免税売上がコロナ影響で8.5割減でも一人当たり購買額は倍増【2020年3月分速報 免税売上高・来店動向/日本百貨店協会】

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新型コロナウイルスの影響で海外からの観光客が激減しました。観光業や訪日外国人の消費に支えられてきた事業者は大きな打撃を受けています。

各地で免税店を展開するラオックスは、2020年7月、売上回復の見通しが立たず全国24の店舗のうち、半分を閉店することを発表しています。九州・沖縄地域からは撤退となります。同社のことし6月までの決算は、最終的な損益が139億円の赤字となったことが報道されています。

4月24日に発表された、日本百貨店協会・インバウンド推進委員会による、2020年3月免税売上高・来店動向の速報でも、すでにこうした免税販売を行う店舗の痛手が見て取れます。

同発表によれば、免税総売上高は前年同月比の14.3%、購買客数は前年同月比の6.6%にまで落ち込みました。

一方、一人当たりの購買単価は、前年同月が約7万4,000円だったところから約15万9,000円と大きく増加しました。

この記事では、2020年3月における免税売上高・来店動向と、4月以降の百貨店の見通しについて解説していきます。

《注目ポイント》

  1. 免税総売上高は前年同月比の14.3%、購買客数は前年同月比の6.6%に
  2. 一人当たり購買額は倍増
  3. 来店数の中国1位は継続

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免税総売上高は前年同月比の14.3%、購買客数は6.6%に

2020年3月分の免税売上高・来店動向の速報が発表されました。これは、90店舗の「インバウンド推進委員店」を対象として行われた調査です。

免税総売上高は約47.5億円、購買客数は約3万人でした。

▲免税購買客数および免税総売上動向:日本百貨店協会、免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成
▲免税購買客数および免税総売上動向:日本百貨店協会、免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成

前年同月比では、免税総売上高が14.3%、購買客数が6.6%と大きく落ち込みました。2月の前年同月比がそれぞれ34.6%、31.7%だったのと比較すると、減少の激しさがうかがえます。

(※前年同月比は93店舗での調査のため、割合は店舗数を調整して計算されています)

2月より3月の方が減少幅が大きくなったのは、免税手続きカウンターの来店国別順位で1位の中国、そして2位の香港、3位の韓国からの入国者に対し、3月から本格的な入国制限が始まったことが背景にあるといえます。

また、4月には4位の台湾からの入国制限も始まったため、4月分の免税総売上高はさらなる減少が予想されます。

一人当たり購買額は15万円突破

一人当たり購買額は、前年同月が約7万4,000円、2020年2月が約8万2,000円だったところから、今月は約15万9,000円と大きく増加しました。

これは新型コロナウイルスの影響で比較的訪日意欲の低い層が訪日を控えるなどしたために、相対的に訪日意欲が高い層の割合が上昇し、日本の商品に対する購買意欲も高水準となったためと推測されます。

化粧品の人気が継続

免税店で人気のあった商品の順位は、以下の通りです。

  1. 化粧品
  2. ハイエンドブランド
  3. 食品
  4. 婦人服飾雑貨
  5. 子供服・雑貨

2020年2月と比較すると、5位のみ婦人服から子供服・雑貨へ変動がありましたが、4位までは同様でした。

化粧品の1位が継続していることについては、日本の化粧品に対して「安全、安心」というイメージが浸透していることや、小紅書RED)などで口コミが広がっていっていることが理由として挙げられます。

新型コロナ影響で免税売上が3分の1に減少も、一人当たり購買額は大幅増【日本百貨店協会:免税売上高・来店動向2020年2月分速報】

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来店国別順位:中国1位は継続

免税手続きカウンターの来店国別順位は、以下の通りです。

  1. 中国本土
  2. 香港
  3. 韓国
  4. 台湾
  5. シンガポール
  6. マレーシア
  7. タイ

2020年2月と比較すると台湾が2位から4位に落ち込んだほか、5位であったタイも7位まで順位を下げました。4月に台湾、タイからの入国制限も始まったため、4月分のデータではさらに順位を落とす可能性もあります。

中国からの入国者に対しては3月から本格的な入国制限が始まっていますが、3月分のデータでは未だ来店数1位を継続しています。これは、政府指定の施設などで2週間の隔離を行う「停留」措置を越えれば入国が許可されていたためと推測されます。

ただし、4月1日に「水際対策強化に係る新たな措置」が発表され、中国も入国拒否の対象となりました。日本への入国はさらに困難になるでしょう。

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4月分はどうなる:日本への入国が許可されるまで売上停滞は続く

4月27日現在、日本は80の国・地域からの入国を拒否しています。4月分のデータでも、免税店の売上は停滞したままでしょう。

では、新型コロナウイルス収束後のインバウンド需要はどうなるのでしょうか。

例えば中国では、自粛ムードが終わりつつあるとともに、外出制限の始まりが他国より早かったこともあり、リバウンド的に旅行需要が増大しています。新型コロナウイルスの影響で春節中の訪日ができなかったことや、大分市が武漢市に3万枚のマスクを寄贈した出来事などを通じ、中国国内で日本への好感度が上がったことから、訪日意欲も高まっているようです。

現在日本に来ることはできませんが、来店数1位の中国から日本への入国制限が解除されれば、免税売上は徐々に回復していくでしょう

この入国制限が解除されるためには、まず日本国内において新型コロナウイルスの感染拡大が収束する必要があります。

小池都知事は4月23日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月25日から5月6日までの12日間を「ステイホーム週間」と位置づけたうえで、都民に買い物を「3日に1回程度」に減らすよう呼びかけたほか、自主的に休業した商店街には奨励金を交付することとしました。

これは外出自粛を呼びかける施策として評価できる一方で、このような策が打ち出されるのは、ゴールデンウィーク期間の外出増加が危険視されているということでもあります。

日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大が収束するかどうかは、ゴールデンウィーク期間中などの外出自粛をどこまで守れるかが鍵となりそうです。

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<参照>

日本百貨店協会:免税売上高・来店動向【速報】

外務省:日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)

読売新聞:都知事「買い物3日に1回」、GWは「ステイホーム週間」に

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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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