中国では様々なITサービスが普及しています。特に、スマートフォンを利用した電子決済サービスは様々な業界で対応しており、フードデリバリーサービスもその例外ではありません。
フードデリバリーのブランドにも、中国のトップIT企業の勢力図が出来上がっています。
本編では、そのうちの一つである「美団外売」(メイトゥアンワイマイ)について解説します。
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美団外売はなんと読む?概要は?
中国では、面倒を解決したいという消費者のニーズに応え、様々な領域でインターネットサービスが発達しています。
決済スピードや個人間送金の便利さは電子決済の普及を後押ししたと考えられます。また、生活に深くかかわる「食」についてもその需要は大きく、アプリ経由で注文できるフードデリバリーも非常に発展しています。
まずは、フードデリバリーサービスを提供する「美団外売」について、読み方と概要をまとめます。
「美団外売」の読み方は「メイトゥアンワイマイ」
「美団外売」はメイトゥアンワイマイ(MeituanWaimai)と読みます。
共同購入型のクーポンサイトを運営していた美団(メイトゥアン/Meituan)が手掛ける、デリバリーサービスの名称です。
美団外売は、中国の大手フードデリバリーサービスで、スマホアプリを通じて、食品の注文、購入、支払いが可能です。
「美団外売」の概要
美団外売は中国国内のフードデリバリーサービスではシェアNo.1と言われています。 2019年第2四半期での市場シェアは約65%に達したとのデータが出ています。
実際に取り扱い商品は料理だけでなく、タピオカミルクティーといった飲料から、生鮮食品や薬品まで、幅広いジャンルに対応しています。
アプリ内で出前を取りたい商品の注文・支払いができるほか、様々な商品を網羅的に検索できる点が美団外売の魅力です。
「美団外売」は美団点評の看板事業:テンセントから出資も
「美団外売」を運営する「美団点評」は、共同購入型のサイト運営をする「美団」と、口コミサイトである「大衆点評」が2015年に合併してできた企業です。
合併により口コミサイト、共同購入、フードデリバリー、観光地・ホテル・映画チケットの予約、配車アプリ、シェアサイクルといった幅広いサービスが、一つのアプリから利用可能になりました。
その中で、全売上の最も大きい割合を占めるのがフードデリバリー事業である「美団外売」です。 合併前、美団外売が運営を開始してしばらくはアリババから出資を受けていましたが、合併後はテンセントから出資を受けて運営しています。
中国のフードデリバリー業界
中国の各地で、青いジャンパーを着たバイクデリバリーの「餓了麼」(ウーラマ)と、黄色いジャンパーを着た美団外売(メイトゥンワイマイ)のバイク部隊は簡単に見つけることができます。フードデリバリーサービスが中国で広く利用されていることがわかります。
続いて、フードデリバリーが流行し始めた2010年代初頭から現在までの、約10年間の動向について解説します。
2010年代初頭、中国でフードデリバリーアプリが大人気に
中国では温かい食事に対するこだわりや便利さを重視する傾向があるため、アプリだけで簡単に出前を注文できる、フードデリバリーサービスが普及するのに時間は掛かりませんでした。人気に火がついたのは2010年代初頭と言われています。初期には多数のプレイヤーが参入しており、各社は競争相手に勝とうとさまざまな施策に取り組みました。
中国IT企業の三強「BAT」市場に参入、しれつな覇権争いへ
サービス開始初期には複数のプラットフォームが競い合っていたフードデリバリー業界ですが、最終的には大手IT企業数社がフードデリバリー業界を支配するようになります。
最終的に残ったのは、アリババ系列の餓了麼(ウーラマ)、テンセント系列の美団外売(メイトゥアンワイマイ)、そして百度外売(バイドゥワイマイ)の三社となり、小さい企業は淘汰されていきました。
アリババ、テンセント、バイドゥの三社は、それぞれの頭文字をとって、BATと呼ばれています。
三強から二強、アリババvsテンセントへ
その後、Baidu(百度)は市場から撤退します。2017年8月、アリババ・グループ傘下の出前アプリ餓了麼(ウーラマ)を手掛ける上海拉扎斯信息科技有限公司は、同業で百度傘下の百度外売(バイドゥワイマイ)を買収しました。
こうしてデリバリーフードの市場は、美団外売(メイトゥアンワイマイ)と餓了麼(ウーラマ)の二大勢力が占めることになります。
直近の2019年第2四半期シェアでは「美団外売」65.1%、「餓了麼」が32.8%と両者が市場全体の97.9%を占めている状況です。
美団外売がシェアを伸ばすことに成功したワケ
複数あったフードデリバリーのプラットフォームも、最終的には美団外売(メイトゥアンワイマイ)と餓了麼(ウーラマ)の二社になります。そのうち、美団外売が業界の6割のシェアを獲得しています。続いて、美団外売がシェアを伸ばすことに成功した要因について解説します。
新規市場を開拓
業界を先行する最大手であった餓了麼(ウーラマ)は既に出前需要の高い12の都市(既存市場)を中心にサービスを展開していました。しかし美団の創業者、王興(ワンシン)は、まだフードデリバリーサービスを利用したことがない消費者や導入に及び腰だった飲食店を開拓する戦略が有効だと考えました。
当初、王興は、餓了麼(ウーラマ)を買収した上で経営方針を改革する道を考えていましたが、餓了麼(ウーラマ)の創業者はこれをを断ります。
そこで美団は独自で新事業を立ち上げ、マーケティング調査に基づき、消費力の強い30の都市に焦点を当ててサービスを展開します。
結果的に美団外売は餓了麼(ウーラマ)を一気に追い抜き、60%を超えるシェアを握ることとなりました。
スピード感のあるサービス範囲の拡大
餓了麼(ウーラマ)よりも後発でサービスを開始した美団外売(メイトゥアンワイマイ)は、餓了麼(ウーラマ)に追いつくためスピード感のある施策を実行しました。
2014年からおよそ1.5日ごとに新たな地域にサービスを展開し、労働者だけでなく学生をもターゲットとする施策を実施し市場シェアを拡大していきました。
2018年には1日の注文が2,000万件を超えるまでに成長しています。
「美団外売」はユーザーの生活にマッチ
「美団外売」は、変化の激しい中国フードデリバリー業界でいまや約60%のシェアを占めています。レストランフードのデリバリーから始まったサービスですが、最近では料理だけでなく薬や生鮮食品などもアプリを通じて自宅まで手配することができます。
スマートフォンの普及と、便利さを歓迎する消費者、そして配送の担い手となる労働者の存在が、「美団外売」のようなフードデリバリーサービスの発展を支えています。
中国では新興のインターネットサービスも、消費者の心理的ハードルの低さがあり瞬く間に広まります。また流行するサービスには大手IT企業が出資していく流れが続いています。こうした資金力を背景に、日本では思ってもみないサービスがユーザーを拡大していくかもしれません。
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