愛知県のホストタウンは?地域活性化につなげる取り組みを紹介:事前キャンプ・ホームステイで国際交流など

公開日:2020年04月21日

来年夏に開催を控えた東京オリンピック・パラリンピックを機に、地域を盛り上げる施策の一つとして、ホストタウンが注目されています。

ホストタウンに登録された各自治体が、ホストタウン事業を推進するなか、愛知県ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。

今回は愛知県内でホストタウンに登録された自治体や、相手国との交流やスポーツを活かした地域活性化の方法について紹介します。

愛知県のホストタウンは?

2020年4月18日時点で、国内の424の地域がホストタウンとして登録されています。愛知県では9地域が登録されており、相手国選定の経緯や取り組みは同じ愛知県内でも地域によってさまざまです。

そもそもホストタウンとは?

ホストタウンとは、東京オリンピック・パラリンピックに参加する外国の選手や訪日観光客と、地域の住民がスポーツ、文化、経済等を通じて交流を深め、地域の活性化に活かす取り組みです。

ホストタウンとして登録を希望する自治体は内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局へ申し出て、どの国とどのような交流を図るのか、計画を提出します。登録された自治体は、特別交付税措置として交流活動の1/2の支援が得られます。

内閣官房の資料によると、ホストタウンは下記のような交流を実施するように求められています。

◆⼤会参加者との交流

⼤会前後で⼤会に参加した外国⼈の選⼿(オリンピアン・パラリンピアン)と交流

◆⼤会参加国の⽅々との交流〜外国を知り⽇本を伝える

相⼿国からゲストを招き、歴史や⽂化を知る 児童・⽣徒同⼠の交流(お互いの⽂化を紹介) お互いの祭りやイベントに参加し合う

◆⽇本⼈オリンピアン・パラリンピアンとの交流

過去にオリンピック、パラリンピックに参加したことのある⽅々との交流(競技体験、講演等)

▲[ホストタウンの推進について 〜2020年東京オリンピック・パラリンピック競技⼤会に向けて〜]:首相官邸HP

ホストタウンって何する?2020に向けた各自治体の取り組みとは

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愛知県のホストタウンを紹介

2020年4月18日時点では、424の地域がホストタウンとして登録されています。愛知県内では9地域が対象になっています。

  • 名古屋市:フランス・カナダ・ウズベキスタン
  • 豊橋市:ドイツ・リトアニア
  • 岡崎市:中国・モンゴル
  • 半田市:中国
  • 刈谷市:カナダ
  • 豊田市:イギリス
  • 稲沢市:ギリシャ
  • 美浜町:シンガポール
  • 幸田町:ハイチ

首相官邸の公式ホームページでは、ホストタウンの一覧を公開しています。一覧表には各地域と相手国だけではなく、どのような交流を図る予定なのか、相手国とどのような関係があるのかが記載されています。

どのようなきっかけでホストタウンになる?

ホストタウンになるためには相手国が必要です。外国とオリンピックやスポーツに関連するつながりがなければ、ホストタウンにはなれないのでしょうか。

実は、ホストタウンと相手国の関係性はさまざまです。オリンピックやパラリンピック、スポーツ関連のつながりだけではなく、姉妹都市や友好都市提携をしている、歴史的なつながりがある、地元企業の工場があるなどが挙げられます。

また、相手国と直接的な交流がなかったとしても、地域を代表する花や地域名が同じだった、またはたまたま紹介された、などというケースもあります。ここでは愛知県内のホストタウンの例を紹介します。

  • 名古屋市:フランスの美術館と交流が名古屋市の美術館の交流があり、フランス柔道選手団の事前合宿の誘致に成功。
  • 美浜町:同町出身の幕末の船乗り「音吉」の縁からシンガポールとの交流がある。
  • 半田市:中国徐州市と1993年に友好都市提携を締結しており、青少年を中心としたスポーツ交流や文化芸術交流を20年以上継続している。

愛知県ホストタウンの取り組みを紹介

愛知県の各自治体はどのような取り組みをしているのでしょうか。ここでは稲沢市と名古屋市の事例について紹介します。

稲沢市:オリンピア市の中学生がホームステイ

愛知県の北西部に位置する稲沢市は、姉妹都市であるギリシャ共和国オリンピア市のホストタウンとして登録しています。ホストタウンの活動として、2018年2月28日に開催された「国府宮はだか祭」に駐日ギリシャ特命全権大使ルカス・カラツォリス氏を招待し、稲沢市とギリシャ共和国の交流が円滑に進むよう協力要請をしました。

その後、2018年7月5日〜10日の6日間、ギリシャ共和国オリンピア市の中学生をホームステイとして受け入れ、文化交流を図りました。

また、同年8月には駐日ギリシャ大使館の協力の下、オリンピック聖火トーチの展示会を開催し、合計36本のトーチを見るために多くの住民が会場に足を運んでいます。

2019年6月には、市内の全小中学校にてギリシャ料理を取り入れた「ギリシャ給食デー」を設け、駐日ギリシャ共和国特命全権大使やギリシャ大使館職員と一緒に給食を食べたり、講演を実施したりして、子どもたちにギリシャ文化を知ってもらう機会を提供しています。

