB級グルメ?現地視察から読み解く各国のベジタリアンニーズ【ニューヨーク編】

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食の多様化対応をサポートしているフードダイバーシティ株式会社の山崎です。

今回のテーマは前回に引き続き“各国のベジタリアンニーズ”に関してです。

第2回目はアメリカ ニューヨークに迫ります。

過去記事
各国のベジタリアンニーズ【台湾編】"サラダだけ"の間違った対応をしてませんか?

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ベジオプションは当たり前?一般化するベジタリアン対応

現地到着後、まず向かったのが現地のスターバックス。何の変哲も無いサンドイッチやベーグルに見えますが、VegetarianやVeganの記載を発見しました。

スターバックス以外にも、バーガーキングなどの一見ベジタリアンとは縁がなさそうなファストフードもVeganオプションを展開しています。

あまりにナチュラルに溶け込んでいるため、意識をしないと気がつかないこともしばしばです。

▲[「vegetarian」と表示されたスターバックスのパニーニ]:筆者撮影
▲[「VEGETARIAN」と表示されたスターバックスのパニーニ]:筆者撮影
▲[「vegan」と表示されたスターバックスのベーグル]:筆者撮影
▲[「vegan」と表示されたスターバックスのベーグル]:筆者撮影
世界で使われているベジタリアン検索サイトで近隣情報を見てみると…ご覧の通り、辺り一面にベジタリアン対応レストランが広がっていました。

(東京でいう自動販売機と同じか、それ以上の印象です…)

▲[ベジレストラン情報アプリ「happy cow」での検索結果]:筆者撮影
▲[ベジレストラン情報アプリ「Happy Cow」での検索結果]:筆者提供

ベジタリアン、ヴィーガンがここまで浸透している理由

エシカルの(倫理的な)観点が大きいです。 「Cage free」(ケージフリー)や「Cruelty free」(クルエルティフリー)という表記も頻繁に見かけました。

前者はケージの中ではなく、広々とした空間で飼育した家畜由来であることを意味しています。卵などについていました。

後者は「残酷感ゼロ」の意味です。動物実験などをしていない化粧品などにもついていました。

▲[「Cruelty free」と書かれた立て看板]:筆者撮影
▲[「Cruelty free」と書かれた立て看板]:筆者撮影

ご覧の通り、食だけでなく、衣服や化粧品など、ジャンルは多岐に渡ります。

また、近年ではエシカルに加えて、健康・環境問題などを背景にベジタリアンになる人が急増しているようです。

アメリカではベジタリアンでも「ふつうの」食事

ベジタリアンというと日本語で「菜食主義者」と訳すことが多く「ベジタリアン=サラダ」のイメージの方が多いのはないでしょうか。

アメリカ滞在中、5日間毎食ベジタリアン料理を頂いたのですが、葉物はほとんど食べませんでした。

所謂アメリカンフードと聞いてイメージする「フライドチキン・ウィンナー」といった「カジュアルフード」三昧でした。

植物性のお肉と聞くと何だか美味しくなさそうに聞こえますが、言われなかったら気付かないレベルまできています。

ベジタリアン=サラダを出しておけば良いという考えを改めないと、欧米圏のベジタリアンの心は掴めなさそうです。

▲[ベジタリアンに対応したフライドチキン風料理]:筆者撮影
▲[ベジタリアンに対応したフライドチキン風料理]:筆者撮影
▲[ベジタリアンに対応したチキン風料理]:筆者撮影
▲[ベジタリアンに対応したチキン風料理]:筆者撮影

求められているのは「ヴィーガン×和食×ジャンク」のアレンジ?

訪日経験のあるアメリカ人ヴィーガンと話す機会に恵まれたので、日本に期待する対応について聞いてみたところ「ヴィーガンで和食のものがあると嬉しい。」「ただ精進料理というよりはジャンクなB級グルメが食べたい。」と答えてくれました。

もちろん、これが全ての欧米ヴィーガンの旅行者に当てはまる訳ではありませんが、和食のB級グルメのニーズは高そうです。

「バーガーなどでも照り焼きや天ぷらでアレンジしたものがあれば食べてみたい」

「漫画などでよく出てくるラーメンは絶対食べてみたい」

「日本といえば寿司だよね!野菜寿司とかあるの?あったら食べたいね」

これが生の声です。

実際にニューヨークの街中を歩いていると、ラーメンやお寿司屋さんをよく見かけました。中をのぞいてみると、ラーメンやお寿司でヴィーガン対応したものもたくさんありました。

▲[ヴィーガン対応のラーメン]:筆者撮影
▲[ヴィーガン対応のラーメン]:筆者撮影

ラーメンにトッピングされている本物そっくりの卵も、ヴィーガンだそうです。


▲[ヴィーガン対応の寿司]:筆者撮影
▲[ヴィーガン対応の寿司]:筆者撮影

ローカライズされたお寿司です。見た目から多くの日本人が受ける印象よりかなり美味しいです。


ニューヨークでは日本の何倍ものスピードでベジタリアン対応が進んでおり、一般市民の間でも言葉の定義を説明できるレベルまで広がっていました。

その感覚を持った方々がオリンピックで訪日するため、日本としてもベジタリアンおもてなし対応のアップデートが、今後さらに求められることになるでしょう。

ただ、迎え入れるにあたっては「ベジタリアン=サラダではない」「和食のB級グルメが求められている」ということを意識できるかどうかで、お客様に満足して頂けるかが変わってくると感じた視察でした。

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この記事の筆者

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩。千葉大学卒。2007年楽天株式会社入社。2014年に日本国内のハラール情報を多言語で世界に発信するポータルサイトHALAL MEDIA JAPANをサービスイン。またハラールにおける国内最大級のトレードショーであるHALAL EXPO JAPANを4年連続で主催し、2万人以上動員。現在ではフードダイバーシティをコンセプトにハラールだけでなく、ベジタリアンヴィーガン、コーシャなどありとあらゆる食の禁忌に対応する講演やコンサルティングを行う。流通経済大学非常勤講師も務める。

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