日本人が普段からよく食べている昆布やわかめ、のりなどの海藻類には、「ヨウ素(ヨード)」と呼ばれるミネラルが多量に含まれています。ヨウ素は体に必要な成分ですが、昔から海藻類を食べる習慣のある日本人の多くは、ヨウ素を摂取しすぎているともいわれます。
ヨウ素を過剰摂取すると甲状腺の機能が低下することがありますが、日本人は日頃からヨウ素を多く摂取する食習慣があるため、多少取り過ぎても問題ないことが多いようです。
しかし、普段から海藻類を食べる習慣のない訪日外国人はヨウ素への耐性がないため、摂取には注意を払う必要があります。
日本食として訪日外国人にも人気のある寿司やおにぎりなどはのりを用いていますが、果たして訪日外国人が食べても大丈夫なのでしょうか。
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昆布やわかめなどに含まれる「ヨウ素(ヨード)」とは?
「ヨウ素(ヨード)」は、昆布やわかめなどの海藻類に多く含まれるミネラルです。うがい薬のヨードチンキも、このヨウ素の効能を利用した製品の一つです。
ヨウ素は甲状腺ホルモンを作る際に必要で、体には必要不可欠な成分ですが、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定めるヨウ素の摂取推奨量は、成人の場合一日あたり0.13ミリグラムです。
これがどのくらいの量かというと、大体乾燥のり1枚に含まれるヨウ素量と同程度です。よりヨウ素の含有量が多い昆布を使った料理では、5~10グラムの昆布の佃煮で10~20ミリグラム、3~10グラムの昆布巻きで6~20ミリグラムのヨウ素を含みます。
そのため、海藻類を使った料理を食べると、ごく少量でヨウ素の推奨量を超えてしまうことがあります。実際に、厚生労働省の調べでは、日本人のヨウ素の推定摂取量は一日あたり1~3ミリグラムとされています。
それではすぐにでも海藻類を食べるのをやめたほうがいいかというと、必ずしもそうではありません。実は、厚生労働省の「ヨウ素の推奨量」は欧米のデータをもとに算出されています。なぜかというと、日本人に限ったヨウ素摂取に関する十分なデータがないためで、他国に比べて海藻類の摂取量が多い日本人の場合どうなるのかについては、まだ明らかになっていないのです。
ヨウ素が多すぎるとどうなる?
ヨウ素を摂取し過ぎると甲状腺機能が低下するとされています。
しかし、厚生労働省の推奨摂取量より多くヨウ素を摂取している日本人の場合、もはや「摂取し過ぎ」のボーダーラインがどこにあるのかわからなくなっているといえます。
また、日本において甲状腺機能低下や甲状腺腫といった病気はまれであることから、普段通り一日あたり1~3ミリグラムほどのヨウ素を摂取するのは問題はないと考えられます。
厚生労働省の定める一日当たりの上限量も成人の場合3.0ミリグラムとされているので、明らかに過剰な量を継続的に摂取しない限り、甲状腺の病気になるリスクは低いといえるでしょう。
日本ではほぼ見られない「ヨウ素欠乏症」とは
日本人は日頃から十分な量のヨウ素を摂取しているため、過剰にはなっても不足することはほとんどありません。しかし海外に目を向けてみると、日本のような国はまれで、それどころか、世界中ではヨウ素不足による「ヨウ素欠乏症」が現在においても問題になっています。
ヨウ素欠乏症になると、成人では甲状腺腫、甲状腺機能低下症、胎児の場合は流産、先天異常などを引き起こす場合があります。
そのため海外では、ヨウ素不足を防ぐため、ヨウ素を水や塩に混ぜて摂取することがあります。
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日本人はヨウ素に耐性?
ドイツ政府公認の商品検査財団「Stiftung Warentest」は、ヨウ素摂取基準に関する報告の中で以下のように述べています。
日本人は毎日約6グラムの乾燥海藻類を食べています。日本人は高いヨウ素値に慣れています。日本人の体は、過剰なヨウ素を確実に再び外へ排出するようになっています。
一方、ヨウ素の研究に従事する布施養善氏は、以下のように報告しています。
日本人のヨウ素摂取量は韓国など一部の国を除いて、他の国での平均摂取量よりは多いことは確実である。しかし多量のヨウ素負荷に対して特異的な適応機構が存在するのかは不明であり、他の人種との比較をおこなった研究は存在しない。(中略)日本人に特異的なヨウ素に対する甲状腺機能の変化があるかどうかについての判断は困難である。
これらを考慮すると、一般的に日本人はヨウ素への耐性があり、欧米人などと比べてヨウ素をうまく排出できるといわれていますが、そこに正確なデータは存在しないということになります。
この続きから読める内容
- 外国人へののりの提供に注意
- 提供する側が正しい知識を持とう
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