名古屋市:事前キャンプ

愛知県名古屋市はフランス、カナダ、ウズベキスタンのホストタウンとして登録しています。

  • フランス

名古屋市の名古屋市美術館とフランスのランス美術館は友好関係にあったことから、2017年にフランスのランス市と姉妹都市提携を締結しました。2018年10月には市民にランスの食・歴史・文化を理解してもらうために「ランスフェスティバル」を開催しました。

  • カナダ

名古屋市には日本唯一のカナダ領事館があり、以前より交流がある地域となっています。こうしたいきさつから、名古屋市はカナダの車いすバスケットボール代表チームの事前キャンプ地として選ばれています。2018年には車いすバスケの男子代表チームの事前キャンプを、2019年には車いすバスケ女子代表チームの事前キャンプが実施されました。

事前キャンプでは、東海地方の車いすバスケチームとの親善試合や車いすバスケ体験などが、受け入れ先の名城大学の学生も加わりながら企画および開催されました。

  • ウズベキスタン

名古屋大学は約20年間ウズベキスタンと交流しており、ウズベキスタンの法整備支援、留学生・研修生の受け入れ、名古屋大学にウズベキスタン事務所を設置するなどの取り組みをしています。

2018年5月にはホストタウン交流事業として、ウズベキスタンから著名な芸術家を招集し、「ウズベキスタン・ウィーク・イン・ジャパン」を開催しました。このイベントでは、コンサート、写真展、芸術展、観光プロモーションなどが行われました。

さらに、名古屋市は「東京2020ホストタウン名古屋応援委員会」を発足し、産学官が力を合わせて地域活性化や市の魅力発信に取り組んでおり、今後もホストタウンとしての交流活動が盛んに実施される見込みです。

地域活性化につなげるためには

大会が実施される場所が観光地から離れていたり、大会が実施される時間帯が観光施設の営業時間外であるという場合、また、人気度や認知度がそれほど高くない競技が開催される場合でも、周辺施設にとっては集客のチャンスです。

具体的にはどのような案が考えられるのでしょうか。いくつかの例を見ていきましょう。

1. 競技・選手の特徴を生かした消費喚起

スポーツツーリズムにおける消費喚起は見学者、観戦者、来訪者の増加によって消費拡大を狙うことが基本ですが、競技の特徴に着目するとより効果的に消費拡大につなげられます。

着目点としては、競技自体の人気度、練習公開時間の長さ、合宿中の試合の有無、大会会場やコース設定、選手の特性などが挙げられます。

例えば、練習見学者の集客が難しい柔道合宿の場合は、見学者よりも合宿参加者をターゲットとして飲食費の消費喚起を狙えます。

また、練習時間は短いものの、練習試合が多いサッカー合宿では、店舗等では練習試合の日程を積極的に公開して、試合相手に関連するイベントや出店を開催することで消費拡大を狙えます。

2. 大会と観光資源との連動

オリンピック・パラリンピックにおいては、スポーツ大会や合宿の場所が観光施設から離れていたり、実施する時間が観光施設の営業時間外であったために、観光につながらないケースがあります。

このような場合には、観光施設の営業時間や開催地との移動時間を考慮した具体的なモデルコースを設定し、ツアーを企画することが有効です。

さらに、大会と連動した限定商品を企画販売すれば、新たな観光消費拡大につなげられるでしょう。

3. 関連イベント等の開催・PR

競技の人気度や大会の性質によって、ホストタウンの地域に滞在する人の属性が変わってきたり、訴求できる見込み顧客も限定的になってしまうケースもあります。地域の観光資源によっては、集客拡大が難しく感じられるかもしれません。

こうした場合でも、前夜祭や後夜祭といった形で大会と連動したイベントを開催し、実施される競技にもともと関心があった層以外にもPRをすることで、集客拡大の可能性を高められます。

地元企業や市民がイベントに積極的に参加し、地域色をブランドとして樹立することに成功すれば、長期的な観光ブランドの確立にもつながるはずです。

イベントPRは一過性にならない取り組みを、基本的なインバウンド対策が要

ホストタウンの活性化のためには、自治体だけではなく地元企業や団体、市民の協力が重要です。産学官で一体となってイベントを企画開催、PRし、市外・国外の人たちに地域の魅力を発信していくとよいでしょう。

しかし、ホストタウンの事業やイベントを行って地域が活性化しても、それが一過性のものとなってしまってはあまり意味がありません。大会後も継続的に訪日外国人が訪れることで、地域経済によい影響が及び、また街が活気づくというのが広い意味での「地域活性化」ではないでしょうか。

そのためにはやはり、多言語対応・アクセスの改善・名産品のブランディングなど、基本的なインバウンド対策を地道に進めていくことが必要不可欠です。

ホストタウン事業はあくまで地域の魅力を海外に発信するきっかけという位置付けにし、同時にその地域の魅力を高める努力をしていくことが重要です。後者があって初めて、ホストタウン事業は大会後の地域活性化につながる、効果的な取り組みとなるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!