新型コロナ影響で免税売上が3分の1に減少も、一人当たり購買額は大幅増【日本百貨店協会:免税売上高・来店動向2020年2月分速報】

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3月24日、日本百貨店協会・インバウンド推進委員会による、2020年2月分の免税売上高・来店動向の速報が発表されました。

免税総売上高、購買客数は、ともに前年同月比の約3分の1にまで落ち込みました。これは新型コロナウイルスの流行が大きく影響していることに加え、春節期間が1月にずれこんだことも要因であると考えられます。一方で、一人当たりの購買額は大きく増加しました。

この記事では、2020年2月における免税売上高・来店動向と、今後の見通しについて解説していきます。

《注目ポイント》

  1. 免税総売上高、購買客数は前年同月比の約3分の1に
  2. 一人当たり購買額は大幅増加
  3. 来店数の中国1位は継続

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免税総売上高、購買客数:前年同月比の約3分の1に

2020年2月分の免税売上高・来店動向の速報が発表されました。これは、91店舗の「インバウンド推進委員店」を対象として行われた調査です。

免税総売上高は約110.2 億円、購買客数は約 13.4万人でした。

▲免税購買客数および免税総売上動向:日本百貨店協会:免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成
▲免税購買客数および免税総売上動向:日本百貨店協会、免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成

前年同月比では、免税総売上高は34.6%、購買客数は31.7%でともに大きなマイナスとなりました(※前年同月は93店舗での調査のため、割合は店舗数を調整して計算されています)。

免税手続きカウンターの来店1位は中国本土が独占する状態にありますが、その中国では2020年1月末から2月にかけて新型コロナウイルスの新規感染者数が連日1,000人を超えるほど感染が広がっており、訪日中国人客数は前年同月比87.9%減となりました。

また、2月には日本でも徐々に感染が広がっており、訪日を控える外国人観光客も多く、訪日客数全体が58.3%減となっていました。

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このことから免税総売上高・購買客数の減少の主因は、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪日中国人をはじめとして訪日客数全体が減少したことだといえます。

また、2019年は春節期間が2月だったのに対し、今年は1月末だったことも2020年2月におけるマイナスの一因となっていると考えられます。これは2020年1月の免税売上が増加し、2019年2月と同水準になっていることからも推測できます。

なお、春節は1月30日までであったところを2月まで延長されましたが、これは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い出勤等を制限するために行われた施策であり、免税総売上高・購買客数の増加には貢献しなかったものと考えられます。

一人当たりの購買額は大幅増加

一人当たりの購買額は、前年同月が約75,000円、2020年1月が約70,000円だったところ、2020年2月は約82,000円と大きく増加しました。

これは新型コロナウイルスの影響で、比較的訪日意欲の低い層が訪日を控えるなどしたことで、相対的に訪日意欲が高い層の割合が上昇し、日本の商品に対する購買意欲も高水準となったためと推測されます。

一方、3月はより多くの地域に新型コロナウイルスの感染が拡大しており、中国や韓国からの事実上の入国拒否も始まりました。購買意欲が高い層の訪日も難しくなったと考えられるため、さらなる免税総売上高の減少が見込まれます

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化粧品の人気が継続

免税店で人気のあった商品の順位は、以下の通りです。

  1. 化粧品
  2. ハイエンドブランド
  3. 食品
  4. 婦人服飾雑貨
  5. 婦人服

前年同月の5位のみ美術・宝飾品から婦人服へ変動がありましたが、4位までは前年同月と同様でした。主に女性向け商品の売上が好調となっているようです。

化粧品の1位が継続していることについては、日本の化粧品に対して「安全、安心」というイメージが浸透していることや、小紅書RED)などで口コミが広がっていっていることが理由として挙げられます。

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来店国別順位:中国1位は継続、韓国は大きく落ち込む

免税手続きカウンターの来店国別順位は、以下の通りです。

  1. 中国本土
  2. 台湾
  3. 香港
  4. 韓国
  5. タイ
  6. シンガポール
  7. マレーシア

中国が1位となっているのは、新型コロナウイルスに対する防疫措置としての入国制限が3月からであり、2月時点ではまだ訪日中国人の来店があったためと考えられます。

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前年同月には韓国が2位でしたが、今回は4位に落ちこみました。これは、新型コロナウイルスの影響もさることながら、2019年7月に始まった日本製品不買運動の影響が未だ残っているためと考えられます。

3月以降はどうなる:全地域の訪日客激減で売上減少続く

3月には、2月と比較して多くの地域に新型コロナウイルスの感染が拡大しており、訪日外客数は前年同月比93%減と入国制限の影響が顕著に表れています。

特に中国、韓国など免税店への来店数が多い国・地域の本格的な入国拒否も3月から始まっており、購買意欲が高い層の訪日も難しくなったと考えられるため、3月分の免税総売上高・購買客数はさらなる減少が予想されます。

また4月22日現在、日本は73の国・地域からの入国を拒否しています。4月分についても免税総売上高・購買客数の減少は続くでしょう。

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<参照>

日本百貨店協会:免税売上高・来店動向【速報】

外務省:日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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