北海道とロシアの新たな交流、在日ロシア人が多い理由とインバウンド対策

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ロシア北海道は地理的にも近く、古くから交流がさかんです。ロシア極東のサハリン州との定期運航便も就航しています。

今年に入り世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスですが、北海道でも感染者が多く出ていることから、同州は定期便の運航をロシア政府に要請することが報じられました。

今回は、ロシア北海道の歴史やこれまでなされてきた取り組みや、インバウンド事情について解説します。



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なぜ北海道に在日ロシア人が多いのか

北海道にある日本最北端の稚内市宗谷岬から、ロシアのサハリン(樺太)までの距離は約42kmしかありません。

この地理的近さもあり、北海道ロシアは古くから交流がさかんに行われています。

以下では、北海道ロシア人が多い理由について説明します。

北海道にいる在日ロシア人は 530人(2018年)

日本政府による統計によると、2018年に日本で在留外国人として登録しているロシア人は8,887人であり、そのうち北海道に登録しているのは530人です。

これは、首都圏の東京・神奈川・千葉に次ぎ第4位の数字です。

ロシアの歴史が各地に刻まれる北海道

北海道ロシアとは地理的にも非常に近く、歴史的なつながりがあります。

そのきっかけは、1972年、アダム・ラクスマンロシアと日本間の通商を求め根室港に来航したことから始まりました。このラクスマンが率いたエカテリーナ号はその後、外国船として初めて函館港にも来航しています。

北海道の各地ではロシアとの歴史が様々な形で残っています。

ラクスマンが来航した函館には、ハリストス正教会、旧ロシア領事館、ロシア人墓地が残っており、猿払村にはロシアのインディギルカ号慰霊碑があります。

また、千島列島やサハリン(樺太)の領土問題も根強く、道内の一部地域には北方領土の返還を求める看板が最近でも見られるようです。

ロシアとの交流・貿易がさかんな北海道

領土問題を代表とする政治的課題は残されていますが、ロシア北海道間の交流は、市民の交流、貿易ともに非常にさかんです。市内の標識にロシア語が併記されていることも、道内のロシア人の多さを示しています。

ロシアとの姉妹都市提携をしている北海道内の自治体数は日本一です。その中でも、稚内市はサハリン州内の3市と、函館市はウラジオストクと、ユジノサハリンスクの2市と姉妹都市提携を結んでいます。

公立の高等学校でもロシア語の授業を設けており、過去に文部科学省から「外国語教育多様化推進地域事業」の指定を受けた際には、こうしたロシア語授業を開設している道立高等学校を推進校に指定しました。

また根室市や稚内市には、貿易の目的でロシアからの船が頻繁に入しています。ロシアから北海道へは燃料や海産物が、北海道からロシアへは車両部品や機械などが輸出されています。

北海道とロシア極東地域の新たな交流発展ステージ

2016年、日ロ首脳会談で日本政府がロシア政府に対して8項目の「協力プラン」を提示し合意されました。

この8項目の「協力プラン」に呼応し、北海道は、ロシアとの関係深化に向けた新たな指針を発表しました。

新5つの「協力パッケージ」北海道とロシア極東地域による協働

日本政府が打ち出した8項目の「協力プラン」を受け、北海道知事は、2016年9月のウラジオストクで開催された第2回「東方経済フォーラム」において、5つの「協力パッケージ」を発表しました。

このパッケージは「食の安全・安心と健康・長寿」、「寒冷地の快適な生活の確保」、「自然環境の保全」、「エネルギーの地産地消」、「直行航空路線の開設」の5つから構成されていました。

2019年5月には、モスクワの「日露知事会議」において、この5つの協力パッケージから「直行航空路線の開設」を「人的交流の拡大」に置き換えた新5つの協力パッケージを公表しています。

今回は、その5つの「協力パッケージ」の中からインバウンドに関わりの強い「食の安全・安心と健康・長寿」「直行航空路線の開設/人的交流の拡大」について解説します。

「食の安全・安心と健康・長寿」

このパッケージでは、フェアの開催、パートナーマッチング、物流実証を通じて、北海道ブランドの浸透・通年化を図ります。

また、北海道ロシアの食に関する産業を共に発展させていくために、食産業技術者の交流促進や環境配慮型農業の実証を行います。

健康・長寿・医療分野においては、救急患者・研修医受入協力、道内医療機関 との連携協力を実施、「医療技術の向上」に資する人材交流・技術交流を促進します。

「直行航空路線の開設・人的交流の拡大」

北海道ロシア極東地域の大陸部を結ぶ直行便開設に向け、交流需要を開拓し、就航環境を整備します。

「人的交流の拡大」という変更後のパッケージでは、友好・教育・文化・スポーツ、観光分野に加え、経済、医療分野など非常に幅広い分野での交流の拡大を目指しています。

ロシア人はどのような旅行が好き?

ロシア人旅行者にはどのような傾向があるのでしょうか。また、訪日ロシア人市場の特徴について紹介します。

ロシア人に人気の旅行先はビーチ、日本の課題は?

ロシア人に人気の旅行先は、タイベトナムのビーチです。ロシア人は、2週間ほどリゾート地で何もせずのんびりという休暇の過ごし方を好む傾向にあります。

実際のところ日本はロシア人からリゾート地というイメージではとらえられていませんが、体験や食といった観光コンテンツが充実していることは知られています。ところが、具体的に何が楽しめるのか、どのような魅力があるのかを知らないというのが現状のようです。

こうした情報量の少なさと、旅費に見合う体験を提供できるかが、今後インバウンドロシア市場を切り拓くためのポイントとなりそうです。

訪日ロシア人市場、ロシア人海外旅行者の特徴

訪日ロシア人数は2014年に64,077人、2015年に54,365人、2016年に54,839人と伸び悩んでいましたが、2017年には77,251人、2018年は94,810人と増加傾向にあります。

一方、ロシア人の海外旅行者数は、2013年の約5,407万人をピークに2016年は約3,166万人まで減少、2017年には3,963万人まで回復と、不安定な状況です。

ロシア人の日本滞在日数はヨーロッパの中で一番長く、平均で3週間日本に滞在します。

また、ヨーロッパ諸国からの訪日客の中で女性の割合が最も高く、ほぼ半数が女性を占めています。

訪日ロシア人市場の特徴

2016年の訪日ロシア人は約55,000人を記録しています。2016年、訪日ロシア人は一人当たり190,874円を訪日旅行時に使いました。

ロシアとの結びつきの強い北海道、インバウンド領域での成長に期待

北海道ロシアは、地理的、歴史的な背景から結びつきが強くなっています。訪日ロシア人市場は2019年には初めて10万人を超え、12万人を記録しました。

政府の取り組みを追い風に、今後もロシア人が魅力を感じる形式のキャンペーンを行うことや、WebサイトSNSなどで積極的に情報を発信して北海道についての認知を高めることが、訪日ロシア人市場の成長に寄与するでしょう。

<出典>

政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)

<参照>

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tsk/russia/2018traderussia.pdf

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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